むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 骨密度を上げるには

    歳を取ってくると骨折は心配の種です。万一大腿骨頸部骨折などになってしまうと、寝たきりになる可能性が非常に高いと言われています。予防あるのみです。骨折は転倒が原因となります。家の中をバリアフリーにしてちょっとした段差もなくしておいたほうがいいと思います。また、とっさの時につかまる手すりがあれば言うことはありません。介護認定を受けていれば、自宅に手すりをつけたりする工事費用の補助が出る場合がありますので、ケアマネージャーさんにご相談下さい。もしまだ介護保険を使っていないけど、バリアフリーの改修工事をしたいとお考えでしたら、まずは介護認定の申請をしないといけません。どうしたらいいのかわからない場合、近所にある「ささえりあ(地域包括支援センター)」までご相談下さい。当院にかかりつけの患者さんの場合は、もちろんこちらにご相談いただいて構いません。

    牛乳やヨーグルトを摂取するよう心がけているという人は多いですが、それでは骨密度は上がりません。酪農大国のアメリカやデンマークは世界でも有数の骨粗鬆症大国でもあります。牛乳の消費量と骨折頻度は関係ないことがわかっています。牛乳にはリンが多く含まれているため、カルシウムは多くても骨にならないと言われています。日本人なら味噌汁のダシをいりこでとるとか、ちりめんやめざしのような小魚を食べるのがいいようです。また、カルシウムの吸収にはビタミンDが必須です。ビタミンDは日光にあたることで産生されますが、女性は特に日焼け予防で陽に当たることを避けている人が多いと思われます。これではビタミンDが欠乏します。干し椎茸などでも摂取できますが、サプリで摂るのが確実です。

    毎度おなじみテレビの健康番組で、今日は骨密度を上げる方法について説明していました。大切なのは骨に衝撃を与えることだそうです。骨に体重の何倍もの衝撃を与えることが骨を丈夫にします。運動ではテニス、ランニング、ウォーキングの順で骨に良いと言っていましたが、家庭でできる簡単な運動としてはつま先立ちして、かかとからドンと着地する「かかと落とし」運動がいいそうです。簡単ですから、仕事の合間にでも心がけてやってみましょう。

    健軍神社の参道にて

  • 栄養指導は時代についていっていない

    月曜日は夕方健康番組があるので欠かさず見るようにしています。今日はクロちゃんが2型糖尿病ということで教育入院する話があっていました。教育入院とは、食生活や運動療法、インスリンの打ち方などを指導し、自分の病気についてしっかり知って自分で管理できるようにするものです。番組で気になったのは、教育入院中の食事です。どんぶりご飯200gを食べさせていました。これには私は反対です。糖尿病は血糖を上げる炭水化物をまず制限することです。食事の総カロリーをきびしく制限すると、栄養不足になってしまいます。肉や野菜をしっかり食べないとビタミンやミネラルが十分取れません。総カロリーを制限することは2の次3の次です。最も大切なのは炭水化物制限です。どんぶりご飯を食べなければ、同じカロリーでももっと大量のおかずを食べることができます。

    食べた炭水化物はビタミンB1が十分ないとクエン酸サイクルで燃焼せず、解糖系で少量のエネルギー(2ATP)産生したあとは中性脂肪に変換されて体に蓄積されます。B1は玄米や肉をしっかり食べないととれません。白米をどんぶりいっぱい食べると、その代謝にB1を消費するためますすB1欠乏状態となります。疲れた体にアリナミンというCMはご存知と思いますが、アリナミンというのはビタミンB1です。B1を補給すると解糖系からクエン酸サイクルへブドウ糖は代謝され、大量のエネルギー(32ATP)が産生されます。元気になるはずです。ここで注意してほしいのはアリナミンには錠剤とドリンクがあるということです。ドリンクは甘い味をつけるために余計な糖分を含みますから、どうせなら糖を含まない錠剤がいいと思います。

