むらかみ内科クリニック

院長ブログ

BLOG

  • 感染性胃腸炎が増えてきた

    最近、感染性胃腸炎が増えてきた気がします。まだ、流行とまではいきませんが、わたしたち開業医が第一線で見ていると、流行の変化が手にとるようにわかります。胃腸炎は、嘔吐下痢があればすぐに診断が付きますが、たまに発熱頭痛倦怠感だけで来院されることがあります。もっと軽症だと、熱はないけど寒気とだるさだけ、という場合もあります。これでは、来院されても診断は困難です。しかし、上気道炎(風邪)の場合は何らかの症状があります。喉が痛い、咳が出る、鼻が詰まるなどです。そうすると診断は早いです。胃腸炎の初期の場合、そういった上気道炎症状がないのが一つの特徴となります。私たちが、上気道炎症状のない発熱患者さんを見たときに疑うのは、尿路感染、胆道感染、前立腺炎、そして胃腸炎などです。

    今週見た胃腸炎の患者さんは、上述の通り最初は胃腸炎症状がなく、発熱倦怠感だけ。そういうときは、風邪かもしれないけど胃腸炎かもしれない、あと1−2日経てば症状がでてはっきりするでしょう、と説明してカロナールなど解熱剤で様子を見ることになります。私の場合、漢方が専門なので、葛根湯などその時の漢方的な見立てで漢方を追加します。もし風邪の初期だとすればそれだけで治ってしまうこともあります。しかし、私の経験上、胃腸炎だった場合葛根湯だけでは難しいようです。胃腸炎には黄芩という生薬が入った処方が著効します。黄連解毒湯や半夏瀉心湯などです。

    それから、胃腸炎の際に気をつけないといけないのは、通常使われるアルコール消毒がきかないということです。これは大きな落とし穴です。最近はどこにでもアルコール消毒がおいてあるので、手指消毒は習慣になっている人が多いと思いますが、消毒したつもりで消毒になっていないと、かなり危険です。その患者さんに接触したあと、その手を(たとえアルコール消毒しても)自分の鼻や口に持っていけばうつります。流水で手洗いするか、次亜塩素酸の消毒でないと除菌できないので、覚えておきましょう。