むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 貧血あれこれ

    新年度が始まり、入社式や入学式の季節です。このような式で緊張して立っていると倒れてしまう人がいます。いわゆる、貧血で倒れたと言いますが、貧血という言葉は正確ではありません。

    我々医療関係者が貧血というと血液検査でヘモグロビン(血色素)が少ないことを意味します。血が薄いということです。鉄が足りない鉄欠乏性貧血が多いのですが、白血病や再生不良性貧血など難しい貧血もあるし、がんの治療で抗がん剤などで貧血になる場合もあります。

    一方、入学式などで倒れるのは脳貧血です。頭に流れる血が少なくなった結果目の前が真っ暗になって倒れてしまうものです。しばらく横になっていればよくなります。起立性低血圧(立ちくらみ)も似たような病態ですが、立ちくらみはゆっくり立ち上がれば防ぐことができます。式典で倒れてしまう場合は起立性低血圧ではなく、神経調節障害といいます。長く立った姿勢を保つことで足の方に血液が集まって頭の血液が減ってしまうものです。血管の太さを調整している自律神経の調節が問題となるものです。

    トイレで用を足したあとすぐに目の前が真っ暗になって倒れる人もいます。迷走神経反射といいます。このようにいろんなメカニズムで目の前が真っ暗になり倒れる疾患があるのですが、どの診療科にかかっていいかわかりにくいと思います。実は、これはそれぞれ血液内科、神経内科、循環器内科にオーバーラップしていますので、まずはそれらのどこかにかかれば良いと思います。