むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • マスクが暑くて苦しいです

    暑い毎日ですね。マスクをしていると息がこもって苦しいです。仕事柄、一日マスクをして話をしていると酸欠とこもった熱で頭がボーとしてきます。合間合間にマスクを取って体を冷やします。まるで空冷エンジンみたいです。また、私の場合耳が痛くなります。耳にかけるヒモの長さを調節できる物がありますが、ゆるくしすぎると、鼻が出てしまうのでそれではいけません。また、手でマスクを触って鼻が出ないように引っ張って調整したりすると、手についたウイルスが鼻につくリスクになるので、極力手でマスクに触れないように気をつける必要があります。そこで、あまりゆるゆるの状態には出来ず、耳が痛いのも我慢するしかありません。もしかしたら、耳にかける紐の部分がもっと太くて柔らかいとくい込まないで快適かもしれません。裁縫が得意な方、ぜひそんな快適なマスクを開発してください。

    初診の患者さんには問診票を書いていただきますが、「今日はどうしましたか」という問いに「息苦しい」と答える患者さんが毎日数名おられます。息苦しい、というキーワードはいくつもの病態を考える必要があります。例えば、喘息。あるいは心不全や狭心症、あるいは神経症(ストレス性)、などなど。内科医は自分の専門分野をすぐに考えがちですから、呼吸器のドクターは喘息など肺疾患かどうかに全力を傾けます。循環器のドクターなら心疾患ですし、心療内科医なら神経症を真っ先に考えます。しかし、想定した疾患でなかった場合、いっきに興味を失い、異常ないから他でみてもらように、と投げやりになってしまいがちです。

    当院のように、漢方や心療内科もやっている内科クリニックというのはありとあらゆる患者さんが、最後にたどり着く病院でもあります。いろいろ検査したけど治らなかった、と言って来られます。クリニックの収益はとにかくたくさん検査すればするほど儲かります。当院のように、他院で全部検査したけど治らなかったと言って相談に来られると、これ以上する検査もないので、話を聞いて漢方薬や安定剤を処方するだけです。治療がうまくいっても、検査が少ないので、全く儲けになりません。薄利多売(ぼやき)です。

  • コロナワクチン100本達成

    熊本は例年になく空梅雨です。殆ど降らない日が続き、降ってもすぐやみます。今週も週間天気予報では全部雨でしたが、まだしばらくは降らないみたいです。そして、梅雨明けは例年通りを予想されているそうなので、梅雨明けまでもう少しです。天気予報によると、今週末に前線が九州にかかるそうなので、大雨が降るとすれば、その時となりそうです。そこさえ乗り越えれば、梅雨明けです。関東では災害も起こっているので注意を怠らないようにしましょう。

    夏バテで吐き気や頭痛で来院される方が増えてきました。体はまだ暑い夏に適応できていないので、無理しないようにしましょう。当院では夏バテや熱中症には漢方薬を処方します。基本は清熱薬として黄連解毒湯、補気薬として清暑益気湯、吐き気やめまいなど水毒症状に五苓散などが基本です。なかには冷たい飲み物を取りすぎて不調になる場合がります。その際は安中散、六君子湯などが良いと思います。患者さんそれぞれの症状に合わせて薬を選んでいきます。

    最近もう一つ印象的なのがコロナワクチン後の副作用と思われる反応です。頭痛、吐き気、ふらついてまともに歩けない、腕が上がらなくなった、などなどいろんな症状で来院されます。ほとんどが当院とは関係なく、他の施設や集団接種会場での接種者です。こういう副作用の治療法など西洋医学的に考えてもわからないので漢方的に解釈しています。頭痛、吐き気、ふらつきなどは水毒及び脳や消化管での炎症反応と思われます。そこで、柴苓湯を処方しています。当院は、今日でワクチン100本(600名)達成です。アナフィラキシーなど重篤な副作用や事故もなく無事に進んでいることにホッとしています。スタッフみんなの努力のおかげです。

  • 恩送り

    蒸し暑いですね。こう暑いとあっさりしたものが食べたくなります。そうめんとか、冷やし中華。美味しいです。私がよく食べる韓国料理にも韓国冷麺があります。こんにゃくかと思うほどコシの強い麺です。スープはあっさりしたガラスープだと思いますが、水キムチみたいなのが入っていたりします。今まで韓国冷麺はたいして好きではなかったのですが、下通りのハヌルでたべた冷麺は絶品です。あまりの美味しさに、リピートしています。面白いのは、韓国では冷麺が夏だけの食べ物ではないみたいで極寒の冬にも食べられます。そして、暑い夏にみんなが食べるのかと思えば、そうでもないようなのです。見ていると、韓国人は真夏の暑い時期に、熱々の土鍋(トッペギ)の中でグラグラ沸騰しているスンドゥブチゲなどをフーフー言いながら食べているのです。そう、夏こそ暑いものを食べるのが体にいいのです。そして、チゲには唐辛子、にんにくなどの香辛料が入っており、夏バテした胃にパワーを与えてくれます。是非真似してみてください。夏バテも吹き飛び、元気になりますよ。

