むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 患者さんにシンクロして考える

    しばらく暇な日が続いていましたが、今日は朝から全く休む間もないほど大勢の患者さんに来ていただきました。午前中は待ち時間が長くなり、ご迷惑をおかけしました。定期処方を取りに来ただけという方にはとくに申し訳ないと思っています。途中、日赤に紹介しないといけないような患者さんがいると、さすがに30分位はかかってしまいます。重症患者さんはゆっくりしていられませんので、どうぞご了承下さい。また、漢方の相談や心療内科の新患では結構考える時間が必要です。パッと見てぱっと処方が決まる、というわけではありません。じっくり話を聞いて、いくつもの治療方法を考え、最もその患者さんに適していると思う処方に決定するまで、ある程度時間がかかります。血圧が高い人に血圧の薬を出すのと違い、簡単ではないのです。

    頭がいたいというだけでも、どんなときにどんなふうに痛いのか、その痛みを起こしている原因はストレスか、肩こりか、その他何かないか、根掘り葉掘り聞き出します。聞いているうちにだんだん自分が患者さんにシンクロしてきます。すると、患者さんのことでなく自分を治すみたいな感覚で必要な薬が頭に浮かんできます。鎮痛剤でいくか、抗うつ薬でいくか、漢方にするか。漢方の中でも、柴胡を使うか、葛根を使うかなどだんだんアイディアが決まってきます。

    そこまで情報を聞き出せた時は治療もうまくいきます。ほとんど自分が患者さんの困った症状を実体験する感覚で処方を決めるのです。逆に、情報が少なすぎるとこちらもきちんと患者さんの悩みを把握できずぼんやりした処方になってしまいます。このように、私は初診の問診に時間をかけていますので、ご協力をお願いします。

    白川

     

     

  • スタッフは誰もインフルにかからず

    当クリニックのスタッフは全部で10名ほどいますが、この冬誰ひとりとしてインフルエンザにはかかりませんでした。素晴らしい。なぜだかを証明することはできません。患者さんのインフルエンザの検査をすると目の前で派手にくしゃみしたり咳き込んだりされるので、大量のウイルスに暴露されていることは間違いありません。実は、これが私達の免疫獲得に重要なのです。毎日ウイルスにさらされていると、体には免疫がつきます。これは気道から入ってくるウイルスなので、気道に抗体(IgA)が産生されます。一方、ワクチンを接種した場合、皮下に注射しますから抗体は喉や鼻でなく血液中にできます。これは主にIgGです。皆さん想像できると思いますが、ウイルスは鼻や喉を介して体内に侵入しますから、抗体は血液中にあるより鼻、喉、気道にあってほしものです。したがって、ワクチンと比べて患者さんから直接獲得した免疫こそ強力な風邪予防効果を発揮するのです。

    私はこの冬、スタッフさんたちが自由に飲めるようにビタミンBミックス、C, Eを外来のカウンターにおいておきました。これも体調管理に一役買ったことと思います。風邪の予防にはビタミンCといいますが、一日にレモンを50個や100個はとても食べられません。健康維持に必要なビタミン量と、治療効果を発揮する量は桁が違います。とても食事でまかなえる量ではありません。そのようなメガビタミン療法に目覚めたのもこの冬の収穫でした。

    あと、大事なのはストレスです。ストレスが多いと免疫能は低下します。免疫を落とさないよう、ストレスは避けたいものです。しかし、医療という現場は比較的ストレスの多い職場ではあります。それは、病院という仕事上、来院いただく患者さんの命とか人生とか、幸せなどを預かっているという責任がありますから、学生サークルのような気分での仕事が許されないのは当然だからです。

    シャワー通りにて

  • ウォーキングは健康の基本

    皆さんは毎日どのくらい歩きますか?私は仕事でずっと椅子に座っていますからほとんど歩きません。下手をすると一日で2000歩も行きません。ただ犬の散歩で毎日2000歩は歩くので、それを合わせると4000歩です。これでは、通常推奨されている1日8千歩とか1万歩には半分にも及びません。これではいけないと思い、最近は診察の合間に一旦立ち上がって診察室内をウロウロします。それでもおそらく10歩くらいでしょうか?できるだけ天気が良い日は自宅からクリニックまで歩いています。そうすると、1日1万2千歩はいけます。理想的です。ただ、時間がかかるのでスケジュールに余裕が無いとできません。あと2週間もすると桜が咲いて歩くだけで花見気分になれますから、今が一年でいちばん歩くのにいい季節です。

