むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 咳の季節

    このブログは開院前から書き始めました。私の人となりを紹介したかったのと、当院が得意とする病気について知っていただくことで、来院のきっかけになればと思っていました。また、漢方を特長としているため、漢方豆知識などを紹介したいと思っていました。そして、日々書きつづけること5年半、何ページかいたのかなと思ったら今日で1998ページでした。あと2日で2000ページ達成です。よくこんなに続いたものです。ブログを検索したいときは、Googleの検索欄に「むらかみ内科クリニック 浮腫」とかくと、私が過去に足のむくみを解説したページが検索できます。ぜひご活用ください。

    秋はアレルギーシーズンです。風邪かなとおもっても、咳だけが続いている場合、実は喘息かもしれません。ヒューヒューゼーゼー言わなくても喘息の可能性があります。本物の気管支喘息でなくても咳喘息という場合もあります。単なる咳止めではなく気管支拡張剤を使ったほうが収まります。他にも、アトピー咳嗽というのがあります。アトピーという名前の通り、アレルギー絡みの咳です。この場合、咳喘息に有効な気管支拡張剤は効かず、抗ヒスタミン剤やステロイドが効果的です。診断がはっきりしないときも、ステロイドと気管支拡張剤の合剤の吸入薬を使うと症状は緩和することが多いです。

    これらの治療を試しても喉のイガイガが取れない場合、逆流性食道炎も考えられます。胃酸を抑えるPPIという種類の胃薬が有効です。その他、百日咳などの感染症も咳が続くし、煙草による慢性気管支炎、肺気腫なども咳の原因となります。風通しの悪い家に住んでいると、カビによる夏型過敏性肺炎などもあります。上記のどれも該当しない、心因性の咳嗽もあり、これは診断と治療に難渋することがあります。

  • 銀婚

    カレンダーのよっては10月11日(月)は祝日みたいになっていますが、スポーツの日はオリンピックの関係で移動したので11日は平日です。診療は通常通りに行いますので、お間違いなく。以前は10月10日が体育の日だったのですが、いつの頃からか10月10日ではなくなりました。今年の10月10日は私と妻の結婚25周年(銀婚式)でした。長いようですがあっという間でした。今、こうやって開業してやって行けているのは妻の支えがあるからだと思っています。その10日はクリニックのワックス清掃だったので、一日クリニック内で拘束されました。仕方ないので、伝票などの整理をしたり、電子カルテ用のパソコンのOSをアップグレードしたりして過ごしました。アップグレードは1台あたり数時間もかかり、数台ずつ同時にダウンロードするのですが、あまり一気にするとネット回線がものすごく遅くなるので、2−3台ずつ順にアップグレードしました。夜までかかりました。

    それにしても、日中の日差しの強いこと。クリニックの診察室はエアコンが効いて快適なのですが、ワックスがけで診察室には入れず、2階の部屋で過ごしたのですが、10月ですから斜めにさしてくる日差しが強烈に室内に入ってきて暑い!真夏は真上から照るので室内にはさほど入ってこないので、今のほうがきついです。。温暖化と一言では済ませられないような異常気象です。先週も熱中症で数名来院されました。野外で仕事する場合もそうですが、室内でも気をつけないと体調を崩しそうです。今週いっぱい暑く、その後急激に季節が進むようです。体調管理には気をつけましょう。

    話は変わって、マイナンバーカードが保険証の役割を果たすと言うことで、国はやっきになって普及拡大を推奨していますが、いっこうに進んでいません。実はマイナンバーカードを読み取るには国が指定したメーカーの読み取り機を買わないといけないのですが、それだけでなく毎月保守費用を払わないといけないのです。通常のプラスチックの保険証を確認するのにはお金がかからないのに、マイナンバーカードを読み取るのにお金を取られるとは納得行かないです。しかも指定の機械しか使えないということは利権がらみです。ありそうなはなしです。

  • 偽痛風

    偽痛風と言う疾患があります。痛風のニセモノです。痛風のように関節が熱をもったように腫れて傷みますが、採血してみると尿酸は高くないのであれれ?と言う感じになります。痛風は足の親指の付け根が腫れることが多く、他に足背や足首あたりが多いですが、偽痛風の場合、膝や股関節など比較的大関節に炎症を起こします。偽痛風は尿酸では無くピロリン酸という結晶が悪さをしているそうですが、血液中で検査できず、膝などに溜まった水を抜いて顕微鏡で確認するとピロリン酸の結晶が見つかるそうです。

    膝などの関節が腫れて痛いというと、整形外科に行くことが多いと思います。そこで、レントゲンやMRIをとっても変形がたいしたことないとか、軟骨が減っているけどそれほどひどくないと言われた場合、実は痛風や偽痛風の可能性があるので、内科受診を勧められます。治療に関しては、痛風と偽痛風はたいして変わらず、炎症をとるための薬と痛みを取る薬を組み合わせて使います。薬が効けば数日で痛みは取れますが、その後経過を見ながら薬を徐々に切っていきます。

