むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 咳の季節

    いよいよ年度の年の瀬(というのでしょうか)。皆さん忙しいことと思います。今日は往診に出かける道中いつもに増して交通量が多く、時間がかかりました。連日の快晴で気温もぐんぐん上がり半袖で気持ちよく過ごせます。過ごしやすいのですが、空気は相当乾燥しています。肌も乾くし、埃っぽいですね。この時期は喘息も出やすい季節です。気温の変化が大きいので、昼の薄着のまま夜に出歩くと風邪を引いてしまいます。注意しましょう。

    風邪のあとに咳だけがいつまでもとれないことがあります。咳喘息と言います。本物の喘息ではないのですが、喘息の薬が効きます。気管支拡張剤や吸入薬を使うことでしつこい咳が改善します。単なる咳止めだけではなかなか治らない病態です。

    長引く咳には漢方がいい場合もあります。漢方薬で咳に効く薬はいくつもあるのですが、長引く咳には麦門冬湯がよく効きます。風邪の後に喉がいがらっぽく咳が出るときによく効きます。また、麦門冬湯が効きそうなのに効かなかったときには滋陰降火湯という処方が有効です。漢方ではこのようにいろんな処方があります。

    雲ひとつない夕暮(山ノ内小学校近く)

  • だるい(倦怠感)の原因は?

    倦怠感で来院される患者さんが多く見られます。倦怠感を来す疾患はいろいろあり、鑑別が非常に難しいものです。いちばん見逃して困るのはガンです。私たちは倦怠感で相談された際に真っ先にガンでないかどうかを考えます。次にありがちなのが、貧血、肝機能障害、甲状腺疾患などです。これらは採血をすればすぐに判定できるため、必ず検査はしておかないといけません。心不全や腎不全でもだるくなります。この場合少し動いただけで息切れしたりします。

    そういった内臓疾患以外にも色々考えられます。睡眠不足、栄養不足(バランスの悪い食事)、ストレス、過労などです。食べすぎてきつくなることもあります。胃腸が疲れてしまうのもその原因ですが、炭水化物(ご飯、麺、パン、お菓子など)を取りすごるとビタミンB1が多量に消費されれる結果、倦怠感が出てきます。よく、疲れたからと言って甘いもので元気を出そうとして結果的に炭水化物の摂取過剰でだるくなる場合があります。アリナミン(ビタミンB1)が疲れに効くのはこの為です。疲れたときに甘いものを取りすぎるのはよくありません。米を主食とする日本人の場合特に炭水化物の摂取が多すぎる傾向にあり、ビタミンB1が欠乏しやすいと言われています。

    そういった可能性をすべて考えてもピンとこない場合は鬱かもしれません。鬱では、食欲がない、眠れないなどと同時に何もする気がしないという症状が出てきます。眠れないからとか、食べていないからとか短絡的に考えず、総合的に考えて見たらうつの存在に気づきます。他にもまだあると思いますが、外来に「体がきつい」と言って来院された際には、このようにひたすらいろんな原因を考えながら探っていきます。

    花見をするうちのゴン

  • 不整脈を感じたら

    桜が満開です。毎日当院向かいの公園では花見の人で溢れています。とても過ごしやすく、いい季節ですが、季節の変わり目ですから体調は変化しやすい時期です。当院は循環器内科も標榜しているので、不整脈(動悸)の患者さんがたくさん来られます。この季節は特に多い気がします。不整脈(動悸)を感じたら、その不整脈がどんなリズムだったかをしっかり観察して下さい。リズムに不整があるのか速さはどのくらいか、何分くらい続いたのか、何をしていて始まったのか、できるだけ細かく観察して下さい。来院して診察する際には動悸が収まっていることが多いため、実際に起ったときの状況が詳しいほど診断に近づきます。

    多いのは数拍に1度脈が飛ぶというものです。また、トットットッと5-10回くらい早く打つという場合もあります。脈がバラバラに乱れて救急車を呼ぼうかと思うような不整脈もあります。そういう描写をしていただけたら非常に助かります。一方、そのような不整脈の検査で24時間(ホルター)心電図というものがあります。ホルターは不整脈がほぼ毎日おこるような状況であれば、検査したほうがいいと思います。検査したときに安静にしていては、何も起こりませんので、ストレスや運動やお酒などできるだけいつもの通り生活して下さい。

    この度、当院ではホルター心電図の記録計と解析ソフトを購入いたしました。これまでは医師会検査センターに頼んで検査の機械を借りたりしていたのですが、これではすぐに検査できませんでした。これからは、不整脈の出やすいタイミングを逃すことなく直ぐに検査できるし、検査結果もすぐに出るようになりました。

  • 薬物乱用型頭痛

    薬物乱用型頭痛に関しては以前にもこのブログで取り上げたとことがあります。頭痛薬を使いすぎて、頭痛薬のせいでさらに頭痛になるという悪循環です。市販のイブなどでおこることが多いですが、ロキソニンでも同じです。頭痛に鎮痛剤を飲まないとおさまらなくなります。その繰り返しで、月に30回以上鎮痛剤を必要とするのです。

    当院に通院中の患者さんでそのことを知ってから、我慢(努力)で鎮痛剤から離脱した方がいます。薬を切った最初の数日は辛かったことと思いますが、今ではすっかり鎮痛剤無しで過ごしています。努力の賜物です。しかし、漢方を併用すると、結構簡単に薬物乱用性頭痛から離脱できます。例えば、抑肝散という漢方薬があるのですが、これを使っているうちにだんだん頭痛の回数が減りますから、鎮痛剤が必要なくなります。気がつけば、薬物依存から離脱できるという感じです。

    若い女性では、当帰芍薬散が頭痛にもよく効きます。生理の周期に合わせてひどい頭痛に悩まされているというような場合は、まず当帰芍薬散を考えます。かなりの割合で頭痛が取れてきますし、生理痛も軽くなるので、一石二鳥です。漢方の場合、副作用の心配は殆ど無いので中学生ぐらいから高齢者まで心配なく使えます。

  • 機能性ディスペプシア(胃腸障害)

    機能性ディスペプシアという疾患があります。胃腸の調子が悪くて痛かったりもたれたりするのですが、胃カメラなどで検査をしても特に大きな問題はみつからない。そういう場合、胃潰瘍などの病気ではないものの、胃腸の動きが悪く機能的なものが悪くなっている、そういう病気です。機能性ディスペプシアを治療する薬があるにはあるのですが、かならずしもそれで効くとは限りません。効かなかったらお手上げになってしまいます。

    そういうときに役に立つのが漢方です。漢方では、胃カメラなどの検査の存在しない時代からそういった胃腸の調子が悪い場合に治療する方法があります。西洋医学的には治療のしようがない場合でも、漢方で考えればいろんなアプローチがあるのです。

    子供さんで、朝から学校に行こうとするとお腹が痛くなりトイレにこもってしまい、結局遅刻したり学校に行けなかったりする場合があります。これは過敏性腸と言います。大人でも会社に行こうとするとお腹が痛くなるというケースが見られます。このような場合、単なる胃腸の問題でなく、心にも問題があるため、通常の胃腸薬でうまくいかないのは当然です。当院でもこのような患者さんが多数来院されます。漢方や心の薬も合わせていろんな治療法を考えながらやっています。