むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 分子栄養学実践講座に申し込みました

    私はこの2年あまり、ずっと患者さんに細かい栄養指導やサプリメントを使った治療をしてきました。勉強したのは三石巌先生の著書です。相当たくさんあるのですが、片っ端から買って読みました。おかげで理論的背景はほとんどマスターしたと思っています。この三石巌先生の理論を発展させたのが分子栄養学であり、オーソモレキュラー医学です。この医学は極めて理論だっており、生命活動をオーダーメイド的にハイパフォーマンスにする理論なのですが、わたしたちは医学部でこれほどすごい理論は習っていません。ただ、基礎医学で勉強した生化学の知識で考えればすべて納得いくものです。

    しかし、困ったことに、オーソモレキュラー医学で治療につかうのはほとんどが鉄、亜鉛、マグネシウムなどのミネラルとビタミン類です。サプリとして手に入るのでいいのですが、保険がききません。我々医師としては保険のきかない治療は本流でないような感覚があり、アウトサイダー的な扱いになりがちです。しかし、実践してみると驚くほど効果的です。しかも、処方箋がいらないので、患者さんに必要なビタミンを指導すれば、あとは世界中どこにいても大抵は自力で治療できます。

    分子栄養学実践講座というものがあり、東京や大阪で土日のセミナーがあるようです。調べてみたら、遠方に済んでいて参加できない人や日程が合わない人はWEB版をどうぞという案内があり、実際にセミナーに参加するより安く全講演をWEBで見ることができます。九州からだと飛行機代、宿泊代などかかります。このシステムは素晴らしいです。早速申し込んでみたら、全講演のビデオがオンディマンドで見ることができます。過去の講義もテーマ別に閲覧できて、なんと全部で60コマ以上の講義が自宅で受けられます。途中で止めてメモしたり見返したりすることもできるのです。嬉しいことこの上ないです。寝る暇が無くなります♫

  • 正月は痛風が増える季節

    火曜の夜は、開業仲間でやっている内科の勉強会でした。今回のテーマは尿酸です。検診などで尿酸が高いと言われた方は結構いると思います。特に男性が多いそうです。尿酸が高いのを放って置くと痛風発作を起こします。多くの場合、足の親指の付け根が腫れ上がって歩けなくなります。通常ロキソニンなどの鎮痛剤だけでは痛みはおさまらず1週間以上かかります。

    当院では足が腫れて痛むという場合、院内で尿酸検査を行い、10分ちょっとで判定します。痛風であれば、専用の薬を処方するため、結構早い段階で歩けるところまで改善します。尿酸が高くないのに痛風に似た病態をとることがあり、偽痛風と呼びます。名前の通り偽物の痛風ですが、症状は殆ど同じです。偽痛風のほうが肩や手首など比較的大きい関節で炎症を起こします。治療法は痛みに関しては痛風発作と同じです。関節が腫れていたくなるので、整形外科を受診する人も多いのですが、痛風の専門は内科です。当院にも整形から紹介されてきます。

    正月はお酒をのんだり数の子を食べたりしますから、痛風が増える季節です。尿酸はアルコール、魚卵などで上がりやすいのです。しかし中にはお酒は飲まないのに尿酸が高いという人がいます。これは、体質です。尿酸は尿中に排泄されるのですが、そのスピードが遅い人がいるのです。そういう場合、尿酸を捨てるスピードを上げるタイプの治療薬があるので、それを使ったほうが治療がうまくいきます。当院でもそのような体質を考慮した治療を行っています。

    勉強会は夜遅くまであるのでマックで晩ご飯。夜マックは100円プラスでパテ(ミート)が二倍になります。写真はダブルチーズバーガーの夜マックなので4枚重ねです!美味い😋

  • 米サンクスギビングデイ(感謝祭)は来週です

    テレビやネットを見ているとブラックフライデーが話題です。今週末がブラックフライデーだったかなと思って調べてみたら、来週でした。この数年でブラックフライデー(バーゲン)は有名になってきましたが、本場アメリカで大事なのはブラックフライデーではなくその前日のサンクスギビングデー(感謝祭)です。日本で言うならお盆と正月が一緒になったような大切な日で、遠くにいる家族も帰省してきます。私のいた職場(テキサス大学麻酔科ラボ)もみんなでターキー(七面鳥)のローストなどを持ち寄ってパーティーです。私の家族は、中華街から食材を揃えてきて、もち米に桜えびなどをいれて竹の皮に包んで蒸したチマキを作って持っていったりしました。アメリカ人も米を食べることはありますが、あちらの米はサラサラしています。日本で言うタイ米みたいな品種です。うちが持っていったチマキをみんなはスティッキーライス(ベタベタする米)と呼んでいました。懐かしい思い出です。

