むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 夜間頻尿の新薬について

    漢方を専門にしていると、多科にわたる相談が来ます。冬に多いのは夜間頻尿です。一晩に3回以上トイレに起きるのは病的と捉えます。睡眠が分断されて日中だるくなるし、夜間ボーとしてトイレに行くことで転倒や骨折の危険もあります。今日は診療のあとに泌尿器科の先生を中心とする夜間頻尿の勉強会がありました。わたしも、ZOOMで参加しました。当院では漢方や従来の頻尿治療薬で治療しているのですが、難治のケースは多々あります。最近、勉強会のテーマであった抗利尿ホルモン「デスモプレシン」を利用した頻尿治療薬がでてきました。当院でも数例使っていますが、なかには劇的に頻尿が改善する例があります。一人は、夜間6回トイレに起きていたのがほぼ1回で良くなった、よく眠れて体調がいいと言われています。

    水分代謝を直接変化させる薬なので効果は間違いありませんが、心不全や低ナトリウムなどの注意が必要で、慣れないと使うのが難しい印象の薬です。しかし、とてもよく効くので、しっかり勉強して、注意しながら患者さんの生活の質を上げるためにうまく使っていきたいと思いました。

    ZOOMのおかげで、家にいながらにして毎日高度に専門的な勉強ができます。ありがたいことです。オンラインセミナーは一時期WebEXやTeamsなど乱立していましたが、最近はほぼZOOMに絞られてきました。私も毎日2回はZOOMでの会議やオンラインセミナーに参加しています。今日の泌尿器科のセミナーでも、参加者の先生たちがまだZOOMに慣れておらず、音声ミュートや画像のオンオフなどの操作がわからない人だらけで驚きました。せめてZOOMだけはきちんと使えるようになりましょう。ZOOMの使い方がわからないなんて、スマホを持っているけど検索できないのと同じくらい時代についていっていません。

    ホリエモンも言っていますが、スマホ1つあれば会社を起こしてほとんどの仕事をこなせる。それだけスマホの能力は高いのですが、大切なのは、常に新しくてスペックの高いスマホを使うこと、そしてそれを十分使いこなす努力をすることです。決まりきった検索とかLINEとかゲームだけしていてはもったいないです。今やスマホでは指紋認証で銀行振込みや株の売買などもできます。AIを使った多言語翻訳も可能です。カメラもへたな一眼レフよりきれいです。私たちの頭脳や手足の能力をカバーしてくれる魔法の神器です。

    南阿蘇 ホテル夢しずくの展望ロビーの窓からの景色 日帰り温泉600円です

  • 飛躍の前には膝を曲げてかがむもの

    昼に往診にでかけたら道がガラガラでした。人通りが驚くほど少なくなっています。みんな在宅ワークなのでしょうか?クリニックに来る患者さんも少なめで、のんびりした一日でした。こういうときこそ、大掃除をしたり勉強をしたりするチャンスです。掃除は年末にして間もないので、あまりするところもありません。ダラダラとネットサーフィンなんてしていては時間の無駄。いつも休みなく走っているので、今回は神様にもらった小休止と思って有意義に使いたいものです。私は、新しい本を読もうと思ってアマゾンで2冊注文しました。明日には届くので、楽しみです。

    苦難のときに立ち止まるのは悪いことではありません。それは、ジャンプするときにいったん膝を曲げてかがむのと同じです。次のジャンプをする際に膝を伸ばしっぱなしでは大きく飛べません。しっかりかがむことで準備が整います。今コロナ禍で仕事が小休止になるのは次へ大きく躍進するためにもらった準備期間です。ボーとしていないで、いつ飛ぶか、どっちに向かって飛ぶか、タイミングや戦略を練る必要があります。勉強をするのもよし、スタッフミーティングなどでみんなの気持ちを一つにするのも良いでしょう。

    保健所からは、新型コロナワクチンの一般人への接種をどのようにすすめるかの方針について説明会をするから参加するようにと連絡が来ました。もちろんオンライン説明会です。今回はRNAワクチンという人類始まって以来初めての特殊なワクチンです。RNAは不安定で壊れやすい性質があります。したがって、マイナス70度という超低温で輸送、保管しないと品質が保てません。もし、壊れた遺伝子を人体に入れるとどうなるか、誰にもわかりません。取り扱いには厳重な注意が必要となります。

    苔むした石段

  • 終わりは始まり

    受験シーズンです。先日は大学入試(共通テスト)でしたが、今度は高校の推薦などの試験が始まるようです。皆さん頑張ってください。受験に合格すると、やっと終わった!と思うと思います。しかし、実際はそこは終わりではなく新しい生活の始まりなのです。同じことは結婚にも言えると思います。恋愛の末ついに結婚、というとそこがゴールみたいですが、実際は始まりなのです。人生はこれの繰り返しです。ドラマでは結婚式が最終回のことが多いですが、最近私が見た韓国ドラマは立て続けに3本ともドラマの1回目が結婚式でした。そこがスタートだからです。

