むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 夏バテしていませんか

    毎日すごい暑さですね。夏バしていませんか?暑さのせいで息をするのも浅くなって息苦しいです。食べ物もあっさりしたものや冷たいものばかり食べがちです。しかし、それが夏バテの原因になります。暖かい飲み物をとって胃腸を冷やさないようにしましょう。そうめんやお茶づけなどの炭水化物だけでは栄養価が足りません。必要なのはカロリーではなく、栄養です。炭水化物しかとらないと、食べたものがうまくエネルギーになりません。

    タンパク質とビタミンを十分とらないと疲れが取れません。豚肉の生姜焼きやレバニラ炒めなどは夏バテ予防にもってこいのメニューです。お近くの中華屋さんや餃子の王将みたいなところにあるメニューですから、作るのが面倒なら外食すればいいでしょう。その際も、チャーハンや麺類など炭水化物メニューは避けて肉と野菜をしっかりとりましょう。

    どうしても炭水化物がやめられない場合、それをきちんとエネルギーにするためにビタミンB1を取っておくと元気が出ます。B1はアリナミンが有名ですが、安いビタミン剤(Bミックスなど)で十分です。薬局で買うときには成分だけでなくその容量を確認しましょう。B1が1日分で40ー50mg入って入れば合格です。

  • インスタントラーメンを健康的に食べる方法

    私はインスタントラーメンを月に1回くらい食べます。時々とても食べたくなるのです。しかし、体にいい食品ではありません。そこで、少しでも体にいい食べ方を工夫します。材料ですが、ラーメンだけということはありません。できるだけ野菜と卵を使います。ニラやネギ、小松菜などを切って入れればすぐ煮えますが、私の場合、人参やゴボウも入れます。いりこもたくさん入れます。そしてスープですが、袋に入っている粉の調味料はインスタントの体に悪い部分なので使わないに越したことはありません。そこで、粉のダシは4分の1から多くても半分くらい使います。あとは味噌で味を整えます。

    このような工夫で人工的なスープが体に優しい味噌のスープになります。これなら汁を捨てずに飲むことができるのでスープに入れた卵も無駄になりません。卵は完全栄養食で、インスタントラーメンの偏った栄養のバランスをとるのには必須です。一方、カップ麺では熱いお湯が発泡スチロールを溶かして悪影響が出る可能性があります。いわゆる環境ホルモンみたいな物質です。これを避けるには、カップ麺でも中身を鍋に移してから加熱することで安全に食べられます。

    インスタントでないラーメン屋さんの豚骨スープは、栄養価も高くコラーゲンたっぷりです。人が何千年も前に狩猟で生活していた頃は、肉食動物が食べ残した骨を器用に石などを使って割って骨髄を食べていたのではないかと言われています。それが本当なら骨からとったスープは体が覚えている太古からの味なのです。

    自宅で取れたブルーベリー

  • 認知症を治す薬

    認知症を治すと言われる薬は現在日本では4つ承認されています。一番有名なのはアリセプトという薬です。以前はアルツハイマー病を治す薬は一つもなかったので、これらの薬が世に出た時は夢のようでした。しかし、これらの薬が市場に出て早10年、結局、アルツハイマー病(認知症)はほとんど治せていないのが現状です。こういった効果の薄い薬に年間1500億円以上が注ぎ込まれているそうです。一方、近年フランスでは、すでにこういった薬剤の効果は期待できないという理由から保険適応から外されてしまったそうです。

    また、新薬開発もことごとく失敗し、アメリカ大手の製薬会社数社はいずれも新規認知症治療薬の開発から撤退しています。今後当分は画期的な治療薬は出てこないということです。認知症は生活習慣の悪影響が原因と考えられているため、予防法はいろいろあります。血圧とコレステロールはきちんと管理すること。時々、薬を勧められても、薬は副作用が心配だから飲みたくないと言われますが、動脈硬化はノンストップなので、悠長にしてはいられません。次に、血糖です。糖尿病と言われなくても、食後高血糖は確実に血管を傷めます。検診では通常は空腹時血糖しか測りません。試しに食後2時間で測って見てください。食後に基準を超えて上がっているようなら要注意です。

