むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 猛暑を楽しむには

    今日も暑かったですね。クリニックにきた人から聞いたのですが、当院駐車場では車の温度計が42度を指していましたとのことです。倒れないようにしないといけません。無理しないで休息をとってください。エアコンの電気代もこの際惜しまないで使ってください。病気しては入院代の方が高くつきます。

    こんなに暑いと思い出すのがスペインです。スペインは海の向こうがアフリカなので、本当に暑いです。日本と違ってカラッとした暑さなのでまだマシかもしれません。そのようなスペインの昼は暑すぎて仕事にならないという理由でシエスタ(お昼寝)という習慣があります。みんな仕事から一旦帰宅して自宅で家族揃って昼食をべて、夕方涼しくなるまでのんびりと昼寝でもして、午後遅くからまた仕事をするというパタンです。スペイン旅行するとシエスタの時間は店も閉まってしまうので、昼ごはんなどは遅くならないように注意すること、と言われています。

    熊本もシエスタを導入しないといけないかもしれません。仕事にならない暑さです。患者さんもまばらです。外出がためらわれます。スペインのように暑い昼間は家で家族揃ってパエリアでもつつきながらビールを飲んで夕方から少し夜遅くまで仕事をしたらもう帰宅してご飯を作る時間ではないのでみんなでバーに繰り出してタパスというおつまみをいくつも頼んでタブラオ(フラメンコショーなどが見られるレストランバー)をはしごする、そんなラテン系の生活を目指せば、死ぬような暑さも楽しみに変換できるのではないかと思ったりします。ちなみに熊本で私の好きなタパスが揃っているのは手取り神社の参道にあるハルズバー(Hal’s Bar)です。ぜひ夏の夕暮をスペイン気分で過ごして見てください。

    今日の夕日です。とろけるように真っ赤でまるでエネオスの一部のようです。

  • 技術革新

    うちは食材を生協から毎週取っています。メニュー(カタログ)はいつも大して変わりません。買うものもだいたい同じです。しかし、見かけは同じ食材でも最近驚くべき変化があります。それは、食材が腐りにくくなったことです。例えば、豆腐。賞味期限を1週間くらいすぎても全くどうもありません。美味しく食べられます。厚揚げもそうです。夏のこの時期、従来なら食べずに何度も腐らせた経験があるのがモヤシです。袋に入ったまま酸っぱい匂いがしてきて水浸しになっていました。しかし最近のモヤシは全く腐らず1週間後にシャキッとした状態で食べられます。匂いもしないし、みずみずしいです。

    これは何か素晴らしい技術革新があるに違いないと思っていました。生協の食材で、今までずっと買い続けて着たブランドものですから、今さら保存料を入れるということはないと思います。そう思っていたところ、ネットでコンビニ食材の安全性に技術革新が起こっているというニュースを見ました。以前は腐らないコンビニ弁当やサラダは保存料がバッチリ入っていて危険とされていました。しかし、セブンイレブンなどはTVのCMでも保存料などは極力使っていないと公言しています。

    結局、調理過程の衛生面の徹底管理が第一でしょうが、もう一つは洗浄水の進歩です。おそらく電解水と思いますが、殺菌作用のある水で野菜などを洗うことで、消毒できるのです。もちろん残留している電解水は口に入っても無害です。アルカリイオン水みたいなものです。コンビニはメニューの豊富さ、便利さに加えて食材の安全性まで進歩しています。その技術革新が、おそらく生協などで売られている野菜にも応用されている事実(私の推測)は素晴らしいことですね。

  • 夏バテいろいろ

    海の日でした。おかげさまで久しぶりの連休はゆっくり過ごすことができました。5月からずっと忙しかったので、やっと疲れをとることができてよかったです。日頃エアコンの効いたクリニックの中にいるため暑さ知らずですが、これでは体調が悪くなります。夏は体にも暑さを叩き込まなければいけません。自宅には室内犬を飼っているためリビングだけはエアコンを入れっぱなしで、私も家にいるときはこの涼しくしたリビングにいます。しかし、これではいけなと思い、炎天下歩いて買い物に出かけたりしました。とにかく季節を肌で感じる必要があります。

