むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 整形内科

    整形外科というのは普通にあります。整形疾患は手術になることが多いと思います。しかし、骨折などどうしても手術したほうがいい場合もありますが、実際には腰痛や膝の痛みなどは手術でうまくいくとは限りません。そういう場合、手術をせずに内服薬で治療するという選択もあります。今日は、そういう勉強会に参加しました。整形外科の先生の講演なのに、手術せずに内服薬で治す話なんて、とても珍しいと思います。

    話を聞くと、整形<内科>とでもいうべき内容です。私が目標としている多角的なアプローチで痛みを取る治療に似たところがあります。痛みというのは一人ひとり違いますから、処方は画一的ではうまくいきません。患者さんに応じた強さの薬を選ばないといけないし、飲む回数や時間もその人ごとに変えていきます。そういう細やかな対応が、とても内科的だと思いました。

    痛みの疾患というのは不思議なもので、腰や膝などの痛い場所だけの問題でなく、それを痛みとして感じる脳の問題があるのです。炎症→痛み刺激→脳へ伝わる→反応性に交感神経が緊張→血流が悪くなる→ますます痛む、という悪循環が形成されるようです、従って、痛み止めて一旦きちんと痛みを取り去ることで、悪循環がストップし痛みから解放されることが期待されるそうです。一旦良くなると、痛み止めを飲み続ける必要はないようなので、2−3ヶ月をめどにしっかり治療したらいいとのお話でした。

    当院の玄関にスカイブルーのセキセイインコが飛んできました。びっくりしました。

  • 学校心臓検診

    私は熊本市医師会の学校心臓検診の班員をしています。熊本市内にあるたくさんの小中高校の新学期には健康診断があります。小学1、4年生と中1、高1で心電図の検査があります。実は、この何千枚という数の心電図を私たち心臓検診班でチェックしています。一次判定でひっかけた心電図は二次判定にまわり、そこでもう一度専門的な目で判定します。二次判定でも精密検査が必要と判定した場合、生徒さんには医師会ヘルスケアセンターに来院していただき、心臓超音波や運動負荷心電図を行い、問題ないかを調べます。

    こういう検診をするのは、生まれながらの心臓病が小学校に入るくらいまではっきりせず育ってきた場合、何も知らずに体育の授業、特に水泳などをして事故が起こらないようにするのが目的です。毎年検診で数百人が精密検査となりますが、実際にその何パーセントかに先天性の心臓病が見つかっています。早めに手術をしたり、体育の授業の参加を制限することで事故を未然に防ぐことができるのです。

    心電図を大量に見たり、検診で重大な疾患を見逃さないようにするのはとても神経を使いますが、大事な仕事なので毎年一生懸命に頑張っています。今日は、年度も新しくなり、新入生の検診の日程などの打ち合わせがありました。もうすぐ始まります。

  • 自分から動こう

    会社の入社式も終わり、いよいよ仕事が始まったというフレッシュマンの皆さん、ワクワクしていますか。最近は、大学でも会社でも新人研修というのがあり、ガイダンス、オリエンテーションなどなど言葉はありますが、一人前の社員になるために必要なスキルをプログラムに従って教えこむところが多いと思います。

    昔はそんなものはあまり確立していませんでした。先輩について見よう見まねで仕事を覚える、そんな世界でした。医者の世界もそうなんです。私が大学を卒業した頃は、マンツーマンで指導医の先生(たいていは1つか2つ上の先輩)に朝から晩までくっついて回って、採血のやり方から患者さんに病状説明をする方法、倫理や哲学的な考え方までなんでも教えてもらったのですが、決まったプログラムはありませんでした。そこで、自分からこういう勉強をしてこんな医者になりたいという目標を持っていろんな先輩に教えを請いに行きました。一方今は卒後教育プログラムが決まっていてあれこれチェックリストに従ってスキルをクリアするシステムになっています。積極的に動ける部分が少なく、どうしても受け身になってしまいます。医者も会社員も、受け身で働いていると、ブラックな会社だ、と言い出しますが、自分から動いているとどんな残業も自分で必要と思って動いた結果なので、不満はありません。どうせ働くなら積極的に自分から動いた方が心の健康にもいいと思います。

    桜十字病院の庭です。往診に行ったらあまりに綺麗で車から降りて写真を撮りました。

  • むずかしい症例がいっぱい

    心療内科をしているためか、漢方を専門にしているためか、毎日毎日難しい症例がたくさんきます。教科書的に考えてどうやったら治せるのか全くわからないようなものばかりです。

    たいていの患者さんはいろんな病院で検査をして薬ももらったけど治らなかったと言って来院されます。さあ、どうしようという感じです。当然、今までの経過や検査結果、治療の内容などいろいろ聞かないと話は進みません。例えば、体調が悪いと一言に行っても、インフルエンザで体調が悪い人もいれば、職場で上司に怒られて体調を悪くする人もいます。こちらも、いろんな可能性を考えて話を聞きます。患者さんが話しやすいように、あまり時間に追われたようにバタバタしたところは見せず、ゆっくりと構えます。

    そういう中、半年以上困っていた副鼻腔炎が漢方2週間ですっかり調子良くなりましたとか、2週間以上頭痛と倦怠感がひどかったのに漢方を二日ほど飲んだら全く鎮痛剤がいらなくなりましたとか、嬉しい話がたくさんあります。

    ちょうど1週間前にひどい心不全で来院された女性の患者さんがいたのですが、入院を勧めたらご主人が要介護度が高く自分が入院するわけにはいかないと拒否されました。仕方なく考えうるベストの内容で内服治療したら、今日はニコニコ元気に来院されました。笑顔を見てホッとしました。

  • 貧血あれこれ

    新年度が始まり、入社式や入学式の季節です。このような式で緊張して立っていると倒れてしまう人がいます。いわゆる、貧血で倒れたと言いますが、貧血という言葉は正確ではありません。

    我々医療関係者が貧血というと血液検査でヘモグロビン(血色素)が少ないことを意味します。血が薄いということです。鉄が足りない鉄欠乏性貧血が多いのですが、白血病や再生不良性貧血など難しい貧血もあるし、がんの治療で抗がん剤などで貧血になる場合もあります。

    一方、入学式などで倒れるのは脳貧血です。頭に流れる血が少なくなった結果目の前が真っ暗になって倒れてしまうものです。しばらく横になっていればよくなります。起立性低血圧(立ちくらみ)も似たような病態ですが、立ちくらみはゆっくり立ち上がれば防ぐことができます。式典で倒れてしまう場合は起立性低血圧ではなく、神経調節障害といいます。長く立った姿勢を保つことで足の方に血液が集まって頭の血液が減ってしまうものです。血管の太さを調整している自律神経の調節が問題となるものです。

    トイレで用を足したあとすぐに目の前が真っ暗になって倒れる人もいます。迷走神経反射といいます。このようにいろんなメカニズムで目の前が真っ暗になり倒れる疾患があるのですが、どの診療科にかかっていいかわかりにくいと思います。実は、これはそれぞれ血液内科、神経内科、循環器内科にオーバーラップしていますので、まずはそれらのどこかにかかれば良いと思います。