むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 副鼻腔炎と漢方

    副鼻腔炎(蓄膿症)は風邪や花粉症で鼻づまりが長引いたりした後におこってきます。鼻の横の頬に重い痛みが出ます。時には目と目の間や眉の上(額)に痛みが来ることもあります。軽く叩いて響くようなら副鼻腔炎になっている可能性が大です。

    耳鼻科に行くと抗生物質と去痰剤が処方されます。結構長いこと内服しないと治りにくいものです。時には抗生剤の種類を変えながら何ヶ月も治療することもあるし、手術になることもあります。しかし、一方で漢方薬も副鼻腔炎には有効です。ななかな治らないので漢方にすがってくる患者さんがおられますが、結構よく効きます。試す価値は大いにあると思います。

    最近のガイドラインでは、風邪や副鼻腔炎でもひどくない場合は抗生物質を使わないようにと言われています。大抵の場合ウイルス感染に伴う炎症なので、理屈から考えても抗生物質は効かないのです。抗生物質というのは細菌感染症には有効ですが、ウイルス感染には無効なのです。そこで、早めに漢方を使うのもいいのではないかと思います。

     

  • 糖尿病カンファレンス

    私たち内科クリニックで糖尿病をたくさん見ているドクターの定期的な勉強会があります。私も数年前からこのグループで勉強しています。参加者持ち回りで自分の研究テーマなどを発表します。今日は私が発表の当番だったため、糖尿病で起こってくる心の病を治す、というテーマで講演をしました。

    厚労省のホームページによると糖尿病ではうつ状態になっている患者さんが30%にものぼるそうです。しかし、糖尿病を専門とする先生たちは多忙のため、なかなか心の問題をゆっくりと話を聞いている暇がありません。その結果、その症状は治せないとか、難しいといった話で終わりになっている場合が多いようです。

    そこで本日私の講演では、こういった心因性の訴えをいかに診療するかについてのポイントをお話ししました。参加者はみんな積極的に質問してきて興味深く聞いてもらったようです。一人でも多くの患者さんに心の病も治療してもらって快適に過ごしてもらえればと思い、いろんな診察・治療のノウハウを披露しました。すぐにではなくとも、きっと患者さんのお役にたつことと思います。

  • 電池切れのような症状を治す

    夕方になると電池が切れたように疲れて動けなくなる、という人がいます。皆さんもそういう経験はありませんか。そんな時、朝になればまた元気になるからと病院にもかからず、仕事から帰ったらばったり寝てしまう、そんな生活をしていませんか。男性なら元気づけにお酒を飲む、女性なら疲れを取るためにスイーツに走る、ということも多いかもしれません。しかし、このようなお酒やスイーツは一時的に疲れが取れたように見えても根本的にはあまり変わりありません。

    電池が切れたように疲れる原因は、慢性病が隠れている場合もありますが、仕事のストレス、長時間労働、飲み会などが続いて胃腸が疲れている、逆に栄養が足りていないなど色々考えられます。漢方では、このような症状を「気虚」と呼びます。「気」の不足という意味です。「気」が不足すると疲れやすいだけでなく、食欲低下、冷え、風邪をひきやすい、などの症状も見られます。

    このような「気虚」の症状が出たら、「補気剤」が有効です。漢方生薬で言えば、朝鮮人参が有名です。人参は高価ですので、保険外で買おうとするとなかなか長続きしません。しかし、幸いわが国では、国民皆保険のおかげで医療費は1−3割負担ですみます。実際には人参だけを処方するわけでなく、人参を含んだ処方を用います。その方が、少ない人参で気を補いつつ、他の生薬の力も借りて疲れを取ります。補中益気湯や十全大補湯というのが代表的な処方となります。もちろんこういった処方は保険の適応です。

  • うまい相談の方法

    2週前の日曜に休日当番医をして、次の日曜には街頭でのボランティア。土曜の午後は医師会の学校心臓検診が2週続けてあり、ただいま15連勤中です。今週土曜の夕方まで全く休む暇がないので、20連勤まで行きます。ここは気合で乗り切るしかありません。

    気合を入れるといえば、もう一つ。当院には遠方からわざわざ来院される方がたくさんいらっしゃいます。これまでにいくつもの病院にかかったり検査を受けたりして、結局何年も改善せずに悩まされている人たちです。漢方なら治るかもしれないとか、これだけ通常の治療をして治らないので、心療内科的な治療をした方が治るかもしれないとか、いろんな期待を持って来院されます。そういう事情をお聞きすると、俄然気合が入ります。こんなに困っているのだから、なんとか助けてあげたい。一心にそう思います。

    これまでいろんな検査を受けたり、薬を投与されてきた場合、それが効かなかったにしろ、重要な情報です。私のところまでわざわざきたのに、また以前効かなかった薬をもらって帰っても仕方ありませんから、できるだけの情報をお持ちいただけると助かります。これまでの病状と検査データから病態に関して仮説を立てます。その仮説のうちいくつかは過去の治療が効かなかったという情報で消去されますから、残った可能性に的を絞っていけば、治療がうまく行く可能性が高くなるのです。これは、当院を受診する際だけでなく、いつでもどこでも言えることですから、ぜひ参考にされてください。

    まるで一眼レフで撮ったような写真ですが、iPodです。ホスピタルメントの玄関前です。

     

  • 薬はいつまで飲むのか

    日曜の午後は下通りで医療相談のボランティアに参加しました。わざわざ会いにきていただいた皆さん、ありがとうございます。初参加だったので、医療相談コーナーで、皆さんはどんなことを聞いてくるのだろうと思っていました。終わってみて振り返ると、今飲んでいる薬をいつまで飲む必要があるのか、という感じの質問が多かった気がします。つまり、いつもお世話になっているかかりつけの先生がいるけど、その治療はいつまで続くのか、通院は終わらないのか、なかなか聞けない質問だと思います。

    実際、この質問に答えるのは難しいです。なぜなら、薬をいつまで飲むかは一概に返事できる内容でないからです。薬を使うということは、その薬を使うことで得られるメリットと、副作用などのデメリットとのバランスを考えて、メリットがデメリットを上回ると判断されてこそ意味があるのです。しかし、例えばコレステロールの薬をいつまで飲んだほうがいいかといえば、かなり個別対応の回答となります。その人の年齢、タバコを吸うのか、血圧は高くないのか、糖尿病はないのか、脳梗塞の既往がないかといった情報を集めて、やっとコレステロールを下げたほうがいいか、そのまま様子を見てもいいのかという判断ができるのです。

    週刊誌を見ると、コレステロールの薬は飲むべきではないと書かれていたりしますが、それは一部の人にとっての話で、みんなに当てはまるわけではないのです。タバコを吸う人、血圧や血糖が高い人などには服用のメリットがあります。ただ、80歳を超えるような人の場合、だんだんメリットが薄れてきてデメリットが増えていきます。そこで、今まで飲んでいた薬をやめてもいいという判断もあります。このように治療するかしないかは個別でしか判断できず、みんなに一概に言えるものはないということをご理解いただきたいと思います。