    この様に、病院の栄養指導は未だに炭水化物を主食としてカロリー配分しています。遅れています。今は炭水化物ダイエットが主流ですが教科書的にはまだまだ時代がついてきていません。もう一つはビタミン欠乏です。医療保険ではビタミン剤を処方すると査定されるので、ほとんど医師はビタミン剤を処方しません。ビタミンが必要ないというわけでなく、出したくても出せないのです。患者さんはきちんと勉強して、必要な栄養素はサプリでもかってほしいと思っています。詳しくはいつでもご相談下さい。

  • iPhoneは素晴らしいカメラ

    日曜日は休日当番医でした。快晴の素晴らしい1日でしたが、残念ながら職員一同病院内に待機でした。最近は風邪なども少なく来院される患者さんもまばらでした。1日を通してのんびりしていました。

    通常、このように天気のいい週末には江津湖周辺をウォーキングしたり写真を撮って歩いたりします。このブログに使う写真もほとんど週末に撮り溜めたものです。季節を感じる旬の写真を撮るようにしています。以前は一眼レフやリコーのGRデジタルという優れもののカメラを持って撮っていたのですが、最近はもっぱらiPhoneです。この写真が素晴らしく綺麗です。iPhoneにはジャイロセンサーが内蔵されているため、写真を撮る際にカメラが微妙に傾いていたとしても、自動的に水平を補正できます。高級なカメラには水平センサーが付いているので、写真を撮る時に水平を確認して撮れば綺麗に撮れます。しかし、iPhoneのすごいところは、カメラの傾きを感知して、適当に撮った写真も自動的に水平のとれた写真にしてくれるところです。1度でも傾いていると、写真は見ていて気持ち悪いものになります。

    iPhoneのカメラで写真を撮る際にちょっとしたテクニックがあります。ピントを合わせたいところを画面上でタッチして、ピタッとピントを合わせます。ピントを合わせる照準を決めたら、構図を少し動かしても、狙ったところにピントが合います。もう一つは、露出の補正です。明るめに撮るか暗めに撮るかは自動露出になっていますが、画面をタッチして指を上下に動かすと露出が変えられます。「水平、ピント、露出」がきちんと決まれば、いい写真が撮れます。あとは練習あるのみです。

  • 不定愁訴は難しい

    5月の連休明けに当院近くに「やまのかみ眼科」がオープンします。今日は内覧会があっていたので、昼から挨拶に行ってきました。私の見ている患者さんの中にも近くに眼科ができるのを心待ちにしている方がおられます。最近この地域は新しい病院が次々とたってきました。住民の方にとっては喜ばしいことと思います。わたしども東区医師会のみんなで連携しながら、地域住民の皆さんの健康にお役に立てたらと思います。

    夕方からは、東方医学研修会というセミナーで、私が当番で講演しました。今回のテーマは不定愁訴です。不定愁訴と言うのは、我々診療をする側にとっては手ごわい患者さんです。問診票に「どうしましたか」という欄を見ると、「頭が痛い、動悸がする、吐き気がする、眠れない、イライラする、食欲がない、疲れがとれない」などぎっしり書いてあります。通常の内科なら「頭痛」とか「熱が出た」と言う感じで訴えは一つ、たまに2-3個です。しかし私のクリニックのように漢方や心療内科を標榜していると、他の病院にかかっても治らなかった難しい症例や、訴えが多すぎて「脳神経外科」「消化器内科」「産婦人科」などなど、どの診療科にかかっていいかわからないで困っている方が来られます。

    このような多彩な訴えを一つずつ採血、心電図、レントゲン、胃カメラ、CTなどと検査をしていてはお金も時間も相当かかります。そして、調べた結果何もよくわからなかった、ということになるか、胃が少し荒れているから胃薬、血圧が高かったので血圧の薬、など本来の訴えと関係ない治療がとりあえず追加される場合もあります。このような手強い不定愁訴をいかに病態把握して治療するかを講演してきました。

  • 「見守る」ことの大切さ