むらかみ内科クリニック

院長ブログ

BLOG

  • 三石巌先生の新刊ゲット

    私の実践している分子栄養学(メガビタミン療法など)は通称藤川理論と言います。広島の藤川先生が有効性を確認し、多くの著書を書かれています。私はその本で学んで真似しているわけです。実は、この藤川先生の理論には更に基礎となる先生がいます。それは、三石巌先生です。物理学者なのですが引退後、分子生物学、医学、薬理学、栄養学などを学び、卓越した科学的センスにより独自の理論を打ち立てられ、現在の分子栄養学の基礎を作られた方です。なんと、81歳でビタミンなどのサプリメント会社を起業されています。そして、残念ながら95歳で亡くなられているのですが、92歳のときに書かれた著書が文庫化されて、今月発売となりました。早速アマゾンで予約していたら、今日届きました。「人生100年時代の新・健康常識 医者いらず 老いしらず」というタイトルです。

    私は分子栄養学を学ぶため、三石先生の本はほとんど全部読みました。素晴らしい著書ばかりです。そして、今日届いた本も素晴らしいです。92歳でこんなにすごい本がかけるのですね。三石理論は科学的事実に基づいているので時代がたっても風化しません。いつ読んでも真実で、新鮮なのです。藤川先生の本はドクターらしく実際の症例などから得られた治療のヒントが書かれていますが、三石先生の本はサイエンスです。遺伝子のこと、タンパク質の代謝のことなどが書かれているので、最低でも高校3年生(大学受験)レベルの生物学的知識がないと読んでも理解できないかもしれません。

    私は高校時代から年間50冊は本を読むようにしています。高校時代は三島由紀夫とか渡辺淳一などが好きでした。大学時代は村上春樹、椎名誠などが好きでした。医者になってからは乱読ですが、実用書(医学書)を読むことが多くてこれといってハマった作家はありません。そして今、三石巌先生です。手に入る本は殆ど買って読みました。私の読書人生でベスト3に入る作家(?)です。

  • ミラクル漢方

    長年漢方をやっていると、ときどき眼を見張るような効果が出ることがあります。今日もそのような症例がいくつもありました。我ながら感動です。症例1;ずっと朝起きができないで困っていた学生さん。しばらくは漢方治療が効いていたのですが、このところまた起きられなくなったとのこと。麻杏薏甘湯を出したところ、スッキリ目が覚めるようになった。学校にもバイトにも行けるようになり、感謝された。症例2:5年前から体が熱くて寝る時布団をはいだり着たりで忙しい。ほてって眠れないが誰に相談しても治らなかった。白虎加人参湯と六味地黄丸を併用したところ、数日で5年来のほてりが改善しました、とのこと。感謝されました。

    症例3:歯肉の慢性炎症で常に化膿している。ひどくなったら歯科で抗生剤などの治療をするが、治ってもすぐまた悪化するとのこと。補中益気湯を処方したところ、それ以来歯肉は化膿しなくなった。やはりしつこい感染症では強い抗菌剤より免疫をアップすることが大切です。症例4:月経不順で1ヶ月のうち2週間位生理の出血がとまらない。当帰芍薬散と芎帰膠艾湯を処方したところ生理は正常化した。症例5:慢性腎臓病(CKD)で腎機能eGFRの低下を指摘された。防已黄耆湯を開始したところ、腎機能は正常化した。西洋薬にはeGFRを正常化する処方はありません。腎臓専門医は塩分制限やコレステロールの治療しかしませんが、実はCKDの多くは漢方が著効します。

    このように、西洋薬ではどうにもならない症例がどんどん来院されますが、奇跡とも思えるような漢方の効果で皆さんには喜んでいただいています。もちろん全例にミラクルはありませんが、大学病院までいっても治らなかったような場合でも諦めないでください。西洋医学は医学のほんの一部です。東洋医学(漢方や鍼治療)という手があるのに試さない手はありません。

  • 事務職員募集中です

    アマゾンプライムデーです。セールをやっています。AIスピーカーのアレクサは半額です。私が患者さんに勧めているDHCのビタミンBミックスは3割引きです。限定セールなので興味ある人はアマゾンのサイトにお急ぎください。アレクサをスマート家電リモコンと連動させることで声をかければTVもエアコンも制御できます。今日は昼にスマホで家の室温をチェックしたら28Cでした、カンカン照りだったので、うちのゴンも暑いだろうと思い、あわてて職場からエアコンのスイッチを入れました。AI搭載のスマート家電リモコンは希望する温度を設定すればエアコンのリモコンを制御して快適な室温にしてくれます。こんな事できるなんて、SFの世界みたいです。

    ところで、最近はあちこちの施設から訪問診療の依頼があり、すでに100名ほどの契約者数となっています。当院は開業当初から訪問診療を重要な使命と考え取り組んで来ました。今回のコロナ禍で老人ホームなどに入居している人たちは施設からの外出が制限されて、病院受診もままならなくなっています。家族とも面談ができず、大変な状況です。そこで私たちは施設に出向いて高齢者の皆さんの健康管理をしているわけです。結果、訪問診療の契約数が増えて、忙しくなっています。

