むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • うつと日光と肉食

    うつ症状は脳内のセロトニンの低下と関係していると言われています。そこで、抗うつ剤はセロトニンを増やす効果があります。そのセロトニンですが、材料となるのはトリプトファンというアミノ酸で、肉類に多く含まれています。また、セロトニンの代謝には食べた肉をアミノ酸に分解する腸内細菌と日光が大切だと言われています。

    そう考えると、鬱にならないためには十分肉類を食べて、日光にも当たる。そして腸内細菌を整えるために発酵食品や繊維質の野菜もきちんと食べることが大事ではないでしょうか。鬱症状が悪化して来院される人の毎日を尋ねると仕事が忙しくて十分な食事が摂れていない、朝から晩まで仕事をしていて日に当たる暇もない、そしてストレスで胃腸の調子が悪いから消化も良くない、そういう人が多い気がします。特に、最近肉を受け付けなくなりました、と言われる方が結構います。ベジタリアンでも十分量のタンパク質を取れば問題ないのですが、小食でベジタリアンでは体が持ちません。

    草食動物を思い出すと、牛も馬も一日中草を食べています。そのくらいたくさん草を食べれば肉を食べなくても体は健康を維持できるのですが、人はそういうわけにもいかず、特に鬱になるような人は食が細いので絶対量が足りていない気がします。体だけでなく、心にもバランス良い食事が必要なのです。

  • 敷地内禁煙

    天気の良い日曜日、近所の小学校では運動会でした。うちの子はもう大きくなり関係ないのですが、うちの子供が通っていた小学校とクリニックのある校区の小学校の2つを駆け足で見て回りました。気持ちよく晴れて本当に良い1日でした。一つ気になるのは、学校の正門前でタバコを吸っているお父さんたちが多いことです。もちろん小学校の敷地内は禁煙でしょうが、運動会を見に来たお父さんたちが校門前でずらっと並んでタバコを吸うのはちょっとどうかと思いました。

    世の中は、レストランをはじめとするあらゆる公共施設で禁煙になろうとしています。それは喜ばしいことですが、その施設の前で吸われるのは困ります。もちろん病院も禁煙です。当クリニックに限らずあらゆる医療機関が敷地内禁煙だと思います。敷地内禁煙というのは駐車場も含めてです。時々、病院関係者でも禁煙できていない人がいて、通勤中や職員駐車場(自分の車の中)で立て続けに吸いだめしてタバコの匂いをプンプンさせながら来る人がいます。病院では最初から採用基準に非喫煙者と限定すればいいのでしょうが、なかなか現実にはそれができません。私が開業前に勤めていた病院では、私が敷地内禁煙のプロジェクトリーダーだったのですが、ついには実現できませんでした。1000人ほどいる職員の全員を禁煙してもらうのは不可能でした。特に事務職、リハビリは喫煙率が高い。

    幸い当クリニックでは全員非喫煙者です。通院している患者さんには敷地内禁煙を協力いただいています。ただ、私のクリニックでは禁煙外来はやっていません。患者さんにあえてタバコを吸うなとは強要していません。害があることは百も承知で吸っていると思うからです。要は、吸う場所だけは配慮して欲しいと思っているのです。

    尾ノ上小学校にて

     

  • 熊本漢方談話会

    熊本漢方談話会という勉強会が年に2回あるのですが、私はその世話人です。昨夜は大分の織部先生に講演していただきました。織部先生は漢方会の重鎮で、お話しするのも非常に緊張します。講演内容は素晴らしく、一言一言が示唆に富むお話でした。漢方には古方(日本の流派)と、中医学(中国の最近の漢方理論)とがありますが、多くの漢方の重鎮の先生たちが古方派であるのに対し、織部先生は中医学的な理論にも大変詳しく、さらに古典もたくさん読んでおられて知識の幅広さといったら日本でも一番ではないかと思います。見習いたいものです。

    漢方の勉強は一生続きますが、講演する先生方も幾つになっても衰えることはありません。西洋医学と違って、大学での研究でなくても最先端をいけるからです。古典を読んで解釈したり、診療を通して新しい治療のコツをつかんだりしては後進の指導をします。年取ったぶん経験値が増えますから、私たちがこういった優れた先輩医に追いつくのは容易ではありません。常に勉強して、臨床を重ねて、立ち止まらないことです。それしかありません。

    このように西洋医学と違い、漢方には勉強に終わりがありませんし、大学のような定年もありませんから、自分の健康が続く限り続けることができます。みなさん漢方家は健康に対してはプロですから長生きされます私も見習いたいと思いました。

    パレアのロビーにて

  • 腰痛を自分で治す

    このブログを書き始めて1年が経ちました。サーバーが1年レンタルになっていたので、更新の手続きをしました。書き始めてから今日まで、書かなかったのはたったの1回です。したがって370ページくらいあります。唯一書けなかった1回というのは、風邪で寝込んでしまった日でした。寝込んでしまっても指は動くので、ブログぐらいかけるのですが、書くネタを思いつかなかったのです。やはり1日仕事も何もしないと書くネタに困ってしまいます。風邪でうちにいては頭も働きませんので、何も書けなかったというわけです。

    ところで今日は、朝から腰痛でした。五月に入ってから雨の日以外は徒歩通勤で、片道30分、往復で1万歩の運動をしています。診療の疲れや運動不足はこれだけでかなり解消されます。しかし、今朝は歩いて職場に行った後からなんとなく腰に違和感です。こういうときは、自分で治します。今日は鍉鍼(ていしん)を使ってみました。鍉鍼というのは金属の棒状のもので刺さらない鍼です。これであちこちのツボを刺激したところ、バッチリ治りました。

    こういう時に楽しいのはツボの開発です。こういう腰痛にはどのツボが効果的か、身を以て体験できるのです。腰が痛くても腰はあまり触らず、膝の裏とか、脛の筋肉などを触りながら治療します。おそらく昔の人たちもこうやってツボを見つけたんだろうなと思うと、一人自分の足をさすりながら先人の叡智にロマンを感じるのです。

  • 週1回の糖尿病薬

    以前このブログに紹介したことのある週1回タイプの糖尿病治療薬の話です。週に1回しか飲まないでいいというのはホントかな?と思うのですが、症例を重ねて見て、本当に効くのを確認しました。なんとも便利な薬です。ただ、糖尿病も進行して複数の薬を使わないと行けないようなら、あまりメリットがありません。そう考えると、健診で見つかったばかりの軽い糖尿病で、食事療法や運動療法で頑張ればなんとかなるかもしれないけどとりあえず薬できちんと下げておく、というような症例ではとてもいいと思います。

    また別の便利な使い方としては、高齢者です。週1回なら訪問看護などのサービスを受けた時に飲ませてもらえばいいし、週末に家族が様子を見に来た時に1回だけきちんと飲ませてもらってもいいと思います。週1回製剤のメリットはそういう服薬管理のしやすさだと思います。

    ところで高齢者の糖尿病の治療ですが、若い年代できちんと血糖管理をしておけば、歳をとってからはかなりゆるい血糖管理で良くなります。若い時代にきちんと治療することで将来のぶんまでリスクを軽減できるのです。歳をとって厳しい血糖管理をしていると、時に低血糖を起こすことがありそちらの方が問題となります。外国の大規模臨床研究で、厳しすぎる血糖管理は問題だという結果が出ています。そういう意味でも、若い時代はきちんと厳しく節制し、歳をとったら週1回製剤などを使いながら治療してはどうかと思っています。

    綺麗な夕日でした。錦ケ丘中付近にて。