    こう暑いとビールでもクイッと飲みたくなりますが、せっかくの週末はまだ読んでいない本がたくさんあり、昼間っから酔っ払うわけにはいきません。最近はノンアルコールビールがありますから、昼に飲むならこちらです。炭酸水も安くて喉越しがいいため重宝します。しかし、ノンアルコールビール、炭酸水、アイスクリームなどつめたいものを食べたり飲んだりしすぎると夏バテの原因になります。当然胃腸に負担になります。また、体内では食べた冷たいものを体温の37度近くまで上げる必要がありますから、無駄にたくさんのカロリーを必要とします。

    したがって、夏の暑い時期にバテてしまったといいうときは食べ物に注意が必要です。冷たいものを食べたり飲んだりしたら後で温かいお茶も飲んでおくこと。ショウガなどお腹を温める食材をとること。(そういえば、冷やしそうめんのつゆにはたっぷりとおろし生姜を入れますが、これは冷えてお腹が痛くならない知恵です。お寿司に添えられたガリも同じです)漢方では、補中益気湯、清暑益気湯などが夏バテ用の薬ですが冷たいものを取りすぎて胃が痛いときは安中散、水分を取りすぎて体がきつくなったら胃苓湯という具合で使い分けます。

    上江津湖

  • 痛みが取れました!

    先日来院された女性のお話です。70過ぎの方で、首が痛くて上を向けないということでした。かなり痛みは辛そうでした。みると微熱もあります。首を丹念に触っているとどうも上の方(頭に近い方)に痛みがある様でした。実はこの方は当院に来る前に2つの整形外科を受診し、投薬をうけたけど治らなかったという触れ込みでした。整形の専門で治らないのに内科の私にどうして欲しいのか、と思いますが、ちょうどこの症例はピンと来るものがありました。

    クラウンデンス症候群です。首の関節に起こる痛風みたいなものです。痛み方、微熱、首を触った感触などからおそらくこの疾患に違いないと思いました。正確に診断するには首のCTがあればいいのですが、クリニックにCTはありません。丹念に所見を取ることが全てです。今まで何人もこの疾患の治療をした経験から間違いないと思い、処方を1週間分出してみました。

    そして、今日、満面の笑顔でその患者さんが来院されました。先生、上が向ける様になりました!全然痛くなくなりました。近所の人たちもそんな姿を見てびっくりしてました。ということです。嬉しいことこの上なかったです。やはり絶え間ない日々の勉強が患者さんの利益なのです。

    燃える夕日@尾ノ上

  • 基礎医学が基本

    医学部は6年あります。通常の大学より2年長くなっています。何を勉強するかご存知ですか?最初は通常の大学生と同じで教養というのがあり、英語や数学を習います。いま思い返しても、大学の数学などなんの役にも立っていません。難しすぎて、ほとんど哲学でした。その後、医学の勉強が始まるのですが、基礎医学、臨床医学、臨床実習という段階に分かれています。基礎医学では、解剖学に始まり、生理学、生化学、薬理学といった基本を習います。その後、内科、外科、小児科など各科の疾患と治療について勉強し、最後に大学病院での実習があるのです。

    いま私の臨床を支えているのは基礎医学です。なかでも生理、生化、薬理がもっとも役に立っています。例えば、血圧の治療薬はすごい数ありますが、どの薬がどんな風に良い、悪いというのは製薬会社のパンフレットではわかりません。いいことしか書いてないからです。しかし、基礎医学の知識があれば当然薬の優劣が見えて来ます。製薬会社の宣伝でとても優れた薬剤の様に見えても、使ってみると旧薬の方がよほど優れていたということはざらにあります。しかし、製薬メーカーは繰り返しいいところを強調するため、次第に洗脳されて来ます。私たちがこの洗脳から逃れ、自分で優劣を判断できるためには、基礎医学の知識しかないと思います。

    当院は、循環器内科を専門としているため、高血圧患者さんなど多数来院されますが、結構な割合で前医の処方を私の判断で変えさせていただくことがあります。しばらくすると、患者さんからは薬が減ったのに今までにないほど血圧が安定して来ました、と喜ばれます。この様な臨床のコツというのは、基礎医学あってこそのものだと思います。