むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 糖尿病の新たな展開

    久しぶりにリアルの講演会があり、参加しました。ホテルの宴会場だったのですが、参加者は10名前後でやはりこじんまりした会です。演者は熊大分子生理学の永芳先生でした。素晴らしい講演でした。例年だと、終わってから懇親会もあるのですが、今回はそういうのは無く、真面目に勉強の会でした。それにしても、ホテルは閑散としており、玄関にはタクシー一台止まっていません。ちょっと怖いくらいでした。経営が心配です。

    勉強した内容は、RNA修飾病という新しい概念。遺伝子はDNAでできており、それがタンパク質に変換される途中段階でRNAという設計図のコピーが必要となります。そのRNAが変なふうに修飾を受けると設計図通りタンパク質が合成されなくなるそうです。糖尿病でも、膵臓でインスリンを合成する際にRNAが異常な修飾を受けることで設計図通りの蛋白(プロインスリン)ができず、その結果、インスリンが活性化できない(Cペプチドが切れない)そうです。例えれば、万年筆を使いたいのにキャップが外れなくなり、万年筆はあっても字がかけない(役に立たない)。こういう異常が見つかったそうです。

    更に凄いのは、こういう異常蛋白を作ってしまうRNAの修飾を正しくする薬剤の候補が見つかったというもの。私もよく使っている薬ですが、その薬剤がまさかインスリンのRNAを正しく働かせる働きがあったとは驚きでした。この分野は非常に新しいですが、今後すばらしい展開が期待できます。やっぱり勉強というのは不要不急のものではなく、どんな状況でも休んではいけませんね。

  • WEB講演をしました

    今日は診療のあとクリニックの診察室からWEB配信の漢方の講演をしました。私は、オンライン会議などが世の中に始まりつつあった頃にかなり熱中してリモート会議の機材を研究しました。最初は映像に凝って、一眼レフをパソコンに繋いでWEBカメラとして使えるようにしました。しかし、オンライン会議やWEB講演で最も大切なのは、自分の顔の映像より発信している声だと気づきました。そこで、YouTubeを研究して、ユーチューバーが使っている一押しマイクを買うことにしました。コンデンサーマイクです。これは、買ってみて驚きました。パソコン内臓のマイクとは音声の質がぜんぜん違います。もちろん今日もそのマイクを使って講演しました。

    講演で話したのは、「女性の一生を漢方でサポートする」という話。学生時代はお腹が痛い、頭がいたいと言って学校に行けない、朝起きられない子供の話。最近多いです。次に生理前の体調不良、いわゆる月経前症候群。漢方がよく効きます。次に産前産後のうつ。この妊娠期や授乳期は抗うつ剤を使いづらいので漢方の出番です。もう少し歳を取ると、親の介護疲れや夫源病などが出てきます。夫源病は医学用語ではありませんが、夫が妻に対して威圧的で家庭には非協力的なため奥さんのストレスがたまり、体調を崩すというもの。心当たりありませんか?

    実は、私は不定愁訴の患者さんが結構得意です。通常、産婦人科などで更年期に伴う不定愁訴(頭が痛い、重い、耳鳴りがする、吐き気がする、気分が落ちる、不安、イライラなど)はとても嫌がられます。これと言った治療法がないからです。しかし、わたしたち漢方専門医はこういう患者さんのことは苦でもなんでもありません。むしろ情報が多いだけ治療のヒントとなります。複雑なパズルを解くように治療法を検討します。

    久木野村

  • 台風時の頭痛は五苓散

    連休ですね。いかがお過ごしですか?日曜はクリニックのワックス清掃で業者が入ったので、立ち会いで夕方まで缶詰でした。2ヶ月おきにワックスがけが入るのですが、長時間拘束されるので、その時間をいかに有効活用するかは1週間以上前から考えます。今回は山のように溜まった経理の仕事。毎日が診療で忙しくて帳簿付けなどほとんど後回しになっているので、この際一気に片付けました。各社取引先への振り込みや請求書、領収書などの整理に半日かかりました。この週末は内科学会なのですが、昨日も書いたとおり、今年はWEB配信です。日曜は朝からずっと学会の会場にアクセスして臨場感あふれる生配信の講演を聞きました。東京の会場は1000人ぐらい入る大講堂に演者と数名の観客のみ。ガランとしたところで講演があってました(会場費がもったいない)。昨日は向井千秋さんが宇宙医学についての講演をしてくれました。臨床の役には立ちませんが、興味深かったです。

    というわけで、ずっと学会の講演を聞きながら経理関係の仕事を済ませ、充実したワックスがけの一日となりました。WEB配信の講演を聞いたついでに日本東洋医学会にもアクセスして一つ受講しました。専門医を更新する際、医療倫理の講義を受けることが必須になっているのですが、この講義は東京などである総会でしか受けられず、私が参加する地方会(九州支部総会)では単位が取れませんでした。それが、ありがたいことにオンライン受講できるようになったのです。もちろん有料ですが東京に行く費用と時間を考えれば、格安です。

