むらかみ内科クリニック

院長ブログ

BLOG

  • 今年一年を振り返って(医療編)

    この一年、いろいろありました。クリニックではおかげさまで連日大勢の患者さんにご来院いただき、健全経営することができました。仕事が増えた分スタッフも増えました。スタッフみんなには家族同様楽しく仕事してもらえるように心がけました。利益を残しても税金で取られるだけなので、法人にはあまりお金を残さず、ボーナスでみんなに払ってしまいました。そういう私は年俸制なのでボーナスは無しです(涙)。この一年を振り返ってみたいと思います。

    毎日、本当に難しい症例がたくさん来院されました。どこに行っても治らなかったという難治症例ばかりです。漢方や鍼に期待してこられる人もいれば、心療内科ではうつや不安、緊張で仕事も家庭もピンチという感じの切羽づまった患者さんもたくさん来ました。他で治らなかった症例などはそう簡単に治せるはずもなく、日々勉強です。病態の仮説を立て、自分なりの治療方針を考え、それを試す。患者さんが多いので、検証の機会が多く、私の経験値がどんどん上がります。おかげでいろんな治療法を編み出しました。日々進歩しているので、おそらく私の処方箋を見ても薬局の先生もなんの治療なのかわからず戸惑うのではないかと思います。そこで今年は、処方箋にできるだけ処方の方意(処方に込めた私の思い)をコメントするようにしました。

    食後にお腹が張って痛い、ガスが多くて辛い、学校に行きたくないという症例。だいぶ治せるようになりました。学生さんの朝起きれないために不登校になってしまっている症例。全例ではないですが、結構治療できるようになりました。難治性の耳鳴り。耳鼻科では治りませんとはっきり言われるのですが、たまに改善する症例が出てきました。まだまだうまく治せない症例がたくさんあるのですが、日々進歩しています。名医といわれる人の本を読み、アイディアを理解し、真似する。そして自分なりのアレンジを加える。学びとは「真似(まね)び」から来た言葉だそうです。その繰り返しの一年でした。

  • 医用麻薬と緩和ケア

    年末、道が混みますね。どっちへ行っても渋滞の列です。今日から学校は冬休みに入ったようなので朝夕の自転車の列が緩和されるので多少いいかもしれません。そういう私も、麻薬免許証の更新のため昼休みに医師会まで行ってきました。みんな年末にしないといけないことが集中するから渋滞するんですね。麻薬免許更新なんて、12月でなく3月にしてくれればいいのに、と思います。麻薬免許というのは、私たちががん患者さんの痛みの緩和目的でモルヒネなどを処方するときに必要です。そして、その処方箋をもとに薬を患者さんに手渡してくれる薬剤師さんも麻薬の免許が必要です。在庫管理は非常に厳重です。

    医療用麻薬というのは不思議と暴力団の資金源になっているような品物とは違って、使っても痛みが取れるだけで、変な快感とか幻覚とか蟻地獄のような一度使ったらやめられない、みたいなものはないようです。私は、めったに麻薬を処方しないので、あまり詳しいことはわかりません。クリニックを開業するとき、たぶん麻薬は使わないと思っていましたが、訪問診療では緩和ケア(ガン末期の患者さんの痛みの治療など)で麻薬が必要なこともあるだろうと思って、一応免許を取得ました。結果、一度も使うことなく更新の年を迎えたわけです。

    私は、開業する前に桜十字病院の緩和ケア病棟をしばらく担当していました。通常緩和ケア病棟はがん治療を専門とするスタッフと痛みと取るのが得意な麻酔科のスタッフが担当します。そこに私が入ったのは、漢方や針でどこまで緩和ケアができるかやってみたかったからです。もちろん、モルヒネも使いますが、痛いという患者さんや吐き気で薬が飲めない患者さんに毎日鍼治療をしてあげました。もう、治療はあきらめて緩和ケアにはいりましょうと言われてがっかりしているところに、毎日鍼治療をするのは、患者さんの生きる希望にも繋がり、痛みも軽くなることから麻薬を減らすことができたと思います。

  • 即行・即止で運を開く

    YouTubeを見ていると、運を良くするには「即行の実践」が大切だといいます。即行とは考える暇もなく直ぐに行動に移すことです。人はなにか行動しようとするとき、それをするかしないか考えます。時間をかけて考えると、たいてい楽な方を選択します。例えば朝起きの実践。起きなきゃという気持ちがあっても「もう少し寝ても遅刻しないし、まだ眠い、起きたくない」と考え始めると5分10分とダラダラしてしまいます。そこで、朝起きをうまくするには目覚ましがなったら、イチニのサン、で起きることです。3秒で行動すれば、しない言い訳を考える暇はありません。私は、常日頃この即行を心がけています。患者さんから診断書を書いてくれと頼まれれば、できる限りすぐ書きます。先延ばしにしていいことは何もありません。

