むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • のどの違和感

    慢性的なのどの違和感で来院されるというのが結構あります。喉に何か詰まった感じとか、梅干しの種がひっかかった感じ、ビーフジャーキー(干し肉)が喉につかえた感じ、魚の骨がひっかかった感じ、などなど人によって表現は違いますが、のどの違和感の訴えというのはたくさん見られます。芸能人が咽頭がんとか喉頭癌とか聞くと、自分も癌ではないだろうかと思って心配になるし、心配すればするほどのどの違和感は強くなる。そんな感じです。

    大抵は耳鼻科にいってスコープで覗いてもらい、異常なしと言われます。心配ないと言われても、症状があるのは事実だし気になって仕方ない、という人は、何件も病院を変わります。胃カメラをしたりCTを撮ったりします。なかには逆流性食道炎と診断され、胃酸を抑える処方で治る場合がありますから、検査自体は無駄ではありません。しかし、どう検査しても何もないという場合に漢方に救いを求めてこられることがあります。漢方では、そのようなのどの違和感は気の流れが悪いと診断して、処方します。もっともよく使われるのは半夏厚朴湯ですが、最近は耳鼻科や消化器の先生もこのあたりの処方は使われますので、私たち漢方専門医のところに来る患者さんは半夏厚朴湯を使ったけど治らなかったという場合が結構あります。そういう時は、患者さんの虚実、寒熱などの体質をもう一度じっくり考え直す必要があります。

    また、循環器の専門医としての目で見ると、不整脈や狭心症でも喉の違和感が出ますから、心臓の検査(心電図や心エコー)は忘れずにしておいたほうがよいと思います。

  • 体の痛みと体のひずみ

    腰や膝が痛いとレントゲンを撮って骨が変形しているとか、軟骨がすり減っているとか言われます。ではなぜ右とか左とか片方に症状が出たりするのでしょうか。

    大抵は日頃の癖で左右差があり右か左のどちらかの体をたくさん使った結果、片方の腰や膝に症状が出るのだと思います。私の仕事を例にとると、机に向かって左側に患者さんが座ります。パソコン(電子カルテ)は真正面にありますから体は前を向き、首は左側に捻った姿勢になります。そうするとどうしても首や腰に負担となります。椅子に座るとき膝を組む癖があると、どちらかにひねった姿勢となりますから、これも問題です。大抵の仕事はこのように左右アンバランスさが出てきて体の負担になります。まっすぐ正面を向いていても右利きならペンを右手で持つ、マウスを右手で操作する、など右が前に出やすいので、自然と体がねじれます。私はそうならないようにマウスを置いて患者さんにまっすぐ向き合います。患者さんと話しているときはキーボードを打ち込みません。

    体の歪みを矯正する整体は引っ張ったりぐいっと押したり、背骨や首の骨をゴキゴキするイメージですが、実際にはそれだけで体のねじれは取れません。揺らしの運動が効果的です。体の力を抜いてゆらゆらと単調に揺らすこと、これが矯正に効果的です。バランスに気をつけながら肩の力を抜いてゆっくりジョギングするのも効果的です。とにかく、時間をかけて体を動かすことがひずみを矯正してくれます。私の外来でも患者さんに針治療と同時に軽く整体治療をする場合があります。結構効果的です。

    写真は森都総合病院のMRIです。3テスラだそうです。すごくいい性能です。

     

  • 二日酔いに効く漢方

    最近は歓送迎会のシーズンですね。実は漢方薬には二日酔いに効く処方があります。

    テレビのCMなどを見るとウコンが効くような感じですが、漢方薬の方がウコンよりはるかに効きます。何種類か有効な処方があります。一つではないのです。私がよく使うのは黄連解毒湯と五苓散です。それぞれ単独でも効くし、合わせるとさらにパワーアップします。他には柴苓湯、小柴胡湯、インチン五苓散などです。その時の体調や各人の体質によって使い分けますが、どれもよく効きます。飲みに行く前にあらかじめ漢方を飲んでおいて、後から追加でまた飲んでおくと二日酔いはかなり抑えられます。幹事さんなど、大事な接待の場で酔っ払って失敗は許されない、しかし自分一人飲まないわけにもいかない、そんな時に便利です。

    もう一つ、最近確実に効くと実感したのが霊芝です。霊芝とはサルノコシカケです。ガン患者さんが免疫をあげて抗がん作用を期待したり体力をつけるために飲む漢方の印象があると思います。この霊芝を煎じて飲むと二日酔いは防げます。おそらく肝臓の保護効果があるのと、デトックス効果があるようです。しいたけのスープを苦くしたような香りと味なのですが、苦味が有効成分だそうです。その効果を知ったら手放せないかもしれません。実は霊芝には水溶性成分とアルコール溶性成分があるそうです。そこで私は水で煎じた霊芝の煎じカスを焼酎につけてアルコール抽出してさらに楽しんでいます。2度美味しいのです。

  • くまもと森都総合病院のお披露目

    くまもと森都総合病院の移転先の新病院がお披露目になったので、見学に行ってきました。熊本県立劇場向かい(もとJT:専売公社あと)です。4月1日から新しい病院での診療が始まります。

    広い敷地に、堂々大きな建物です。今まで新屋敷の狭い土地で増築に増築を重ねて複雑な形をしていたくまもと森都総合病院ですが、相当設備投資をしてリニューアルするようです。駐車スペースも十分ありそうです。楽しみです。森都総合病院は以前は逓信病院、NNT病院と名前が変わり今に至っています。熊本地震で建物がかなり被災してしまいました。私も8年ほど前に循環器の常勤医として勤務し、そのあと7年ほど漢方外来を担当しています。今もここで週に1回外来をしているのですが、残念ながらこの三月末で終わりになります。自分のクリニックが忙しく、手が離せなくなってきたためです。今まで森都総合病院でみていた患者さんにはご迷惑をおかけします。

    写真は新病院の外観です。本当に大きいです。これから月末にかけて引っ越し作業はさぞ大変でしょうが、いい病院になることを期待します。

  • 人生の楽園〜その後

    毎週土曜日の18時から「人生の楽園」という番組があります。早期退職して夢の田舎暮らしをする、といったことを実現した家族の紹介です。ちょっとしたドキュメンタリーで、夢を追う姿、その夢が実現したところを見るのは楽しいものです。

    多いのが、都会から田舎に移住して、畑をする、ペンションを経営する、そば打ち職人になる、喫茶店やレストランを経営する、などなどです。みなさん退職金を叩いて夢を実現しています。みていて「いいなー、大自然の中で好きなことができて」と思います。

    つい最近、この「人生の楽園」に出演した人たちのその後がどうなっているかの調査がネットに出ていました。なんと、いまも夢の生活を継続しているのは半数にも満たないそうです。結局、大半のケースは道楽であり、採算ベースではなかったり、仕事がうまくいかなかったり、田舎になじめず都会に戻ったりしているそうです。やはり、見ず知らずの田舎で暮らすには相当の覚悟がいるようです。昔からの夢だから、というだけでは考えが甘いということのようです。

    別の統計ですが、飲食店の起業でつぶれにくいのは寿司屋、つぶれやすいのはラーメン屋だそうです。起業までにかかる修行の年数、経験、覚悟、といった違いでしょう。簡単に起業できる仕事は競争も厳しく現実は甘くないということのようです。