    東京に住む子どもたちが最近帰省してきましたが、東京に住んで、歩く習慣ができたようです。熊本にいる頃はすぐそこまででも車で連れて行って、といっていましたが、今では4-5キロくらいなら散歩感覚で歩きます。東京での移動は電車が基本ですから、駅から目的地までは歩くのが普通です。交通が発展している東京でこそたくさん歩きます。逆に私達田舎暮らしの人間はどこでも駐車場があるので車で行ってしまいます。本当に歩かないで生活できてしまいます。これは問題です。

    歩くのにはお金はかかりません。好きなところを好きなように歩けばいいのです。ただ、靴だけは歩きやすいものにしましょう。靴底を見てかかとのすり減り方に左右差がある場合、歩き方に変な癖があると考えられます。骨盤がゆがんでいたり、膝の具合に左右差があったりです。ウォーキング仲間に真後ろから見て歪みがないかチェックしてもらうといいでしょう。

  • ココナッツ油は認知症予防

    日曜は地域医療センターの出動協力医として救急外来をお手伝いしました。インフルエンザも下火となり、いつもになく静かな外来でした。これからしばらくは気候もよく過ごしやすい毎日ですから、風邪なども少ないと思います。一方、決算月でもあり、卒業、転勤、引っ越しなど人生の節目となる時期でもあるため、多くの人にとってストレスがかなり大きい時期です。実はかなりのストレスでも、あまりにもしないといけないことが多すぎて体調に異変を来しても気力でなんとかしてしまう時期でもあります。くれぐれも無理しないようにしましょう。

    今年は花粉症がかなり多いようです。抗ヒスタミン剤、ステロイドの点鼻薬、目薬など通常病院ではそういう薬を処方します。一方、サプリの関係では、ビタミンA, ビタミンD, オメガ3などが花粉症に有効だとされています。こういったビタミンやオイルだと、眠気は来ないし、副作用の心配もなくこんなにいいことはありません。もしお困りでしたら、こういったサプリも摂取しておくことをおすすめします。

    オイルは色々話題のものがあります。亜麻仁油やえごま油などはからだによいと言われる代表ですが、やたら高いし、料理にどう使うのかよくわからない。結局私自身は亜麻仁油もえごま油もとっていません。一方、ココナッツオイルは大好きです。野菜炒めをするにもいいし、カレーに風味付けにしてもよい。コーヒーにスプーン1杯入れてもいい。ココナッツ脂は中鎖脂肪酸でほとんど体で燃焼してしまって身につきません。肥満の心配がないだけでなく、ケトン体となって脳で栄養となるため認知症に抜群の効果を発揮すると言われています。わたしは毎日スプーン1杯のココナッツ脂をとるようにしています。

     

  • 漢方だけには頼らない

    当院のポリシーとして、患者さんにとってベストと思う治療方法を考えます。ベストというのは副作用が少ないから漢方で、というわけではありません。例えば、血圧をきちんと下げるのには漢方では無理です。西洋薬ではいろんな強さの薬がたくさんあり、患者さんごとに最も適している薬が必ずあります。これを、たんに漢方のほうが良さそうだというイメージで漢方にこだわるのは、なんのメリットもありません。西洋薬も10年20年飲んで、全く副作用のないものがあります。逆に漢方は何年も飲むとかなりの確率で副作用が出ます。こういう事実を総合的に考えて、ベストな治療法を考えています。

    私の知り合いの漢方専門の先生がいます。この先生は西洋薬に対してかなり否定的で、コレステロールも血圧も薬は飲まないと徹底していました。しかし、最近聞いたところ、心臓の血管が詰まってしまって、ついには冠動脈のバイパス手術を受けないといけなくなったそうです。もし、10年前からコレステロールの治療薬を飲んでいれば、こんなことにならなかったのではないかと思われますが、今となってはそれは言えません。

    そういう事実を考えると、私も患者さんには漢方ばかり勧めることはありません。西洋薬に優れた薬があれば、当然そちらの方を優先します。逆に漢方のほうが間違いなくいいと思えば、多少飲みにくくても頑張って飲んでもらいます。ただ、風邪の治療のように、結果的にどっちでもいい場合もあるので、そこは患者さんとの話し合いでいいように決めているのが実際です。