むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 鉄不足は体調不良の原因

    先日来られた足がムズムズして眠れないという女性、典型的な「むずむず脚症候群」でした。女性に多いのが産後の不調なんですが、多くは鉄欠乏が原因です。採血してみると、貧血はほとんど見られないものの鉄が正常下限。貯蔵鉄(フェリチン)も極端に低い値でした。鉄を一日1錠開始したところ、2週間後にはムズムズ足は治っていました。ただ、女性の場合、生理の出血で鉄を失うので、コンスタントに鉄をとっておかなければバランスが保てません。当分は鉄剤を飲んでいただきたいと思います。

    多くの場合、鉄は貧血がないなら問題ないと思われがちですが、本症例のように貧血がなくても鉄欠乏で体調を壊すことはよくあります。疲れやすいのも鉄欠乏と関係あります。細胞内にはミトコンドリアというエネルギー産生工場があるのですが、ミトコンドリアでATPというエネルギーを産生する際に電子伝達系という鉄の力で電子を動かして発電するようなメカニズムが働きます。もちろん鉄が足りないと産生されるエネルギーが減るので馬力が出ません。

    鉄を食事で取る場合、レバー、ほうれん草と言いますが、どちらも毎日たくさん食べるのは難しいです。植物性のミネラルは吸収が悪く、赤身の肉に含まれる鉄のほうが吸収しやすいそうです。レバーでなくても赤身の肉なら毎日食べられます。また、鍋を鉄製のものにすると料理の際に鉄分が溶けて入ってくるので簡単に鉄が補給できます。アルミや銅の鍋から溶け出す金属は有害ですから気をつけましょう。テフロンは加熱しすぎると猛毒です。うちはテフロンの鍋はすべて処分しました。ホーローはガラスコーティングですから有害物質が溶け出すことはなく、健康的で美味しい料理ができます。