むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 風邪と風

    今日は灼熱の大地を冷やしてくれる夕立が降りました。気温も少しさがってホッとします。最近来院される患者さんによくあるのが、息苦しい、という訴えです。これは、ストレスなどで息が詰まったようになる場合もありますが、このところの暑さで吸う空気が体温を超えているため、呼吸が浅くなってしまいなんとなく息苦しい、という場合も多々見受けられます。そうすると、病気なのか、暑さのせいで体が反応しているだけなのかわかりません。肺は血液のガス交換をする臓器なので非常に血流が豊富です。そういうところに体温より高い温度の空気がバンバン入ってくると必然的に体温が上がってしまいます。それを防ぐには呼吸を浅くするしかないのです。

    人の体で熱が体にこもってしまった際に熱を冷ましてくれるのは汗です。汗をかくことで、体表面から気化熱として体温を奪ってくれます。また、気化熱で体温を下げるために必要なのは、空気の流れです。洗濯物も、暖かい方が寒い時よりは乾きやすいですが、最も大切なのは洗濯物に風が当たるかどうかです。扇風機の風を当てておくと乾くスピードが早くなります。

    そう考えると、最近風邪で来院した人の背景を聞いたところエアコンをつけっぱなしで風邪ひいたという人より、扇風機をつけて寝たら風邪ひいたという人の方が圧倒的に多いです。やはり、風邪と風は関連しているのです。みなさんご注意を。

  • 科学的でない健康番組

    火曜日にある「たけしの家庭の医学」は話題も豊富で真面目に作られている番組なので、毎週欠かさず見ています。しかし、仮説を検証する段階になると、いつも怪しくなります。科学的でないのです。まず、医学論文にするには統計学的に効果を証明しないといけないので、たくさんの症例でデータを取らないといけませんが、番組ではせいぜい2ー3人で検証しています。それは、論文ではなく番組の信ぴょう性を示すだけという意味では目をつぶってもいいところです。しかし、問題ある論理性に欠ける展開はちょっといただけません。

    <今日のテーマ>肝臓がアルコールと関係なく線維化している人がいる。その線維化はビタミンEで改善する。<検証>肝臓に繊維化を認めた女性1名(n=1)に対してアーモンドやお茶の出がらしを炒めたものを食べてもらった。よく噛んで間食を減らした。<結果>繊維化が改善した。という展開でした。ここで問題あるのは、ビタミンEが効いたかどうか全く検証になっていない点です。ビタミンEが効くかどうかは食生活を変えることなく純粋なサプリメントの摂取で確かめなければ分かりません。

    番組でアーモンドを食べたりお茶の出がらしを炒めて食べたりしていましたが、それが効果があったかは全く不明です。むしろ間食を減らして体重を落としたことが効果的だったと思われます。なぜなら、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)という疾患があります。以前は脂肪肝は肝硬変や肝がんになることはないと信じられていましたが、現在、NASHは線維化する(肝硬変へ進行する)とわかっています。したがって、間食を減らして体重を落とすとNASHが改善して肝臓の繊維化も改善したと考えるべきなのです。昨日の晩にテレビを見た後お茶の出がらしを食べた方はいませんか?それより間食を減らして脂肪肝を改善するのが先ですよ。

    金峰山に沈む夕日。まだまだ暑いですが、日暮れも早くなり秋を感じます。

  • 目を大切に

    このところ、暑さも凄まじいですが、光も相当強いです。あまりの眩しさに目がくらみます。日食の際に太陽を直接見てはいけませんと言いますが、これは太陽の赤外線(熱エネルギー)が網膜に障害を起こすからです。このところの昼の眩しさは、こういった網膜を傷害してもおかしくないほどの光度だと思います。

    一方、眩しい光にはもう一つ危険な成分があります。紫外線です。紫外線は目のレンズに当たることで炎症を起こして長期的には白内障の原因となります。だんだん目がかすんで見えづらくなります。ひどい時は失明したりすることもありますが、最近は人工のレンズを目に入れる手術がありますので治療はかなり進歩しています。それでも、予防が一番です。

    目を赤外線や紫外線から守るには、サングラスが一番です。色の濃い(黒っぽい)レンズは赤外線を抑えますが、暗くなったのを感知した目は瞳孔を開いてしまいます。その結果、目とサングラスの隙間から入って来た紫外線が大量にレンズに当たることになりますので、危険性があります。一方、紫外線対策にはガラス製のレンズが一番です。最近のプラスチック軽量レンズも紫外線を99%カットできるなどと性能をうたったものは大丈夫です。薄い黄色が紫外線の補色となり、おすすめです。できれば目の横まで覆うような構造の方がいいと思います。また、白内障予防にはビタミンCとEを十分取っておくことが大切です。

  • プロテインの勧め

    最近、患者さんにはビタミンとプロテインを勧めています。もちろんしっかりと肉や卵を食べることができる人はいいのですが、食欲がないとか、少し食べるとすぐお腹がいっぱいになるという場合、1日に必要なタンパク量を十分とることができません。厚労省の発表では、最低でも体重1キロ当たり1グラムのタンパクが必要ということです。体重60キロなら60グラムのタンパク質です。これを肉に換算すればステーキで200ー300gは必要です。日本人ではこれを毎日はなかなか難しいと思います。

    日頃忙しくておにぎりや菓子パンなどで済ませていると、炭水化物過剰、ビタミン欠乏状態となり体調不良となります。その体調不良はメンタルにも及び、ストレスに対して弱くなり、落ち込んだり不安になったりパニックを起こしたりします。このように忙しくて食べる暇がない時こそ、つとめてタンパク質を取らないといけません。

    そこで救世主となるのが、プロテイン飲料です。スポーツ選手がマッチョをめざして飲むやつですが、それを栄養補助食品としてお勧めます。私も最近飲んでいますが、飲むと体に栄養が満ち溢れたような満足感が得られて、甘いものなどを欲しいという気持ちが抑えられます。過食気味の人はプロテインとビタミンBミックスを飲むと過食が止まります。私は炭酸水にとかしますが、スッキリしたのみ心地です。プロテインには大豆(ソイ)と牛乳(ホエイ)からできたものがありますが、ホエイがオススメです。

    https://jp.iherb.com/pr/California-Gold-Nutrition-Whey-Protein-Isolate-Dark-Chocolate-2-lbs-908-g/82696

  • スマホ首

    スマホのやりすぎで首が痛くなるのを「スマホ首」と呼びます。かなり多いのでみなさんもご存知かと思います。整形でレントゲンを撮ると、首の骨の並びが正常の湾曲を失いまっすぐになりストレートネックと呼ばれます。私は携帯(スマホ)をつかうのは1日1分もないのですが、パソコン作業は12時間以上です。仕事だけでなく、家に帰ってからもずっとiPadを使います。

    こんな毎日ではやはり首に負担が来ます。こういう場合、私は自分で治します。セルフ整体です。毎日30分くらい犬の散歩をしますが、その時リードを持っていない手は空いています。その手を使って、歩きながら整体するのです。想像つきますか?首の骨を矯正したい方向に力を加えながら歩くのです。首だけでなく、肩こりも腰痛も犬の散歩中に治します。

    こんな手技を患者さんの治療に役立てられないかと思うのですが、まず整体治療は保険点数がついていません。また、30分以上かかるので、忙しい外来ではとても時間が取れません。しかし、方法は難しくありません。矯正する方向に力を加えながら体を揺らすだけです。犬の散歩でなくても、テレビを見ながらでもできると思います。

    江津湖の遊歩道