むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 高齢者の糖尿病

    先週末に東京で糖尿病の勉強会があり、参加してきました。超高齢者の糖尿病をいかに管理するかという話題でした。高齢化社会の中で高齢者が人口の大半を占めるようになると、准高齢者(65歳から74歳)、高齢者(75歳から89歳)などと年齢で分けたりしますが、それより高齢な年代を超高齢者(90歳以上)と言います。今や元気な90歳以上は珍しいことではありません。そういう超高齢者の糖尿病はどういう基準で治療するべきかということは、実際あまり論議されていません。基準を作るのが難しいと思うのです。とても元気な90歳代もいれば、寝たきりの人もいるからです。

    糖尿病の管理は通常ヘモグロビンA1cという検査データで判断します。通常7%以下を目指します。しかし、超高齢者の場合、8.5%以下というかなり穏やかな基準になっているようです。高血糖を管理するというより、治療で下げすぎる方が危険とされているのです。もし、糖尿病を治療中でA1cが6%を切ったような場合は下げすぎです。数字が良好と安心することなく内服薬の調整が必要です。低血糖は認知症のリスクにもなるし、場合によっては寿命に影響します。

    月曜は帯山地区の勉強会に参加しました。こちらは糖尿病患者さんは骨折が多いという話題でした。糖尿病患者さんの骨は糖化現象といって骨の構造タンパクであるコラーゲンが血糖(ブドウ糖)で糖化されて飴状に変化して、しなやかさが損なわれるのです。これはコラーゲンの異常なので、骨密度とは関係ない骨折を誘発します。いずれも、血糖をきちんとコントロールすることがいかに大切かということです。

    日の出前の皇居の桜田門前。東京といえば皇居ランです。私はいつも桜田門を起点に走ります。前半が登り、後半が下りの走りやすいコース(1周5キロ)となります。

  • 幕の内食べ

    テレビを見ていたら、ダイエット専門クリニックの先生が食習慣を変えるだけで痩せられるといっていました。

    幕の内食べ:食事は小皿で色々な料理をちょこちょこ食べる。ちょうど幕の内弁当のような感じ。おかずは5品以上。揚げ物なども食べていいが、少量にする。メニューはできるだけカロリーの低い和食中心にする

    とのことです。できそうでしょう。おかずを色々作るのが面倒と思うかもしれませんが、買ってきたお惣菜を組み合わせて5品以上だったら簡単ではないでしょうか。

  • 白衣とスクラブ

    最近の医療ドラマを見ると、大病院で働く若いドクターは赤や青のスクラブ(術衣のようなもの)を来ています。昔はスクラブは手術室専用で、外科の先生がたまに手術の時以外でもスクラブの上に白衣をはおって仕事をしていました。最近は内科医もスクラブを来ています。流行りです。アメリカでは、単色のスクラブもありますが、ミッキーや猫などの柄物がたくさんあり、学生やナースなどは家からそういったカラフルなスクラブを着て通勤していました。もちろん、仕事帰りもそのままの格好でスーパーで買い物という人がたくさんいました。きっとこの人たちは寝るときもこの格好ではないだろうかと思ったほどです。

    私の場合はというと、クリニックでは原則白衣、訪問診療ではスクラブにしています。漫才師に春日という人がいますが、いつもピンクのベストを着ていますね。あれと同じで、私は白衣を着て仕事をするといつもの院長という風に認識されます。春日がピンク以外のベストを着ないのと同じで私にとって白衣が仕事上のトレードマークのようなものですから、そうそう変えられません。

    一方、訪問時はそれぞれのお宅にお邪魔するのですが、急患ではなく定期的に(体調が良くても)訪問して体調を管理するのが仕事ですから、白衣で行くのはちょっと場違いな気がします。特に、個人のお宅に白衣で訪問すると、あそこのおばあちゃんは病気かしら、という風に近所の人から見られるのではないかと思います。実は、どうもなくても私たちは契約で様子を見にいっているだけなので、近所の人に病気かしらという目で見られるのはご本人にとっても心外だと思うのです。そういうわけで、私は毎日クリニック用の白衣と訪問用のスクラブを使い分けています。

     

  • ファイン

    当院から車で10分くらいのところにメディカルケアセンターファインという病院があります。三郎という住所ですが、帯山や尾ノ上からすぐです。今月からこの病院は桜十字グループになりました。私が開業する前にいた桜十字病院ですが、今回私のクリニックの近くに関連病院ができたことで、事務方が挨拶に来てくれました。今後、当院とも連携して東区の医療の充実に貢献できると思います。

    私たちのように無床のクリニックの場合、患者さんが重症化した際に入院先を探さないといけません。緊急性がある場合や高度医療を必要とする場合は日赤に頼んでいますが、そこまではないけど入院が必要という場合があります。高齢者の低栄養、褥瘡、肺炎などです。しかし、高齢化が進んでどこの施設も入院患者さんで溢れており、なかなか空きを探すのが困難な状況です。そういう状況でも、日頃から連携して顔の見える関係にある病院とは患者さんの入院依頼もスムーズにいきます。

    うちのクリニックの外来患者さんは比較的若く、現役世代が多いのですが、訪問診療や往診をしている高齢患者さんの場合、ちょっとしたことで入院が必要となります。今までは遠い桜十字病院に頼んでいましたが、これからは近くのファインに入院できれば、患者さんのご家族にもメリットです。何しろ、10分で行ける距離です。そして、近いので私も週末などちょっと顔を見に行けるだろうと思います。

    偶然ですが、昨日今日写真にアップしたハロウィンのジャコランタン(オレンジ色のかぼちゃおばけ)はメディカルケアセンター・ファインのロビーで撮った写真です。

  • 強迫性障害

    強迫性障害という病態があります。不合理とわかっていてもやめられない困った症状がある人のことを指します。例えば、手を洗っても洗っても洗い足りず、石鹸を一日で使い果たすくらい手を洗い続ける人。また、外出するときに鍵をかけたか、電気を消したが、ガスの元栓を止めたか、何度確認しても納得せずに確認行為を繰り返し続けた挙句遅刻してしまう。いろんなパタンがあります。

    先日当院に来た患者さんはちょっと変わっていました。台風の進路を確認せずには気がすまない、何度もなんども進路が変わっていないか、レーダーなどの情報を見続けるとのことでした。おりしも、九州に台風直撃かというニュースで最接近まであと二日という時点で来院されました。このタイミングで間に合うかな、と思いながら、強迫性障害に使う薬剤を急いできかせるために2剤併用しました。その結果、先週末の台風でも進路を確認しても焦ることなく冷静に対応できたとお喜びの声をいただきました。台風直撃のたった二日前に来院されたのによくきいたと思います。

    このように、過度の確認行為などで日常生活に支障をきたし、自分でもなぜそこまでと不合理性に気がついていてもやめられないという場合、薬で治ることもあります。今回の症例のように、うまくいけば無駄に神経をすり減らさず、快適な生活ができるようになります。