    会社を作る(起業する)ことを目標として頑張った人が、ついに会社設立にこぎつけた際に、目標達成感でそこが人生ピークみたいになってしまう人がいます。経費で外車を買って夢に見たような生活を現実にした途端、経営がうまく行かなくなります。起業をゴールにしたからです。起業はゴールではなく始まりだと言うことを忘れるとその先うまく行きようがありません。

    会社を設立する際には企業理念の確立が最も大切です。どういう思いで会社を作ったか、という社長の思いを端的な文章に表し、社員みんなでその思いを共有するのです。当院の場合、「患者さんとその家族の健康と幸せのために全力を尽くす」と掲げています。通常、病院の理念として患者さんの健康を願うのは普通ですが、当院は患者さんだけでなくそのご家族の幸せも考えます。病気は本人だけの問題ではなくご家族にも精神的・経済的負担を強いられますので家族みんなの幸せを考えるという意味です。

    ガラス細工

  • 医学論文のトリックを見抜く

    早い人はすでに花粉症の対策を始めています。よく、早めに薬を飲むと軽くて済むといいますが、真偽の程はわかりません。なぜなら、たいていそんなことを言うのは製薬会社だからです。製薬会社は薬がたくさん売れればいいだけなので、早い時期からたくさん使いましょうと言うのは当たり前です。以前、糖尿病治療薬を糖尿病になる前から始めたほうが良いというデータを見たことがあります。いわゆる境界型の人に薬を使ったほうがいいというデータですが、これも製薬メーカーが持ってくるデータなので、真偽の程はわかりません。論文というのはいいというのがあれば、良くないという論文もあります。それぞれ嘘を言っているわけではなく、調べた範囲ではそうだったというしかありません。その研究の対象となった患者グループの特性が偏っていると結果も偏るわけです。したがって、論文を読む際には結果や結論を読むことは大事なのですが、患者背景をしっかり読むことが大切なのです。

    研究をする場合、まず「仮説」をたてます。そして、その仮説を「検証」して、「結論」を導きます。例えば「Aという血圧の薬が心不全の治療に有用だ」と仮説を立てます。それを検証するために患者さんを2群に分けてAという血圧の薬を使った群とBを使った群で血圧の変化と同時に心不全の改善具合を検証します。

    そこで問題なのはどんな心不全患者さんを研究対象にするか。例えば、心筋梗塞後の重症心不全の症例、あるいは高血圧で心肥大をきたした軽い心不全の症例、あるいは慢性心房細動のある不整脈由来の心不全。どういった患者さんを対象とするかで結果は違ってきます。仮説が正しい(治療効果に差が出る)ようにするためには慎重に対象を選ばなくてはいけません。そのようにして、考え抜いた結果、うまく差が出たら、製薬会社はそれがまるでどんな心不全にでも効くかのようにプロモーションします。私たちはそういった嘘に騙されないようにしないといけません。患者さんはプロではないので、我々がプロとして論文の目利きをしてあげないといけないと思っています。

    南阿蘇

  • システムエンジニアは花形職業か?

    毎日NetflixやAmazonプライム・ビデオで海外ドラマを見るのが忙しい毎日ですが、先日からお風呂でYouTubeの講話を聞くようにしています。ちょっとの時間も惜しみません。最近気に入っているのは勝間和代のYouTubeチャンネルです。5分ほどの動画がたくさんアップされているのですが、気づきや役に立つことがたくさんあります。彼女は頭もいいですが、割り切った合理主義が聞いていて面白いです。

    この週末、クリニックのパソコンのメンテナンスをしました。電子カルテの端末が8台あるのですが、古いものと新しいものがあり、使われているOSがそれぞれ少しずつ違っていました。全部のパソコンがサーバーを介してネットワークされているのですが、OSがバラバラだと不具合が起こりやすいそうです。最近、そういった不具合がちらほら出始めたので、おもいきって全部のパソコンのOSを統一する作業をしました。新しいOSをダウンロードするのに45分、それをインストールするのに45分で合計1台あたり90分程かかりました。データをダウンロードする際、当院の光回線でも3台同時にダウンロードしたら極端に回線が遅くなったので、2台ずつしか作業が進みません。それでもなんとか終了しました。

    こういう作業は大きな施設ではSE(システムエンジニア)さんがやってくれるものです。SEの需要は非常に逼迫しており全然足りていません。実は中国で1年間に輩出されるSEの人数は全米のSE数に匹敵するそうです。もはや中国にはどこもかないません。SEは外国では引く手あまたの花形職業ですが、日本ではブラック扱いされていて、きつい、残業が多い、という職業として倦厭されています。おかげで日本だけ世界からどんどん取り残されて行きます。

    あそ望の郷 久木野  暖かくいい天気でした