むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 自分でいろいろ人体実験

    普段は糖質制限をしているのに、昨日は喉に良いと聞いてとんこつラーメンを食べましたが、今日は声がかすれてしまいました。体調はすっかり回復しているのに、声がきちんと出ないのは困ったものです。仕事上会話が全てですから、話さないわけにはいけません。そこで、手持ちのいろんな漢方を飲んでみました。

    まず、コタローの桔梗石膏。飲んだ後、なんかいい感じでしたが、声のカスレが良くなるところまではいきませんでした。たくさん飲んだら効くかもと思って、たて続けに3包飲みましたが、喉の感触が良くはなるものの声はかすれたままです。次にクラシエの甘草湯。これは結構良かったです。飲んで3分ほどで声が少し回復しました。次にツムラの麦門冬湯。飲んでしばらくすると喉の乾燥したようないがらっぽさが取れて潤ってきました。声のカスレもすこし改善しました。いずれも飲んでほんの30分程度で評価した即効性の個人的印象です。私はめったに風邪引かないので、ひいたときはこの際と思っていろいろ人体実験です。みなさんは真似しないでくださいね。しかし、こんなテストを通して、次に似たような患者さんが来たときにどの薬を選ぶかの基準となります。喉の炎症の強さ、寒熱虚実の具合などによりどの処方が最も患者さんにいいかが決まってくるので、必ずしも誰かに著効したらそれがみんなに効くというわけではありません。これが漢方の難しいところですが、処方する我々の醍醐味でもあります。

    通常の漢方の診察は脈を見て舌を見てお腹を触って処方を決めますが、私の診察ではめったにそういったフルコースの診察をしません。患者さんの病気のエピソードを事細かに聞いているうちに自然といくつかの処方が浮かんできます。その中でどの薬が一番患者さんの役に立つかを考えるとき、このような自分の体験を思い出しながら患者さんと気持ちをシンクロさせることで自然とこの薬で行けばいいだろうと決まってくるのです。これは漢方だけでなく、通常の診療(血圧でも心療内科)でもすべてそんな感じでやっています。

    深夜の豪雨の後 桜のじゅうたん:東稜高校前

     

     

  • 4月は健診の季節

    新学期は健診の季節です。学校では心電図など心臓の検診がありますが、私はこの学校心臓検診の班員です。毎年1学期中に市内の小中高校の心電図を手分けしてチェックし、怪しい場合は2次検診に来てもらって精密検査をします。今日は今年度の検診計画の打ち合わせでした。これから毎週土曜日に検診の仕事が入ります。

    さらに、中学校の校医をしているため、もう少ししてから学校全員の内科検診をしないといけません。これも通常の診療の合間を縫って行きますから、時間に追われて大変です。常に時間との戦いです。こうなると、ご飯を食べる時間を削るか、寝る時間を削るかのどちらかしかありません。

    クリニックでは、同じように多忙な人が体を壊したり、気分が不安定になって来院されますが、大抵は食事を疎かにした結果だと思っています。忙しいときにおにぎりやパンなどでさっと済ますというのはいけません。忙しいときほど、肉や野菜をしっかりとっておかないと体がもちません。不眠になったり不安障害やパニックみたいになるのも栄養の問題が大きく関与しています。どうしても食べる気がしないという場合、スルピリドという薬は気分を安定させるだけでなく食欲もアップするため、このような病態では重宝しています。

     

    クリニック前の公園

  • 連休中の営業日

    今年の5月の連休は10連休です。ほとんどの医療機関は休みとなりますので、途中で薬が切れたりしないよう早めの受診をおすすめします。連休直前や開けてすぐは大変混雑することが予想されます。十分ご注意ください。当院は最初の4/27(土)は通常通り午前中の診療、最終日の5/6(月)が休日当番医で9時から17時までの診療となります。それ以外は凌雲堂薬局も含めてお休みとなります。ご了承ください。(ホームページのおしらせにもあげました)

    日本は休日が飛び抜けて多い国です。世界中でもこれほど国民の休日(祝日)が多いところはありません。しかし、通常休みが取りにくいため、祝日にはどこも大混雑するし、旅費は割高となります。外国は休日・祝日はそれほどなくても各自夏休みやクリスマスのバケーションを取りますから、実質休んでいるのは日本人より多いと思います。また、各自分散して休みを取るため、渋滞や観光地の混雑などを避けることができます。個人主義ならではだし、国民が自立していると思います。一方日本人は横並びでないと不安になります。友人やお隣さんが休んでいるときは自分も休みたい。混雑を覚悟でディズニーランドに行きたい、みたいな感じです。渋滞にはまってしまうと折角の休日がとてももったいないです。

