むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 抑肝散加陳皮半夏

    今日は外来患者さんと訪問診療を合わせると120名近い数でした。とても混み合いましたので、待合での待ち時間が長くなったと思います。ご来院いただいた皆様にはご迷惑をおかけしました。また、ご協力いただきありがとうございました。さて、その忙しかった診療のあとは漢方の講演会でした。私は座長で司会進行だけだったのですが、慌ただしいことこの上ないです。今回の講演のテーマは抑肝散加陳皮半夏でした。この処方は当院でもトップ3くらいに入ると思う処方です。大変重宝しています。抑肝散といえば認知症の薬として知られていますが、本来は子供の夜泣きなどを治療する薬でした。そして、今ではいろいろな経験を通して幅広く有効性が確かめられています。

    私が最もこの処方を使うのは職場や学校のストレスで体調を壊した人。気分が落ち込んだりイライラしたりするのにはとても有効です。次に多いのは月経前症候群や更年期症候群でイライラするときです。少し珍しい使い方としては、慢性頭痛で鎮痛剤を使いすぎたせいで薬物乱用頭痛というのがあり、鎮痛剤を飲めば飲むほど頭痛が悪化するという悪循環を抑肝散加陳皮半夏を入れることで断ち切ることができるという使い方をします。

    他には、ストレスで目の周りの筋肉がピクピクすると言うのには特効薬です。また、最近当院によく来院されるむずむず脚症候群(レストレスレッグス)も抑肝散加陳皮半夏がよく効きます。不眠で睡眠薬に頼りたくないという場合にもよく使います。寝るときに歯を食いしばって顎関節が痛いとか歯がかけてしまったという場合も有効です。このように、漢方というのは西洋薬と違い、幅広く有効で、どこがどう効いているのかわかりにくいところもありますが、漢方医学的には肝気鬱結などと難しい言葉で把握されている病態であれば使う価値ありという処方です。