むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • コレステロールを下げるべきか下げざるべきか

    コレステロールが高いと検診で引っかかります。再検査でも高い場合、薬で下げましょうという話になります。ガイドライン的にはLDL(いわゆる悪玉コレステロール)がいくつ以上なら下げましょうということになります。個々のリスクファクター(危険因子)に応じて厳しく治療目標が定められます。循環器内科を専門とする立場としては、ガイドラインを遵守して薬を使うのが正しいので、わたしも、検診で引っかかった人にはできるだけガイドラインに沿った治療を心がけています。実はここに私なりの葛藤があります。

    以前はコレステロールが高い人には卵やイカなどの食材はコレステロールが上がるから食べないように、と指導していましたが、最近はこれが間違いだということが明らかになっています。今では、卵は制限する必要なしとなっています。そもそも血液中のコレステロールの7ー8割は自分の肝臓で合成されたものであり、食事から入ってきたのは2ー3割にしかすぎません。それだけ肝臓がコレステロールをたくさん合成しているということは、いかにコレステロールが体にとって大切かということです。細胞膜にはコレステロールが必要で、コレステロールを薬で下げすぎると筋肉などの組織が崩壊して筋肉痛の副作用が出ることが知られています。

    またコレステロールの合成を阻害するスタチン薬をのむとコエンザイムQ10という大切な酵素の合成まで阻害されてしまいます。こういった悪影響を考えると、果たしてガイドライン通りコレステロールを下げていいのかという疑問が湧いてきます。コレステロールの中で病気をひき起こすのは酸化LDLというものです。LDL(悪玉コレステロール)が酸化すると悪さをするのです。そこで、理論的には酸化を防ぐビタミンCとEを十分量取ることでLDLの酸化を抑制できます。私はビタミンCを毎日3000mg、ビタミンEを800mgとっています。この量は保険適応外(自己責任)です。これがスタチン(コレステロールを下げる薬)より優れた治療であるという学説がありますが、循環器学会的にはまだ一般的な意見ではありません。そこには、スタチン薬を売る製薬会社と学会の癒着なども絡んだ大人の世界があるのかもしれませんが、私たちにはわからない難しい世界です。