むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 自宅にも血圧計を

    血圧計を持っていますか?家庭で測る血圧と病院で測る血圧には結構差が出ます。多くの人は家庭ではそんなに高くないのに病院ではなぜか高くなるといいます。これを白衣高血圧と言います。大事なのは家庭での日頃の血圧ですから、病院での数値より家庭の血圧を重視します。以前は水銀柱の血圧計で聴診器がないと測れませんでした。これにはうまく測るための練習も必要で、家庭で気軽に測る事はできませんでした。今はスイッチを押すだけで測れる自動血圧計が簡単に入手され、家庭用でもかなり精度が良く、信頼できます。

    家庭に血圧計がないので、スポーツジムや温泉施設においてあるものを使って時々測るという方もいます。これには一つポイントがあります。運動や入浴の前に測ることです。運動や入浴の結果、末梢の血管が拡張して血管抵抗が下がりますから血圧は必然的に下がります。その数字だけを信じていては正しい評価ができません。

    もう一つ家庭で測るポイントが、朝の薬を飲む前に測るということです。病院で測る時は朝の薬を飲んで数時間たっており、いちばん薬の効果が出ているタイミングです。このタイミングでいい血圧でも、朝の薬を飲む前には薬の効果が切れて高くなっていることがしばしば見られます。血圧の薬を飲んでいる方やそろそろ飲む必要がありそうなら血圧計をご家庭に常備されることをおすすめします。その際には医療用メーカーのテルモやオムロンの上腕で測るタイプをおすすめします。

    ホスピタルメントにて芝桜

  • お知らせ:新年度から若干体制が変わります

    新年度が始まりました。この4月に診療報酬改定がありましたので、医療行為(診察料など)および薬剤料(薬局での支払い)の計算が変わります。実際には下がったところ、上がったところがあり、トータルでどうなるかは始まってみないとわかりません。先月までと同じ診察内容で同じ薬をもらったとしても、支払いが少し変わると思いますが、ご了承下さい。ただ、クリニックの場合それほど大きな変化はないと思っています。

    当院では昼休み時間に訪問診療をしています。私は午前の診療が終わり次第3分ほどで弁当を食べたらすぐに往診へ出かけています。最近は訪問診療の人数も増えてきて、昼休みは2時半までとっているのですが、午後の診療に間に合うように返ってくるのが厳しくなってきています。そこで、この4月から午前の外来の受付を原則として12時までとします。診療時間は従来通り12時半までですので、かわりはありません。やむを得ない事情がある場合は受付にてご相談下さい。

    もう一つ、4月からシステムが変わるのが、金曜午後の真紀先生の精神科専門外来です。真紀先生外来はこれまで月に2回でしたが、事情により今月より月1回(原則として第3金曜の午後)になります。そのため混雑が予想されますので、予約制とします。ご協力のほどよろしくおねがいします。

    城南の火の国マルシェのすぐ横です。見渡す限り菜の花畑で感動しました

  • 糖尿病と筋力低下(サルコペニア)

    土曜日の夕方、糖尿病の勉強会に参加しました。テーマは、筋力低下です。糖尿病がある場合、ない人に比べて筋力低下(サルコペニア)が増加するそうです。理由は色々考えられます。一つはインスリン感受性の低下。糖尿病の人の多くはインスリンが出ているのに、体の反応が悪くなります。その結果、血液中のブドウ糖が組織に取り込まれずに余ってしまい、高血糖になります。つまりインスリン感受性が低下することで糖の利用が効率的にできないため筋肉もエネルギー不足になってしまいます。