    漢方では、関節の痛みは熱を持っている場合と持っていない場合で治療の方法が変わります。熱症の場合、越婢加朮湯、熱を持たない場合麻杏薏甘湯を使います。痛風はビールなどにお酒の飲み過ぎや焼肉などタンパク質のとり過ぎ、明太の子やカズノコのような魚卵系珍味の食べ過ぎで起こると言われていますが、偽痛風は食事とは関係ないようです。

  • インフルエンザワクチンの予約開始

    今年もインフルエンザワクチンの予約を開始しました。コロナワクチンも同時進行なので煩雑ですが、季節なので、準備していきます。情報によると、今年のインフルエンザワクチンは例年以上に品薄だとのことです。当然希望者全員には行き渡りません。当院でも、何本入ってくるかわかりませんが、先行予約を開始しました。体力のない方、高齢者、呼吸器の持病がある人などはお早めに予約をとってください。価格は据え置きです。コロナワクチンの3回目の問い合わせが時々ありますが、当面はないと思っています。医療従事者にはすると噂はありますが、定かではありません。アメリカのCDCの発表によると、アメリカでは医療従事者も含めて3回目の予定は無いとのことです。重篤な基礎疾患のある人だけ3回めを打つと言っています。私がこのニュースを見て感じたのは、3回打つことで得られるメリットよりも副反応などのデメリットが上回るという判断からだと思います。

    お年寄りの訪問診療を100名近くしていると、いつもニコニコ元気そうな人と、いつもあれこれ体調不良を訴えてうつ病みたいな人に別れます。そこで考えました。高齢者を2つの軸で4つのグループに分けます。一つは認知の軸(ボケた人、ボケていない人)、もう一つは健康の軸(元気な人、持病に悩む人)この2つの軸で4グループに分けると、1番目が<ボケていない>:<体調はよい>グループ。これは心配ないです。幸せな老後です。2番めが<ボケている>:<体調は良い>です。これは本人がボケたことに対して憂いがないなら幸せいっぱいです。問題は元気良すぎて徘徊したり迷子になって警察のお世話になるというもの。本人はともかく、家族が大変です。3番めに<ボケている>:<体調はよくない>です。このグループはとても多いのですが、病気がたとえガンであっても将来への憂いが少なく、体調は優れなくても苦しそうではありません。

    そして、4つ目のグループが<ボケてない>:<体調は良くない>です。これは最悪です。ちょっと食欲が落ちたり体重が下がっただけで、ガンかもしれない、と恐れ、不安でいっぱいになり眠れなくなったり血圧が上がったりします。老人ホームでは、ボケていないと、することがない、楽しくない、周りにいるお年寄りと自分を一緒にするな、病気が不安、将来が不安、とにかく不安や心配の塊です。そして、こういう人たちはいつ話しかけても眉間にシワを寄せているため、介護する側も暗い気持ちになり、あまり近寄りたくない。結果、お世話も行き届かなくます。かわいそうな老後です。私は、このようなお年寄りには抗うつ剤を積極的に投与します。鬱々とした気分が晴れて、不安も減ります。内科的治療だけではハッピーな老後にするのは難しいと思います。

  • パルスオキシメーターはきちんと理解して使おう

    酸素飽和度(SpO2)という検査があります。パルスオキシメーターという機械で測るのですが、コロナの影響で、低酸素を家庭でも感知できるように購入された方も多いかと思います。指に小さな機械をはめると、酸素飽和度と脈拍が数値で表示されます。このパルスオキシメーターは私が研修医の頃、世に登場しました。最初の機械は電話帳くらいの大きさでした。採血することなく酸素の具合を測れるとあって、とても衝撃的でした。

    酸素飽和度というのは血液中の赤血球の内部にヘモグロビンという物質があり、これが酸素と結合するのですが、何%が酸素と結合しているかという数値になります。一方、私たちが救急などの現場で重要視するのは酸素分圧(PaO2)という数値です。こちらが生命維持にとても大切な数値なのですが、採血しないとわからないため簡便な酸素飽和度(SpO2)で代用しているわけです。実は、酸素分圧と酸素飽和度は直線的な相関関係にはありません。グラフにすると曲線となります。その結果、パルスオキシメーターで見た酸素飽和度が95%と98%はさほど酸素分圧に差がないのですが、92%と95%ではものすごい差となります。どちらもわずか3%の差ですが、92%を切ったあたりから酸素分圧は急激に落ちていきます。私たちが指にパルスオキシメーターをはめて精一杯息こらえをしたとします。最初98%くらいだとして、30秒間一生懸命息をこらえても92%を切ることはあまりありません。つまり、92%以下というのは激しい低酸素状態だということです。(参考:https://knowledge.nurse-senka.jp/19377/

    今日、診察室での会話から気がついたのは、患者さんたちはパルスオキシメーターの測定原理も意味もわからず指にはめて数値を見ているということ。当たり前ですが、私たちプロからしたら、驚きでした。上にかいたような生理学の常識なしに数値を見ても解釈できません。それから、手が冷えているとちゃんと測れません。緊張したりして手が冷たくなる場合も測れなくなることがあります。それは、機械が壊れたわけでもなく、とんでもない低酸素の状態でもないので慌てないでください。まず、温かいお湯やおしぼりで手を温めて緊張せずにゆっくり測ってみてください。きちんと測れると思います。(参考:https://www.nurse-happylife.com/23676/