    そこで、再度掲載します。訪問診療の事務(請求額の計算、帳簿整理など)を手伝っていただける方を1名募集します。ハローワークにも出していますが、ぜひ、このブログを読んで当院に対する理解が深い方を優先的に採用したいと思います。われこそはという方は奮ってご応募ください。

  • 適切な薬を適切に使うことの大切さ

    秋になり、血圧が上がる人が増えてきました。冬には若干降圧剤を強化する場合が多くなります。薬には強さと半減期の2つを考えて処方します。どのくらい血圧を下げたいのか、その作用を何時間ぐらい効かせたいかでその患者さんに必要な薬が決まります。血圧に関して言えば、多くの場合切れ目なく丸一日ゆっくり効いたほうがいいので、半減期の長い薬を使います。アムロジン、ミカルディス(テルミサルタン)、ミカムロといった薬がそれに相当します。

    睡眠薬の場合も同じです。どのくらいの強さにするか、何時間ぐらい効かせるかで薬が決まってきます。寝付きが悪い人、中途覚醒する人、朝早く目が冷めてしまう人など不眠にもいろんなタイプがあるのでそれに応じた薬が必要となります。最近は、癖になりにくい睡眠薬なども出てきていますが、その薬を使って強さや持続時間が自在に調節できるわけではありませんので、みんなにその薬があうとは限りません。自分の睡眠の状態に一番あった薬を使うのが生活の質を上げる意味で大切だと思います。

    糖尿病に関しては、また別の考え方があります。血糖を下げる薬はいくつもありますが、血糖やヘモグロビンA1cだけを下げても仕方ないということが最近明らかになってきました。数字を下げるだけならどの薬でもいいのですが、糖尿病の場合、心疾患、腎臓その他の合併症をいかに減らすかが大切です。実は血糖をただ下げてもこれら合併症はなかなか下がらないのです。しかし、SGLT2阻害剤をいう薬を使うと合併症がかなり減らせることがわかってきました。したがって、血糖やA1cの数値を下げればいいというわけではなく、どの薬を使って下げるかが重要なのです。

    下通り「たいちろう」にて 揚げ豆腐 柚子胡椒添え 美味い!

  • 非接触型体温計の原理と限界

    最近はどこへ行っても体温を測られます。とても不愉快です。あんなのでコロナの感染拡大を抑えられるはずありません。コロナは無症状の人が知らないうちに人に移すことが多いのです。熱があるかどうかは関係ないと思います。ビニールカーテンやフェイスシールドほど滑稽なことはないですが、入り口で熱を測っている飲食店にはあまり行きたくありません。

    非接触型体温計でピピッと測るのは便利ですが、全然正しい体温ではありません。医学的にはあの体温は信用しません。単なる参考値です。体温はちゃんとした体温計を脇など体の深部に近いところで何分かかけて計らないと正しくありません。本当の体温は口の中とかお尻に体温計を入れて測ります。非接触型では小児用で耳から鼓膜温を測るタイプが有りました。鼓膜は深部体温に近いので割と正確だと思います。

    物理的に表面温度を正確に測ることは何ら難しくありません。おでこの温度を正確に測ってもそれが正確な体温というわけではありません。おでこは外気にさらされており、外の暑い寒いとか汗の有無で温度が変わるからです。非接触型体温計のマニュアルにも、体温を測る場所と同じ環境に30分以上いて落ちついてから測ることと書いてあります。私は、今の非接触型体温計が普及し始めた15年ほど前に田迎の東病院につとめており、便利なので外来で導入しようと考えたのですが、脇で測る体温と非接触型の誤差を何百例とデータを取って、使えるかどうかを検討したことがあります。結果は、外から入ってきてすぐの外来患者さんの体温はあの非接触型ではでたらめすぎて測れないという結論でした。一方、入院患者さんは同じ環境内にいるので割ときちんと測れることがわかりました。

    繰り返しますが、外から建物に入ってすぐに測れば無茶苦茶な温度が出ます。あの体温計の原理を考えると、おそらく室温(X1)とおでこの体表面温度(X2)を測定することで、実際の体温(Y)を類推する計算式が入っていると考えられます。したがって、温度計がおでこから3センチ離して測定すること、と書いてあれば、そのとおりにしないと計算式に入れる値(X2)がおかしくなります。勝手に、口の中の温度を測ってみたり首の温度を測ってみたりすると、おでこ用に開発された計算式に当てはまりませんから、ぜんぜん違う予測体温(Y)が求められます。いずれにしても、ちゃんと測っていない体温(類推)ですから、こんな数値を信じてコロナ対策をしていますとわかったような顔をしている素人には本当に呆れますが、物理の知識のない人には理解できないでしょう。重要な事なので医療関係者はわかるまで読み返してください。