むらかみ内科クリニック

院長ブログ

BLOG

  • 足のむくみについて

    足がむくんだと言って来られる人がたくさんいます。なかには血相を変えて来られる人がいます。むくみ方も、靴下のゴムが多少食い込む程度のひとから、靴が入らずサンダル履きで来られるほどひどい人もいます。軽い人のほうが大騒ぎする傾向にあります。自分のおじさんは足がむくみ始めて1週間で亡くなったとか、そういう素人判断のから騒ぎです。

    足がむくむ際に心不全、腎不全などもありますが、実際はそういう原因の可能性は低く、多くの場合座っている時間が長すぎるとか塩分や水分を取りすぎているとか、そういうことが原因となっています。しかし、この夏の盛りに水分を取りすぎないように指導するのは難しいし、むくみをとるために強い利尿剤を使うこともはばかられます。血液が濃縮すると脳梗塞のリスクとなるからです。多少足がむくんでいても何も起こりませんが、むくみとりに必死になって脳梗塞になっては仕方ありません。

    eGFRという腎機能の指標がありますが、これは血清クレアチニン(Cr)というデータに性別や年令を加味して計算式に入れることで推測する腎機能です。年齢が計算式に入っているため、クレアチニン値は一定でも年を取るほどeGFRは下がっていきます。70,80歳ともなると、それほどクレアチニン値が悪くなくてもeGFRが低く計算されるため、腎臓に問題ありと指導される場合がありますが、むくみとはなんの関係もないことがほとんどです。こんなことで一喜一憂して蛋白制限食(腎不全食)など取らないようにしてください。年をとったら筋力が低下するので、蛋白をしっかり取らないといけません。根本をまちがうと結果は健康維持という目標から大きく外れてしまいます。