むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • するかしないかはすぐ決める(即決)

    文化の日で祝日ですね。この日は晴れの特異日と言われています。天気予報では曇りのようですがあたたかい一日となりそうです。クリニックは休みですが訪問診療は通常通りです。休日とはいえ、レセプト(診療報酬)のチェックが山積みなので、朝早くから夜遅くまで1000枚を超える書類と格闘します。ただ、これだけやっては眠くなるので多少効率は落ちてもNetflixでドラマを見ながらひたすら作業を進めます。訪問診療以外はフリーなので、温泉にも行きたいし、ジムで運動もしたいし、美味しいものを食べにも行きたいし、と考えるとレセプトを何時から何時までして、と一日の時間割をつくって行動しないと何もしないで一日が終わってしまいそうです。

    今日来院された患者さんで、先生SIBOって知っていますか、と尋ねられました。これまで私がなんどかこのブログで書いたお腹が張る病態です。最近急に脚光を浴びています。今までお腹が張る病態がよくわからなかったのが、小腸内で腸内細菌が過剰発酵することが原因だということがわかり、治療法もどんどん工夫されてきました。食事療法も食べていいもの、避けたほうがいいものと本を見ると細かに分類されています。たまたまこの患者さんは当院に来られてラッキーでした。おそらく熊本市内でSIBOの治療法を研究しているのはいくつもないと思います。当院は漢方だけでなく、分子栄養学などの知識を総合して、いち早く対応できる病院になったと思います。しかし、それでもうまくいかない症例もあり、まだ治療法が完全に確立したとは思っていません。日々勉強と研究と実践の繰り返しです。

    私は一日に100名近い患者さんの相談を受け、病態を考え、治療法を決める作業を延々繰り返しています。おそらく一人あたりにかけられる時間は2−3分です。ぱっと話を聞いてすぐ治療法を決定する。後でゆっくり、というのは無しです。この即行の習慣があるため、買い物でも外出でも秒で決めます。するかしないかは即決定するのですが、大切なのは順番(手順)です。卑近な例をあげれば、焼き鳥、ビール、温泉を今日の予定にしたとして、ビールで始めれば運転できなくなるので温泉にいけなくなります。したいことは即決しても順番は念入りに考えましょう。

  • 物を大切にすることこそ環境に優しい

    コロナで社会が大きく変わりました。リモートワークや学会のWEB配信など進んだ点もあるし、みんなでワイワイ飲みに行くことがなくなったのは寂しい変化です。しかし、こういった変化はコロナは始まった頃にすぐに予想されて特に不思議ではありませんでした。しかし、最近になってとても大きな変化が出てきました。物不足の時代です。コロナが始まったとき、消費が落ち込み物は売れずに有り余っているのが現状でした。それが、一気に物不足となり、車もパソコンも欲しいと思ってもすぐには手に入らない世の中になりました。コロナ前までは大量生産大量消費の時代だったと言えますが、ポストコロナはSDGsという掛け声のもとに地球環境を意識した消費行動に否応でも変革していきます。

    企業は脱炭素とか、クリーンエネルギーとかそれぞれに努力ポイントがありますが、私たち消費者にとって最も地球に優しいのは「物を大切にすること」ではないでしょうか。昔は安物買いの銭失いといって、安いものはこわれやすいからだめだと言う認識でしたが、最近(コロナ前)は100均は安くてもそこそこ使えるのでそれで満足。壊れたら捨ててまた買ってくればいい、という考えが浸透していました。しかし、これから(ポストコロナ)の時代、物を買ったら壊れないように大切に扱い、きちんと手入れして長く使うこと。壊れても修理して使うこと。これが最も地球環境に優しいと思います。

    日本の車検制度は車をいつもいい状態に保つという意味ではとても優れた制度です。しかし10年過ぎた車に乗ると重量税、自動車税などは新車より高くなって買い替えを促進する仕組みがあります。古い車を大切に整備して乗っているのに税金が上がるなんて地球環境のことを考えるとおかしい。iPhoneも新モデルが出る頃バッテリーが弱るように設計されていると言う噂があります。買い換えずに大切に使う仕組みを作り、それでも企業が収益を維持できるような工夫が必要となることでしょう。

  • ランニングの季節

    10月があっという間に終わり11月に入りますね。それにしても温かい日曜でした。車の温度計は30Cを指していましたが、それは日なたの路上の話としても、この時期に車の冷房を入れて走るとは驚きです。10月はオクトーバーランといってランニングのシーズン入りです。涼しくなり本格的に走り込むのがこの季節。コロナの影響であらゆるマラソン大会が中止となっていましたが、今度の日曜(11月7日)は金栗四三翁マラソン大会が開催されるようです。私が人生で初めてマラソン大会に出場したのは8年ぐらい前のこの大会でした。玉名郡和水町で開催されるのですが、金栗四三の生まれ故郷です。田園風景の中を往復10km走る大会です。