    そして、そのサンクスギビングが終わったらみんなでバーゲンにでかけます。日本でいえば新春初売りバーゲンみたいな感じです。どこも大賑わいで黒字になるからブラックフライデーと呼ぶと言われていますが、真相は知りません。確かにブラックフライデーはバーゲンセールなのですが、それほどでもない印象でした。なぜなら、クリスマスを前にして、みんなプレゼントを買う季節なので、バーゲンをしなくても需要が大きいのです。したがって、クリスマスが終わって、需要が冷え込む年末の方が最も安くなる時期なのです。うちの家族は、テキサスのガルベストンから数100キロ離れたサンアントニオ(熊本市の姉妹都市です)近くのアウトレットモールまで泊りがけで買い物に行っていました。

    クリニックを開業すると熊本から離れられません。学会でもせいぜい福岡くらいまでです。患者さんでホンダや東京エレクトロンみたいな企業づとめの方は、先週は台湾、今週は中国、来週はベトナム、みたいな生活です。私としては、羨ましくて仕方ありません。いまや国際化の時代です。日本に留まらず世界に羽ばたいて仕事をしたいものです。

    往診先の老人介護施設「ふくろうの森」のシンボルがクリスマス飾りになった

  • なんのために血糖をコントロールするのか

    東洋医学会に参加してきました。沖縄の先生と話していたのですが、今年は台風が沖縄をそれて直接九州や関東にいって、コースが変わったようだ、沖縄の民家はどこも鉄筋コンクリートで大抵の台風には耐えられる、内地の人も木造はそろそろやめないと危ないですよ、とのことでした。たしかにそうかも知れません。沖縄に木造住宅はめったに無いそうです。台風だけでなく、地震の事もありますから、建て替えるならRC(鉄筋コンクリート)がいいと思いました。

    ところで、先日当院でTKUの健康大百科という番組の撮影がありました。多分18日月曜に放送だと思います。昼頃だと思いますが、恥ずかしいので見ないでください(と言いながら宣伝しています)。見損なったら、TKUのホームページからネット配信でしばらくの間見れるようですので、確認が取れたらサイトをアップしようと思います。

    番組では糖尿病の管理について話していますが、たった3分ほどの番組ですから大したことは話していません。私が最近思うのは、なんのために血糖コントロールするかということです。その答えは、将来起こりうる心筋梗塞や脳梗塞、腎不全、眼底出血などこわい合併症を予防するためです。こういった合併症は糖尿病になってから20年くらいたって起こってきます。そこで、80歳過ぎたような糖尿病患者さんは厳密にコントロールする必要はありません。むしろ低血糖のほうが害があります。例えば、血糖が200でヘモグロビンA1cが7.8の人と、血糖が70でA1cが5.8の人がいたら、後者は一見成績優秀に見えますが危険です。私はそんなデータを見たら冷や汗を流します。素人の皆さんはデータ(正常値)ばかり気にするのですが、それは大きな過ちです。

     

    佐賀銀行前

  • 冷え性の漢方治療

    今日は日赤の加島先生が漢方の講演をしたので、診療が終わり次第駆けつけました。夕方の診察後にしばらくお客さんが来たりして対応していたので、講演に10分ほど遅れたのですが、100人は入る講演会場が大入り満員で、私は一番うしろの補助席でした。その後も続々と来場する先生がおられました。主催したクラシエの集客力と漢方に対する本気度が伝わります。講演の内容は冷え性の病態解説と漢方の使い方です。これからの季節、冷え性は多くなります。漢方の出番です。西洋薬ではほとんど冷えには対応できないと思います。

    冷え性というのは不思議なもので、かなり主観的なものです。足が冷えると言う患者さんの足を触っても冷たくないことがよくあります。漢方の診察では、脈や舌の状態から寒熱を診断するのですが、本人が冷えると言っているのに診察所見は熱という場合があります。診察しながら頭が混乱してきます。今日の加島先生の講演ではこのような頭が混乱するような症例は出てきませんでしたが、実臨床ではしばしばこういう場面に出くわします。患者さんがなぜ冷えを訴えているのかを個々の症例でじっくり考えないとうまく治療法を思いつきません。

    また、単なる冷えでなく、冷えに伴ってお腹が痛くなる人、頭痛や腰痛がする人、しもやけになる人、眠れない人など多彩な症状を合併します。それらをそれぞれの症例で病態を考えながらベストな漢方処方を考えます。本当に難しい作業なのですが、謎解きが楽しくてこの仕事はやめられません!

    ちょっと季節がおくれました。せっかく撮った写真なので出しておきます。