むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 第三医学という漢方流派

    生け花や茶道に流派があるように漢方にも流派があります。日本独特の古法、中国の中医学というのが大きな2つの柱です。表千家と裏千家みたいなものです。私は最初から中医学を勉強してきましたので、今でも古法の流派の人が発表する内容はあまりピンときません。ただ、日本で漢方をやっている人の割合は、古方のほうが圧倒的に多いです。しかし、中医学のほうが理論整然としているため、若い世代で漢方に取り組んでいる人は中医がかなり増えています。

    そんな中、第三医学という流派が最近話題です。中医でも古法でもない第三の漢方流派という意味ですが、これまでは山本漢方と呼ばれていました。提唱した山本巌先生の流派です。私も、この10年くらいはもっぱら山本漢方(第三医学)をやっています。独学ですが、座右の書は山本巌先生の漢方の解説本です。困ったときはいつもそれを読みます。

    実は、先日フクロウ型の漢方治療をやっていますと書きましたが、このフクロウ型というネーミングは山本巌先生です。10年以上前に東洋医学会でフクロウ型の治療を発表されていた先生がいて、それが誰だったかは覚えていないのですが、発表内容はとても印象的でした。それ以来私もフクロウ型人間の漢方治療にずっと取り組んでいます。久留米大学から私に声がかかったのも、そのような背景を知ってのことだったようです。これを機に、第三医学の勉強会にも積極的に参加してみようと思っています。

    博多 住吉神社

  • フクロウ症候群

    福岡に漢方の勉強にいってきました。演者は久留米大学の惠紙先生です。メンタルケアの漢方治療について講演されました。当院にもそういう患者さんが多いため、とても参考になりました。最近久留米大学は「フクロウ型」人間の治療を積極的にされています。「フクロウ型」というのは、夜ふかし、朝寝坊のひとです。単なる怠けではなく、どうしても朝起きられないのです。学生だと、朝起きられないために毎朝親に怒られて、ぎりぎり間に合ったり遅刻したり、なかには通常の学校を諦めて通信制の学校に切り替える場合もあります。

    久留米大ではこのフクロウ型を専門に扱うフクロウ外来を始めたところ、すごい数の患者予約が殺到し、今現在で来年の5月まで予約でいっぱいだそうです。しかも、九州各地から問い合わせがあるため、熊本の患者さんは熊本で見てもらえないかと依頼を受けました。当院でも以前からフクロウの漢方治療を行っているので、できるだけのお手伝いはしたいと思います。

    今回の講演ではフクロウ型も背景は1つではなく、起立性調節障害、メニエル症候群、不登校、自律神経失調症、適応障害、発達障害などいろいろな病態でフクロウ型を呈しているので、漢方もそれに応じた治療法を考えないといけないというものです。また、首のレントゲンを取ると8割以上に異常があると言われていました。そのあたりが新たな治療のポイントになりそうです。

    博多 住吉神社

  • 猛暑ですね

    今年は太平洋高気圧が弱かったので雨が多く猛暑ではないのではないかと予想していましたが、去年同様の暑さです。昼に往診にでかけたときは車の温度計で44Cでした。これはアスファルトの上の温度ですが、実際に37Cはあったとのこと。どおりで暑いと思いました。クリニックにも頭痛やフラつきで来院される方が結構います。熱中症や暑気あたり(夏バテ)と思われます。中でも大変なのは、工場や厨房で働く人達です。冷房が効かないので、更に熱い環境で働いているそうです。脱水にならないように水分補給は必要ですが、気温があまりに高いと水分を補給しても体調は悪くなります。

    そうは言っても、日の出は随分遅くなりました。私は毎朝5時半頃起きますが、最近は暗いので雨でも降るのかと思って外を見ると、まだ夜が明けていません。夕方も、いつもの通り仕事の後に帳簿をつけたりお釣りをセットしてから帰宅するとすでに真っ暗です。ついこの前まで家に帰り着く頃は明るかったので、随分季節が変わってきた印象です。あと2週間でお盆です。猛烈な暑さもそこまででしょう。

    今日は、産婦人科の漢方の勉強会があったので、参加しました。香川大学の塩田先生の講演でした。はじめてお会いしましたが、膨大なスライドをとんでもない早口で機関銃のように話されましたが、内容が濃くてとても勉強になりました。後でじっくり反芻して自分のものにしたいと思います。

    暑い!

  • 過活動膀胱

    尿意切迫(突然尿意を催す)、切迫尿失禁(おしっこが間に合わない)、夜間頻尿(一晩に3回以上)などで困っている人は過活動膀胱かもしれません。川野泌尿器科病院の川野院長先生の講演会があったので、勉強に行ってきました。診断や治療のコツについて細かに教えていただきました。当院にも過活動膀胱で来院される患者さんはたくさんいます。内科ですが、それほど特別な検査は必要ありませんから当院でも治療しています。

    過活動膀胱は圧倒的に女性が多いのですが、男性にも見られます。男性の場合は前立腺肥大に引き続く過活動膀胱が多いため、前立腺の治療を先行させます。一晩に3回以上トイレに起きると睡眠が障害されます。翌日眠くて困るというような場合はきちんと治療してみたほうがいいと思います。

    もう一つ講演がありました。あけぼのクリニックの田中元子先生の講演です。ビタミンDについての話でした。ビタミンDは以前はカルシウムのこと、骨のことがメインでしたが、最近は免疫を活発にしてインフルエンザを減らすとか、心臓や腎臓にも保護的に作用するという良い働きが次々と明らかになっているというお話でした。まさに私が取り組んでいる分子栄養学の世界の講演でした。

  • COPDは禁煙が絶対必要

    熊本市民病院は地震で大きく被災して現在建て替え中です。新しい病院は健軍自衛隊の横の敷地で当院からはかなり近くなります。毎日新病院前を通るのですが、かなり出来上がった印象でした。そんな中、今日は夕方から市民病院主催の勉強会があり、もうすぐ開院の案内がありました。来週には建物の引き渡しがあるそうです。それから検査機器を入れたり備品を整えたり大忙しです。当院も規模は違いますが建物の引き渡しから開院までの1か月ちょっとは怒涛のような忙しさでした。スタッフと患者さんの動線の確認、受付から会計までのシミュレーションなど図面上で考えていたのと現実出来上がってみてやってみるのではずいぶん違います。場合によっては建設会社に手直しを頼まないといけないこともあります。また、保険所や厚生局などの許認可関連が神経を使います。市民病院は同じ東区でとても近い位置にあるため連携の面からも期待が大きいです。いい病院になってもらいたいです。

    講演会で市民病院の紹介の次に熊大の呼吸器内科の教授に就任された坂上先生の講演がありました。この教授は私より5つ以上若く、この先熊大で20年以上教室を運営される予定です。頑張ってもらいたいものです。講演の内容は「長びく咳」についての話でした。クリニックを開業していると咳が止まらないという訴えの患者さんは非常に多いです。そして、咳が止まらないために肋骨にひびが入ってしまうような人もおられます。何とか咳を止めてあげたいのですが、なかには困難を極める場合があります。今日の勉強でさらに治療成績が上がることを期待します。

    咳や息切れがひどい場合、COPDという病気かもしれません。肺気腫とも呼びます。今日の講演では、たばこをやめずにCOPDの治療はできないと断言されていました。大学病院では禁煙しなければ治療してもらえないみたいでした。COPDでは在宅酸素療法となる場合もあり、酸素ボンベを引っ張りながらタバコを吸うと火災の危険性もあるので絶対禁煙すべきです。