むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 睡眠薬は認知症になるのか?

    睡眠薬を飲むと認知症になるとまことしやかに言われています。結構、そのような相談で来院される方もおられます。実際、マイスリーなどの睡眠薬を飲むと、飲んだ前後のことを思い出せないと言う相談を受けたことは何度もあります。夜知らないうちに冷蔵庫を開けてものを食べた形跡があるが自分が食べたのかどうかどうしても思い出せない、などです。これは薬剤による健忘です。この健忘が年をとったときに認知症になるのかというと、実際のところそれほど明確なデータはないみたいです。

    眠れないけど眠剤は怖くて飲みたくないという人は、そっちのほうが日常生活に大きな支障をきたします。日中の眠気でボーとしているとか、運転が危ないとか、仕事の効率も落ちます。そんな生活をするより、ちゃんと眠剤を使ってでもきちんと睡眠を取り、日中は活動するほうがいいと思います。問題なのは過剰な眠剤に頼ってしまう依存症だと思います。最近は依存の少ない眠剤が出ているので、そういう安全性の高い睡眠薬を選んでもらうのがいいと思います。漢方でも多少睡眠が良くなるので、漢方で十分という人もいますが、過剰に効果を期待してもそれほどは眠れないと思います。

    鬱がベースにあると、大半の方が不眠になります。これは、鬱が脳内の気持ちを安定させるセロトニンの不足から起こるもので、セロトニンはメラトニンという睡眠のホルモンに変換されるのでうつと睡眠がリンクしているのです。そこで、セロトニンを増やす抗うつ薬で睡眠が良くなるのはよくある話です。また分子栄養学的にはセロトニンを増やすためにタンパク質、ビタミンB6,鉄、ナイアシン(アミド)、亜鉛を取ると気分の安定とともに睡眠も改善します。