むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 認知症

    認知症の勉強会があったので、参加してきました。大学の先生が認知症を早い段階で診断する方法や治療に関する最新の知見について解説されました。私は開業前に老人病院で働いていたこともあり、高齢者の認知症はたくさん診てきました。むしろ、認知症がある方が普通といった世界でした。そうすると自然と認知症患者さんとの接し方から薬の使い方まで経験を通していろんな学びがありました。今日の講演では大学の先生ですからCTやMRI、脳血流のデータなどがあり、詳しい認知機能の検査もできる施設です。検査データがあればあるほど正確な診断ができます。認知症というのはアルツハイマーが有名ですが、それだけでなくレビー小体型認知症とか、脳血管性認知症とか色々あります。細かい診断ができるとそれに従って治療方針も異なってきます。

    一方私たちクリニックでは、できる検査が限られており、細かいことまではわからないことが多いと思います。必要によってはMRIのできる施設で検査をしてきてもらわないといけません。認知症の治療というと、薬を飲んで物忘れを治し、元どおりの状態に治す、というイメージかもしれませんが、それは正しくありません。今できるのは、困った症状を少しでも減らして日常生活を楽にすることです。昔と性格が変わって怒りっぽい(陽性症状という)とか、1日ボーとして過ごしている(陰性症状という)とかそういった症状を一つでも減らす治療という感じです。

    認知症というのは通常の病気と違って生活の中で出てくる不都合(困った症状)ですから、こんなことがあったとか、こういう失敗をしましたとか、そういう日常のエピソードが診断にとても役に立ちます。当の本人はあまり認知症の認識はありませんから、困ったことがないかを聞いても、大抵「特にありません」ということになりかねません。ご家族が付き添って来られる場合は、そういった情報をメモしてきていただくと助かります。

  • 鹿角霊芝が入荷しました

    霊芝というとサルノコシカケですが、がん患者さんや難治性の病気で苦しんでおられる方に広く使われている生薬です。通常は輸入物のサルノコシカケを刻んだものが流通しています。一方、鹿角霊芝というのはしいたけでいうならドンコです。まだ傘が開いていない状態のものを言います。見かけが鹿の角に似ているから鹿角という形容詞が付いています。漢方では本物の鹿の角を鹿茸(ろくじょう)と言って扱うので、紛らわしいのですが、それとは全く違います。鹿の角は動物生薬で独特の生臭みがあるそうですが、鹿角霊芝にはそのような嫌な臭みなどありません。高級なしいたけ(松茸のような)スープを少し苦くした感じの煎じ薬になります。他のメーカー(中国製)とは味わいがかなり違っています。国産で無農薬、しかも熊本の地下水で栽培された上質な霊芝ですので安全性に優れています。もし興味がある方は、当院向かいの調剤薬局(凌雲堂)にお尋ねください。

    最近は、がん患者さんからの要望もあり、中医学で抗がん作用の証明されている生薬(煎じ薬)も処方しています。抗がん作用のある処方だけではなく、霊芝や人参、附子といった免疫や体力を高める生薬をブレンドすることでがんと闘う体をサポートします。通常の西洋医学的な治療(抗がん剤や手術)に併用することもオススメです。ガンの種類や進行度(ステージ)に応じたオーダーメイドの処方を行います。なお、このような特殊な煎じ薬の処方は保険が効かない部分がありますので、その点はご了承ください。

    もう一つは、鍼治療の補助としてシール型の鍼があります。腰痛や肩こりにもいいですが、自律神経の治療その他色々使えます。このシール型の鍼(パイオネックス)はネット通販で購入することもできますが、当院の針治療の際には正確にツボの位置に貼って差し上げます。張り替え用に買って帰りたい場合は、原価で何枚でも小分けいたしますので、ご相談ください。

    パレアのロビーにて

  • うつと日光と肉食

    うつ症状は脳内のセロトニンの低下と関係していると言われています。そこで、抗うつ剤はセロトニンを増やす効果があります。そのセロトニンですが、材料となるのはトリプトファンというアミノ酸で、肉類に多く含まれています。また、セロトニンの代謝には食べた肉をアミノ酸に分解する腸内細菌と日光が大切だと言われています。