    私は並ぶのがとても苦手です。福岡や東京に行くとレストランには入り口にズラッと並んでいる人を見かけます。私は、どんなに美味しい店でも並ぶのは嫌です。空いている店にしか行きません。たとえ味が2流でも構いません。ただ、病院だけは別だと思います。命にかかわることなのでどこの誰にもてもらってもいいというわけにはいきません。それは、待つしかありません。私も、患者さんにお待ちいただくのはとても気がかりなのですが、一人ひとりきちんと見ないといけませんので、多少おまたせするのはご了承ください。お互い様の精神でよろしくおねがいします。

  • 検査項目設定の難しさ

    クリニックの目の前は県立大グランドですが、いま桜が満開です。クリニックに来た後は、お茶やお弁当でも買って公園で花見をしてみてはいかがでしょうか。気温が低いので暖かくして来てください。私はというと、まだ花見どころではない忙しさです。毎日朝早くから夜遅くまで多忙極まりないです。クリニックを法人化するに当たり、想像以上に大変な事務作業があります。それに加えて、月初のためレセプトのチェックもあります。患者さんの層も今まで以上に難しい患者さんがどんどん来られるので、治療に関しては頭を悩ませることが多々あります。

    このような難しい患者さんが来られた場合、まず、患者さんの欲求の確認が大切です。ネットで調べた変な病気を心配して来院された場合、検査をしないことには納得されません。仕事のストレスで限界という人は治療よりも休みを取るために診断書をもらいたいという場合もあります。私たちはプロとして患者さんの病態の把握、評価、治療計画という手順で考えるのですが、実は患者さんが求めているところはそういう専門的なものでない場合も多々あるのです。多くの場合は大したことない病状でも心配だから念の為検査してほしいという人が多い印象です。

    極端な例を上げれば、アメリカで前のガイドラインではコレステロールが高い人にはスタチン(リピトールやクレストール)を飲ませておけば、コレステロールが下がったかどうかの検査は不要!ということになっていました。すごいことです。大胆な発想です。これには科学的根拠があり、スタチンを飲んでいれば、数値目標をあれこれ言う必要ないということなのです。また、ワーファリンを飲んでいる人はPT-INRという検査が必要なのですがアメリカでは半年に一回程度しか検査しません。そう考えると、やはり日本人は検査好きです。好きすぎて検査データに振り回されている気がします。これだけ日本人は検査が好きなのにがんの死亡が年々増加しています。アメリカなどではすでにがんの死亡は下降しているので、日本の医療はどこかに重大な欠陥があるのですが、それがどこかは解明されていません。私見を述べれば、無駄に検査ばかり受けないこと(年取って検査するといろいろ見つかりますが、それを治療すべきかどうかはよく考えないといけません)。健康維持に必要なビタミンなどのサプリはきちんと取ること(食品から取ることにこだわらない)などが大切だと思います。

    桜十字病院の新しくリフォームした待合ラウンジ。宇宙ステーションのようで、びっくり!

  • 4月1日より医療法人トータルケアとなりました

    これまで数回お知らせしていますが、この4月1日をもちまして、当院は医療法人社団トータルケアむらかみ内科クリニックとなりました。法人化することで、さらに社会的な責任も増してきます。クリニックの体制が何か変わるということはありませんが、気持ちも新たにさらに皆様の健康と幸せのために尽力したいと思います。クリニックの理念は開業当初に掲げましたが、法人化しても進むべき道は変わりません。西洋医学と漢方をうまく組み合わせながら、皆さんの心も体も健康になっていただきたい。そういう意味でトータルケアと名付けました。

    土曜日に福岡で勉強した講演の内容は統計学(エビデンス)に基づいた治療法の話でした。いろいろな治療法がある中で本当に有効なものかどうかは数万人単位で大規模に検証して統計処理して差が出て初めて有効とされる、というものです。この手法はこの数年たいへんもてはやされて、EBM(エビエンスに基づいた医療)というふうに言われて各種治療ガイドラインなどの基礎となっています。検証するために数万人を対象とするには何年もかかります。したがって、得られた治験は必ずしも最先端ではありません。

    一方、ためしてガッテンなどで見るネタはまだガイドラインにも乗っていないような新しい治療法、というものがあります。こういう医療は玉石混交なので必ずしも優れているとは限りませんが、無視することはありません。少人数で試して効くということは、大規模臨床試験を待たずして歴然とした有効性が認められるという意味です。大規模治験をして統計処理をしないとどちらが優れているかわからないような治療法は微々たる差を科学の力で証明しているだけと考えられるからです。

    日曜の昼、健軍自衛隊前は歩行者天国となり、花見客で大変な賑わいでした