    実は、即行と同じくらい大切なことに「即止」ということがあります。すぐやめるということです。だめだと思ったら、あれこれ言い訳せずすぐにやめることです。例えばタバコ、吸っていいことなど何もありません。気づいたらすぐやめる。締めのラーメン。これもだめです。今日だけと言い訳しないで、すぐやめることです。もしコロナの影響でお客さんが全然入らなくなった飲食店。テナント代がかさむ一方でコロナの収束の目処は立ちません。国の助成金をもらって生き延びるより、すぐ店を畳んで出費を止めることを検討すべきです。逆にコロナ禍だから商売になる業界もあります。よく考えて変化についていくべきです。

    今朝、NHKニュースを見ていたら、コニカミノルタの取り組みを紹介していました。テレワークで会社のコピーを使う機会が減る。するとコピー機で商売していた会社は売上が減ります。しかし、コニカミノルタはペーパーレスで仕事できる環境を会社に提供するサービスを始めて伸びているそうです。そういう当院も先日コニカミノルタのコピー機にサーバーを接続して院内ネットワークを整備してもらいました。複合機は単なるコピー機ではなく、スキャン機能もあり、FAX(電話回線)もつながっており、サーバーにつないでネットへ接続すると無限の可能性がひろがります。コピー機の会社がペーパーレスで業績を上げる時代です。見習わないといけません。

  • みかんやいちごの収穫・・という仕事もある

    よく、会社のストレスで動悸や吐き気がして体調不良で早退した。翌日、出勤しようとしたが、どうしても体が動かない、みたいな患者さんが来院されます。よく聞くと、上司がとても怒りっぽくて指導という名のパワハラを繰り返している場合が多々あります。ただ、私たちのところに来るのはパワハラされた、という被害者意識のある患者さんだけで、パワハラをしたとされる上司が来ることは極まれです。それでも、私の経験からすると、どちらにも言い分があり、どちらかが悪とレッテルをはれるようなかんたんな構図ではないことが多いと思われます。専門的に言うと、仕事にいけなくなった側にも何らかの問題があり、それは発達障害(自閉症スペクトラム、アスペルガー、多動・注意欠陥障害など)が多少なりとも存在して、組織になじまないことが多いと感じます。

    診断書を書いて2−3ヶ月休職すると、体調も良くなることが多いですが、復職しようとすると駐車場まではいけたが車から降りられなかったとか、仕事を再開しようとしたけど上司の顔を見た途端震えが止まらなくなってまた早退した、みたいなことになります。会社からは「もっと完全に治ってから出て来い!」といわれますが、完全に治ったかどうかは出勤してみないとわかりません。何しろ家では元気なのですから。

    結局、そういう場合、半日出勤など復職プログラムを準備してもらい、少しずつ慣らす以外にないのですが、殆どの場合上司との関係性に問題があるので、部署異動するか転勤しないとなかなか元通りの職場で元気に働ける場合は少ないように思います。そのような人におすすめするのは農家での収穫のバイトです。上司はいません。自然を相手に黙々とみかんやいちごの収穫をするのはストレスも少なく、達成感もあり、働きやすいと思います。当院では何人もこうして農家のお手伝いをして社会復帰した方がいます。

  • 冷えると頻尿が起こりやすい

    天気予報通り、冷えてきましたね。クリニックは待合の換気をしないといけないので、なかなか部屋が暖かくなりません。今年はどこも同じと思います。申し訳ありませんが、暖かい格好でおいでください。患者さんに聞いた話では、発熱外来をやっている病院に行ったら駐車場のテントで3時間以上待たされて寒かった、風邪が悪化した、という事例があります。そんなことしてまで検査受けなくても、軽症なら家でじっと寝ていればいいと思います。ビタミンCをたっぷりとって、葛根湯を熱々のお湯に溶いて飲みましょう。市販の葛根湯は1包では弱いので、1回に2包は飲んでも大丈夫です。

    日が暮れるのが早く、日照時間が随分短くなりました。私は朝6時過ぎに家を出ますが、真っ暗なので懐中電灯を持って歩きます。帰宅も同じです。懐中電灯は足元を照らすためでなく、車や自転車が暗い道で自分に気づかないとあぶないので目立つように照らすのです。ところで、日が短くなると体内のビタミンDが減ってきます。体はそれに反応して冬眠モードにはいります。テンションが落ちて、うつっぽくなる季節です。そこで、この季節を元気いっぱい過ごすにはとにかく部屋を明るくしましょう。時間があれば日向ぼっこをしたり野外でウォーキングなど日に当たる運動をしましょう。それでも足りないならビタミンDをとりましょう。私の場合、出勤時、帰宅時とも真っ暗なので、ビタミンDをとるしか方法がありません。

    冷えてくると多いのが夜間頻尿です。一晩に3回以上トイレに起きるようなら病的ととらえます。睡眠不足になります。漢方では体を温める八味地黄丸や牛車腎気丸を使います。また、男性の場合前立腺肥大が悪さをしますから前立腺の薬を使います。女性の場合多くは過活動膀胱です。切迫尿失禁(突然の尿意でトイレに間に合わない)などがあれば治療の対象となります。当院でもこういった頻尿治療薬の処方を行っていますので、気になる場合我慢せずにご相談ください。