むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 検査項目設定の難しさ

    クリニックの目の前は県立大グランドですが、いま桜が満開です。クリニックに来た後は、お茶やお弁当でも買って公園で花見をしてみてはいかがでしょうか。気温が低いので暖かくして来てください。私はというと、まだ花見どころではない忙しさです。毎日朝早くから夜遅くまで多忙極まりないです。クリニックを法人化するに当たり、想像以上に大変な事務作業があります。それに加えて、月初のためレセプトのチェックもあります。患者さんの層も今まで以上に難しい患者さんがどんどん来られるので、治療に関しては頭を悩ませることが多々あります。

    このような難しい患者さんが来られた場合、まず、患者さんの欲求の確認が大切です。ネットで調べた変な病気を心配して来院された場合、検査をしないことには納得されません。仕事のストレスで限界という人は治療よりも休みを取るために診断書をもらいたいという場合もあります。私たちはプロとして患者さんの病態の把握、評価、治療計画という手順で考えるのですが、実は患者さんが求めているところはそういう専門的なものでない場合も多々あるのです。多くの場合は大したことない病状でも心配だから念の為検査してほしいという人が多い印象です。

    極端な例を上げれば、アメリカで前のガイドラインではコレステロールが高い人にはスタチン(リピトールやクレストール)を飲ませておけば、コレステロールが下がったかどうかの検査は不要!ということになっていました。すごいことです。大胆な発想です。これには科学的根拠があり、スタチンを飲んでいれば、数値目標をあれこれ言う必要ないということなのです。また、ワーファリンを飲んでいる人はPT-INRという検査が必要なのですがアメリカでは半年に一回程度しか検査しません。そう考えると、やはり日本人は検査好きです。好きすぎて検査データに振り回されている気がします。これだけ日本人は検査が好きなのにがんの死亡が年々増加しています。アメリカなどではすでにがんの死亡は下降しているので、日本の医療はどこかに重大な欠陥があるのですが、それがどこかは解明されていません。私見を述べれば、無駄に検査ばかり受けないこと(年取って検査するといろいろ見つかりますが、それを治療すべきかどうかはよく考えないといけません)。健康維持に必要なビタミンなどのサプリはきちんと取ること(食品から取ることにこだわらない)などが大切だと思います。

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