    食後高血糖を抑えるには炭水化物制限が一番です。何よりご飯(お米)が大好き、という人、パン好き、麺好きは要注意です。炭水化物を制限すること、デザートは少しだけにすること、食後に散歩して糖が上がらないようにすることなどを気をつけましょう。また、睡眠薬や安定剤の使用は最小限にしましょう。

  • 個々の医療、集団の医学

    私たち臨床家にとっての医療は目の前に座っている患者さん一人に対するベストの治療法を考えるという意味で「個々の医療」です。一方、学会などで発表される「医学」は集団の医学です。例えば、1万人の糖尿病患者に新しい治療薬と従来の治療薬を振り分けて使ったところ、新しい薬は糖尿を改善するばかりでなく心臓発作による死亡率を30%低下させた、とかそういう集団を相手にした話になります。西洋医学はこのような集団の医学で、統計処理して差があることを証明できた場合にはじめて有効であるという証拠(エビデンス)があるというお墨付きを与えます。

    一方、漢方の世界に多いのは、このような患者にこういう治療をしたら効いたという症例報告です。個々の成功例なので、一般化させるのは難しいのですが、ベテラン医師のカンは統計学にもまさる分析力を持っています。一つの症例報告を読むことでそれが自分の目の前にいる患者に応用できるかどうか瞬時に判断できます。

    こう暑いと塩分が欲しくなりますが、高血圧の患者さんには塩分制限を口うるさく指導します。しかしこれも個別に対応した話でないのです。実は、塩分感受性(塩に反応して血圧が上がりやすいかどうか)は遺伝子レベルで決まっています。塩分を制限したほうがいい人と、制限しなくてもいい人がいて、それは生まれながらに決まっているのですが、現段階で検査のしようがないために統計的に意味があるという「エビデンス」に基づきみんなに塩分制限をしましょうといっているだけなのです。本来の医療というのは個々の患者さんに対してベストの治療法と予防法があるはずで、それを追求すべきものであって、必ずしも統計に基づいたガイドライン通りにすればいいというわけではないと思っています。

    上江津湖

  • テキサスの思い出

    8月に入りました。もう秋の気配、なんて書きましたが、まだあの時は7月でした。台風のせいで季節が進んだように感じましたが、まだまだ暑い日が続きます。そうはいっても、8月なんてあっという間に過ぎ去ってしまいます。学生さんは、宿題をさっさと済ませましょうね。途中でお盆休みなんてありますから、8月はちょっと特別です。

    夏休み(お盆休み)には旅行とか、何か予定はありますか?私は予定なしです。多分いつものようにクリニックで経理の仕事をしたり電子カルテのメンテをしたりすることでしょう。しかし、もし旅行に行くならどこに行きたいかなーと空想しました。私の場合、ハワイでも沖縄でもありません。留学していたテキサスに行きたいです。ヒューストンから車で1時間、メキシコ湾岸の小さなリゾートの島ガルベストンです。ガルベストンから見えるメキシコ湾はエメラルドグリーンではありませんでした。フロリダまで行けば素晴らしい海岸なのですが、ガルベストンの海は濁っています。遠くを見ると深い緑色です。

    遠くテキサスに想いを馳せながらGoogleでガルベストンの画像を見ていたら懐かしくて胸が熱くなりました。私が働いていたテキサス大学UTMB病院の写真があったので、パソコンの背景にして見ました。写真を見ると気持ちが引き締まります。今の私があるのは、ここで学んだおかげです。そして、数年前に亡くなっていまいましたが私のボスのDaniel Traber教授のおかげでした。学問は厳しいのに根は本当に優しかったです。アメリカでの父親でした。

    写真上:テキサス大学医学部ガルベストン校(私はここの麻酔科・集中治療部の教員でした1999ー2004)

    写真中:シュライナー小児熱傷センター(私はここの研究員を兼任していました)

    写真下:恩師 Traber教授