    私は最近は長距離を走るのはやめました。膝や腰を痛めると診療に差し支えるからです。代わりに、スポーツジムで毎週5キロ走っています。マシンで5キロ走るのにはだいたい40分かかるのですが、ズラッと並んでいるランニングマシンでそんなに長く走っている人は滅多におらず、周りのみんなが入れ替わるなか一人ずっと走っています。

    当院にはランナーの受診が結構あります。クリニック向かいの県立大グランドでランニング教室があっていたのもありますが、陸上部の顧問の先生から、スタミナのない学生さんが当院に紹介されてくることも結構あります。私は整形外科ではないので足の故障を見てあげるわけではありません。オーソモレキュラー栄養学的視点から、パフォーマンスを上げるため鉄剤の処方やビタミンのアドバイスなどを行っているのです。また、足がつらないように漢方の処方をすることもあります。

    クリニックから見た日の出 阿蘇山は穏やかです

  • ハロウィン

    この週末はハロウィンですね。日本ではあまりなじみのないアメリカのお祭りですが、コスプレ好きには楽しいイベントです。アメリカでも変な仮装をしてパーティーをする習慣があります。私も、留学時代は子供が保育園で仮装パーティーがあったので、かわいく仮装した子どもたちの思い出があります。ただ、もっぱら妻に任せていたので、衣装選びなどは大変だったと思います。仮装する意味はよくわかりませんが、ハロウィンには日本でのお盆のように先祖の霊が帰ってきたりする意味合いがあるのだと思います。また、季節柄、秋の収穫を祝うお祭りも同時にやっていました。かぼちゃやとうもろこしなど茶色の収穫物がイメージカラーです。

    先日訪問診療した老人ホームではスタッフ皆さんがセーラー服や子供の体操服などいろんな仮装をしていました。入居中のお年寄りたちは、ハロウィンがなにかもあまりイメージわかない状態ですが、なんだかねーと言いながらも口元は緩んで自然と微笑みがこぼれます。食堂では楽しそうにカードゲームなどをしてお祭り状態のデイサービスとなっており、とてもにぎやかでした。いつもこんなに楽しいデイサービスならいいな、と思いました。やはり、仮装することでいつもと違う自分になれるし、少し変な格好なので、見ている人は自然と笑い雰囲気が明るくなります。お年寄りにも楽しんでもらっていいお祭りだと思います。

    同じ理屈ですが、例えば、夫婦で夫がニコリともせず不機嫌そう。それを見た奥さんも不機嫌に振る舞う。奥さんは夫の機嫌悪いことを不満で相手を治そうとするが治らない。これは、相手を治そうとすることが間違いで自分が明るくしないと相手をニコリとさせることは難しいのです。夫婦は鏡。鏡に写ったあちらの顔を治そうとしても無理ですが、自分が微笑むと鏡の向こうもほほえみます。職場での同僚や親子関係でも同じ、相手を変えようとせず、自分がニコニコ機嫌良く過ごすこと。その微笑みが鏡のように相手の表情も明るくしてくれるはずです。

  • 感染性胃腸炎が増えてきた

    最近、感染性胃腸炎が増えてきた気がします。まだ、流行とまではいきませんが、わたしたち開業医が第一線で見ていると、流行の変化が手にとるようにわかります。胃腸炎は、嘔吐下痢があればすぐに診断が付きますが、たまに発熱頭痛倦怠感だけで来院されることがあります。もっと軽症だと、熱はないけど寒気とだるさだけ、という場合もあります。これでは、来院されても診断は困難です。しかし、上気道炎(風邪)の場合は何らかの症状があります。喉が痛い、咳が出る、鼻が詰まるなどです。そうすると診断は早いです。胃腸炎の初期の場合、そういった上気道炎症状がないのが一つの特徴となります。私たちが、上気道炎症状のない発熱患者さんを見たときに疑うのは、尿路感染、胆道感染、前立腺炎、そして胃腸炎などです。

    今週見た胃腸炎の患者さんは、上述の通り最初は胃腸炎症状がなく、発熱倦怠感だけ。そういうときは、風邪かもしれないけど胃腸炎かもしれない、あと1−2日経てば症状がでてはっきりするでしょう、と説明してカロナールなど解熱剤で様子を見ることになります。私の場合、漢方が専門なので、葛根湯などその時の漢方的な見立てで漢方を追加します。もし風邪の初期だとすればそれだけで治ってしまうこともあります。しかし、私の経験上、胃腸炎だった場合葛根湯だけでは難しいようです。胃腸炎には黄芩という生薬が入った処方が著効します。黄連解毒湯や半夏瀉心湯などです。

    それから、胃腸炎の際に気をつけないといけないのは、通常使われるアルコール消毒がきかないということです。これは大きな落とし穴です。最近はどこにでもアルコール消毒がおいてあるので、手指消毒は習慣になっている人が多いと思いますが、消毒したつもりで消毒になっていないと、かなり危険です。その患者さんに接触したあと、その手を(たとえアルコール消毒しても)自分の鼻や口に持っていけばうつります。流水で手洗いするか、次亜塩素酸の消毒でないと除菌できないので、覚えておきましょう。