    また、糖尿病ではカロリー摂取を制限するため、栄養不足になっています。栄養とカロリーは違います。炭水化物はカロリーですが、栄養ではありません。肉、魚、野菜などは栄養です。タンパク質、ミネラル、ビタミンをたくさん含みます。したがって、糖尿病の人は炭水化物を制限し、おかずはきちんと食べるべきなのですが、ご飯もおかずも制限してこじんまりした食事にしてしまうので体が痩せてしまいます。糖尿病の人の栄養不足を解消するには、体重1キロあたり1-1.2gのタンパク質、ビタミンA, B, C, D, Eをまんべんなく十分量とる必要があると言うお話でした。従来の栄養指導が完全に旧石器時代の遺物になったくらい重大なパラダイムシフトです。私が思うに、これだけのビタミンを食事制限しながらとるのは難しいので、やはりサプリをうまく利用すべきではないでしょうか。

    ローカロリーで栄養のあるものといえば、豆腐、チーズ、卵、赤身の肉、チキンなどです。こういったタンパク質と野菜をしっかり食べることが大切だと思います。また、糖尿病の人はこれまでヘモグロビンA1cをできるだけ低く設定して頑張っていましたが、65歳以上の患者さんの場合、7を切らないように(7から8の間で)コントロールするべきだと言うお話でした。大変勉強になりました。

    往診先のホスピタルメントにて

     

  • 咳の季節

    いよいよ年度の年の瀬(というのでしょうか)。皆さん忙しいことと思います。今日は往診に出かける道中いつもに増して交通量が多く、時間がかかりました。連日の快晴で気温もぐんぐん上がり半袖で気持ちよく過ごせます。過ごしやすいのですが、空気は相当乾燥しています。肌も乾くし、埃っぽいですね。この時期は喘息も出やすい季節です。気温の変化が大きいので、昼の薄着のまま夜に出歩くと風邪を引いてしまいます。注意しましょう。

    風邪のあとに咳だけがいつまでもとれないことがあります。咳喘息と言います。本物の喘息ではないのですが、喘息の薬が効きます。気管支拡張剤や吸入薬を使うことでしつこい咳が改善します。単なる咳止めだけではなかなか治らない病態です。

    長引く咳には漢方がいい場合もあります。漢方薬で咳に効く薬はいくつもあるのですが、長引く咳には麦門冬湯がよく効きます。風邪の後に喉がいがらっぽく咳が出るときによく効きます。また、麦門冬湯が効きそうなのに効かなかったときには滋陰降火湯という処方が有効です。漢方ではこのようにいろんな処方があります。

    雲ひとつない夕暮(山ノ内小学校近く)

  • だるい(倦怠感)の原因は?

    倦怠感で来院される患者さんが多く見られます。倦怠感を来す疾患はいろいろあり、鑑別が非常に難しいものです。いちばん見逃して困るのはガンです。私たちは倦怠感で相談された際に真っ先にガンでないかどうかを考えます。次にありがちなのが、貧血、肝機能障害、甲状腺疾患などです。これらは採血をすればすぐに判定できるため、必ず検査はしておかないといけません。心不全や腎不全でもだるくなります。この場合少し動いただけで息切れしたりします。

    そういった内臓疾患以外にも色々考えられます。睡眠不足、栄養不足(バランスの悪い食事)、ストレス、過労などです。食べすぎてきつくなることもあります。胃腸が疲れてしまうのもその原因ですが、炭水化物(ご飯、麺、パン、お菓子など)を取りすごるとビタミンB1が多量に消費されれる結果、倦怠感が出てきます。よく、疲れたからと言って甘いもので元気を出そうとして結果的に炭水化物の摂取過剰でだるくなる場合があります。アリナミン(ビタミンB1)が疲れに効くのはこの為です。疲れたときに甘いものを取りすぎるのはよくありません。米を主食とする日本人の場合特に炭水化物の摂取が多すぎる傾向にあり、ビタミンB1が欠乏しやすいと言われています。

    そういった可能性をすべて考えてもピンとこない場合は鬱かもしれません。鬱では、食欲がない、眠れないなどと同時に何もする気がしないという症状が出てきます。眠れないからとか、食べていないからとか短絡的に考えず、総合的に考えて見たらうつの存在に気づきます。他にもまだあると思いますが、外来に「体がきつい」と言って来院された際には、このようにひたすらいろんな原因を考えながら探っていきます。

    花見をするうちのゴン