    そう考えると、鬱にならないためには十分肉類を食べて、日光にも当たる。そして腸内細菌を整えるために発酵食品や繊維質の野菜もきちんと食べることが大事ではないでしょうか。鬱症状が悪化して来院される人の毎日を尋ねると仕事が忙しくて十分な食事が摂れていない、朝から晩まで仕事をしていて日に当たる暇もない、そしてストレスで胃腸の調子が悪いから消化も良くない、そういう人が多い気がします。特に、最近肉を受け付けなくなりました、と言われる方が結構います。ベジタリアンでも十分量のタンパク質を取れば問題ないのですが、小食でベジタリアンでは体が持ちません。

    草食動物を思い出すと、牛も馬も一日中草を食べています。そのくらいたくさん草を食べれば肉を食べなくても体は健康を維持できるのですが、人はそういうわけにもいかず、特に鬱になるような人は食が細いので絶対量が足りていない気がします。体だけでなく、心にもバランス良い食事が必要なのです。

  • 敷地内禁煙

    天気の良い日曜日、近所の小学校では運動会でした。うちの子はもう大きくなり関係ないのですが、うちの子供が通っていた小学校とクリニックのある校区の小学校の2つを駆け足で見て回りました。気持ちよく晴れて本当に良い1日でした。一つ気になるのは、学校の正門前でタバコを吸っているお父さんたちが多いことです。もちろん小学校の敷地内は禁煙でしょうが、運動会を見に来たお父さんたちが校門前でずらっと並んでタバコを吸うのはちょっとどうかと思いました。

    世の中は、レストランをはじめとするあらゆる公共施設で禁煙になろうとしています。それは喜ばしいことですが、その施設の前で吸われるのは困ります。もちろん病院も禁煙です。当クリニックに限らずあらゆる医療機関が敷地内禁煙だと思います。敷地内禁煙というのは駐車場も含めてです。時々、病院関係者でも禁煙できていない人がいて、通勤中や職員駐車場(自分の車の中)で立て続けに吸いだめしてタバコの匂いをプンプンさせながら来る人がいます。病院では最初から採用基準に非喫煙者と限定すればいいのでしょうが、なかなか現実にはそれができません。私が開業前に勤めていた病院では、私が敷地内禁煙のプロジェクトリーダーだったのですが、ついには実現できませんでした。1000人ほどいる職員の全員を禁煙してもらうのは不可能でした。特に事務職、リハビリは喫煙率が高い。

    幸い当クリニックでは全員非喫煙者です。通院している患者さんには敷地内禁煙を協力いただいています。ただ、私のクリニックでは禁煙外来はやっていません。患者さんにあえてタバコを吸うなとは強要していません。害があることは百も承知で吸っていると思うからです。要は、吸う場所だけは配慮して欲しいと思っているのです。

    尾ノ上小学校にて

     

  • 熊本漢方談話会

    熊本漢方談話会という勉強会が年に2回あるのですが、私はその世話人です。昨夜は大分の織部先生に講演していただきました。織部先生は漢方会の重鎮で、お話しするのも非常に緊張します。講演内容は素晴らしく、一言一言が示唆に富むお話でした。漢方には古方(日本の流派)と、中医学(中国の最近の漢方理論)とがありますが、多くの漢方の重鎮の先生たちが古方派であるのに対し、織部先生は中医学的な理論にも大変詳しく、さらに古典もたくさん読んでおられて知識の幅広さといったら日本でも一番ではないかと思います。見習いたいものです。

    漢方の勉強は一生続きますが、講演する先生方も幾つになっても衰えることはありません。西洋医学と違って、大学での研究でなくても最先端をいけるからです。古典を読んで解釈したり、診療を通して新しい治療のコツをつかんだりしては後進の指導をします。年取ったぶん経験値が増えますから、私たちがこういった優れた先輩医に追いつくのは容易ではありません。常に勉強して、臨床を重ねて、立ち止まらないことです。それしかありません。

    このように西洋医学と違い、漢方には勉強に終わりがありませんし、大学のような定年もありませんから、自分の健康が続く限り続けることができます。みなさん漢方家は健康に対してはプロですから長生きされます私も見習いたいと思いました。

    パレアのロビーにて