    ところで、台風が接近中です。明日朝にも九州の西を通過します。バケツなど軽いものを外に出しっぱなしにしないようにしましょう。台風が近づくと頭痛やめまいがする人がいます。気圧の変化にとても敏感な人です。この体質の人は、女性なら生理前にも頭痛や頭重に悩まされることがおおいです。漢方的には水毒の証ですから、五苓散や苓桂朮甘湯、当帰芍薬散などが有効です。もし、調子が悪くて困った、という場合、このような漢方を通常の倍程度多めに飲んでもいいと思います。漢方はそのくらいのメリハリを付けた飲み方をしたほうがいいと思います。ただ、こういう飲み方は処方箋に書くことはできません(処方箋は原則として薬の用法用量を守らないといけない規則がある)から、特別な飲み方は診察時に個別にアドバイスしています。

     

    今日の自作のナムルなど。ナムルの基本は白(大根やもやし)、黒(ワラビやぜんまい)、青(緑:ほうれん草)だそうです。野菜たっぷり、ヘルシー晩ご飯。

  • やっぱりリモートの時代です

    土曜日は土曜としては過去最高の患者数でした。忙しすぎて、目が回りそうでした。待ち時間が長くなってすいませんでした。落ち着いている患者さんにはできるだけ長期処方をして、混雑解消をはかるよう努力しています。なかには単純な病気ではなく、かなり頭をひねりながら治療法を考える症例もあります。そういう患者さんも、2回目、3回目と来院を重ねると、私の推論>処方>その結果を踏まえた考察>次のアクションというPDCAサイクル(P:プラン、D:Do実行:C:チェック、Aアクション、次の行動)にも似た回路が回り始め、次第に病態把握と治療方針が煮詰まっていきます。それは、血圧が高い人に降圧剤を出すほど簡単なものではありません。時間がかかるのです。

    ところで、この週末は日本内科学会総会です。わたしたち内科医は専門医や認定医を維持するために学会に所属するだけでなく、定期的に学会に参加しないといけません。ほとんどは東京であるのですが、私のように訪問診療の患者さんを100名近く抱えていると、何が起こるかわかりませんから東京に長居はできません。いつもトンボ返りです。旅費のムダ、時間のムダ、そして、学会に参加してもほとんど何も聞かず勉強もせず、参加費を払ったらすぐ帰ってきていました。しかし、今年はコロナの影響で学会がWEB配信となりました。初日の昨日はサーバーがダウンしてアクセス不能となりましたが、今日はバッチリ参加できました。旅費も宿泊費もかからず、土曜の診療が終わってすぐiPadでアクセスすれば、そのまま学会に参加できます。講演を聞きながら弁当を食べますが、リアルの学会に参加するより遥かに勉強になりました。WEB配信、素晴らしい。今後もずっとやってほしいです。

    そして、私が、医局で学会に参加して勉強しているうちに、クリニックのレセコン(診療報酬を計算するパソコン)のバージョンアップが終わりました。東京の電子カルテ会社に終わりましたと電話したら、あちらからリモートで当院のパソコンに入って、電子カルテとレセコンの連携にトラブルがないかを最終チェックしてくれました。時代はリモート、すごいです。日本のどこにいても仕事ができる時代となりました。

    夕方、全部の作業が終わったので、下通りの韓国料理ハヌルにまた行ってきました。私が自分で作るチゲ鍋の味と店の味比べをするためです。結果、自分の味もいい線いっていることを確認できました。それにしても街は5月の非常事態宣言のときぐらい閑散としていました。どの飲食店もやばいです。連休中私が食べに行きますよ。待っててください!

  • WEB講演(会議)は画像より音声の質が大事

    最近はテレカンファも多く、製薬メーカー主催の講演会もWEB配信が主流となってきました。直接演者と会って名刺交換などができない点は残念ですが、それにもましてメリットがたくさんあります。まず、交通費。クリニックから街中のホテルの講演会場まで夕方のラッシュアワーに30分以上かかります。タクシーを使えば片道二千円。WEB講演なら時間もお金も節約できます。もう一つは演者の問題ですが、日本中どこにいても講演できます。わざわざ熊本まで来てもらわなくても夕方まで東京で診療した後に講演することさえできます。仕事効率を考えると凄いことです。

    演者にとって辛いのは、日本全国の講演家がライバルとなります。地域格差がなくなるため、超一流の講演家とクオリティーで勝負しないといけなくなります。今までは熊本である講演会は熊本大学の先生がすることも多かったですが、WEBだと交通費がかからないので世界中全てが舞台となります。ワールドワイドな時代になりました。切磋琢磨しないといけません。

    WEB講演だとスライド共有の場合、演者の画像に凝る必要はないので、カメラは簡単なものでいいでしょう。一眼レフもいいですが、ハンディカムあたりでキャプチャーボードを使えば満足の画質です。最も大事なのは音声です。間違ってもパソコン内蔵マイクなんて使わないことです。私はユーチューバー一押しのFIFINEのコンデンサーマイクを使っています。五千円くらいですが、驚くほど素晴らしい音質です。さすがに、ユーチューバーは音声で伝えてナンボなので、音へのこだわりが凄いです。逆に、音にこだわっていないコンテンツは聞きづらくて見る気がしません。