    さて、今日は「恩を返す」について考えてみたいと思います、「恩を忘れない」「成功したら必ず恩を返します」みたいな話はよく聞きます。しかし、この世で恩を返すのは案外難しいものです。例えば、小中学生時代に担任の先生が暖かく見守ってくれた、勇気をくれた、進路に大きな影響を与えてくれた、など恩を感じることがあります。しかし、大人になった頃、本当にその先生に恩返しをするチャンスはめったにありません。私ごとですが、中学時代に私は英会話クラブの部長をしていたのですが、たまたまその顧問だった先生が当院に患者として来院頂いています。偶然、恩返しをすることが出来ています。

    それはさておき、恩を売ったほうが利子を付けて返せと言ってくるのは銀行かヤクザぐらいでしょう。通常恩返しはまず出来ません。そこで、私たちがすべきことは「恩送り」です。自分たちが受けた様々な恩は受けた人に返すのではなく、次の世代に送っていくのです。後輩をしっかり育てる、同業者を蹴落とさず、切磋琢磨して助け合う、名もない新人も信頼して仕事を任せてみる、などなど。順に恩を送ることで、すばらしい世の中になること間違いなしです。

  • ワクチンが効くまで1ヶ月かかるそうです

    検査会社の人から聞いたお話。コロナワクチンを打ってから抗体ができるまでの期間は人それぞれですが、若い世代は3週間ほどでピークに達するのに対し、高齢者は1ヶ月以上たってゆっくり増えてくるそうです。今回のワクチンはmRNAでできているのですが、RNAはDNAという遺伝子(設計図)からタンパク質を合成する際につくるDNAのコピーです。RNAは必要なときに必要な部分だけできてくるので、DNAに書かれた全設計図のうちの一部分というわけです。今回はこのRNAを人工で設計して注射にしたわけです。筋肉内に注射されたRNAはタンパクの設計図なので、体内でRNAに書かれたとおりタンパク質を合成するのですが、出来上がったタンパク質がウイルスの表面のスパイクと同じものなので、免疫がつくわけです。高齢者はアミノ酸やビタミンなどの栄養が不足しており、蛋白の合成力も落ちているため、効果が出るまで時間がかかるものと思われます。年をとったら傷の治りも悪くなる、というのと同じ理屈です。

    細かいことはともかく、高齢者はワクチンを打ってから効果が出るのに1ヶ月以上かかるそうなので、注射を打ったからもう大丈夫とうかれて街に飲みに出かけたりカラオケで大騒ぎするのはもう少し待ったほうが良さそうです。

    ワクチンを作っているファイザーという会社にはずっとお世話になりっぱなしです。私は循環器内科が専門なので、ノルバスク(アムロジピン)という血圧の薬やリピトール(アトルバスタチン)というコレステロールの治療薬が出てきたときは新しい時代を感じました。従来の薬とは一線を画するすごい効果だったからです。その後、心療内科の方でジェイゾロフト(セルトラリン)やイフェクサーと言った抗うつ剤もとても効果がよく、私の仕事を多く支えてくれました。そして今回のワクチンですが、打ったみんなはホッとしたと言って喜んで帰られます。まるで抗うつ剤みたいです。

  • 緊張して震えたり動悸がしたりするとき

    新入社員の人たちは、4月5月の研修を終えてそろそろ独り立ちというところも多いのではないでしょうか。あとは任せるからお得意先をまわって来いといわれたりとか、一人前として担当を持たされたりする頃だと思います。本当なら1−2年かけてじっくり指導してほしいところですが、給料をもらっている以上は、一日も早く独り立ちしないといけません。中途採用の人などは、なおさら即戦力として期待されていることと思います。

    そんな中、朝礼で発表の当番が回ってきたとか、いろんなシーンで緊張しまくってドキドキしたり、前日から眠れなかったり、当日震えや動悸が止まらなかったりで、冷や汗モノという人もたくさんいることと思います。病名をつけるなら不安障害とか心臓神経症とか、そんな感じになります。仕事にならないで困っている、という場合、薬の治療を考えてもいいかもしれません。一般内科で相談すると、こういう場合デパスみたいな抗不安薬が処方されることが多いと思いますが、デパスは決して軽い薬ではありません。抗不安薬の中では最強の部類に入り、使うほどに依存がでてきます。やめられなくなるので麻薬のようなものです。当院ではほとんど処方しません。

    不安障害も、日頃は何事もなく過ごすことができて、月に1回程度の発表当番が緊張する、というレベルの人から、毎日緊張して仕事にならないという人もいます。その頻度や具合によって治療の方針が変わってきます。根本からきちんと治すにはそれなりの治療をしますが、たまの緊張だけなら軽い抗不安薬や漢方とドキドキを抑えるβブロッカーという心臓の薬を組み合わせて使うことが多いと思います。とくに入試のような眠くなったら困るけど緊張するという状況では、抗不安薬は使えませんので、気をつけて処方を考えています。また、薬を使って緊張を和らげながら場数を踏むことで、だんだん慣れてきて緊張しなくなれば、それが理想です。