むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 内服で眼圧が下がった

    動悸の治療をしていた患者さんがいます。毎日のように脈が速くなってドキドキするというものです。精神的な原因なら漢方もいいかなと思ったのですが、まずは心臓の薬で治療してみようと思いました。メインテートという心臓の治療薬で動悸を抑える治療をしていたら、思った通り動悸の起こる回数は減ってきて、次第に落ち着いてきました。下手に漢方でいくより、心臓の薬は確実にきいてくれるので、本当に使いやすいです。一方、たまたまこの患者さんは、眼圧が高くて眼科に通院中でした。眼圧は漢方で下げることもできるので、漢方をためしてみませんか?とお話したのですが、もうすぐ眼科受診の予定なので、もうしばらくは様子を見ると言われていました。

    そして、しばらくして眼科受診の結果、おどろくことに眼圧は見事に下がっていました。そのことを聞いたこちらもびっくりです。こんど漢方で下げようと思っていたのに心臓の薬で劇的に改善したのです。よく考えたら、それはありえます。メインテートと同じβブロッカーが点眼になったものを緑内障では治療に使うのです。ですから、同じ系統の薬を内服してもらった結果、運良く眼圧が正常化してくれた訳です。

    逆に、眼圧を上げてしまう薬剤もたくさんあります。多すぎて大変です。眼圧が高い人には使えないのです。別の目的で内服してもらっても、副作用で眼圧が上がってしまってはいけませんので、注意が必要です。私達内科医は、この使いたい薬で眼圧が上がるから使えないというジレンマを一日に何度も経験します。逆に、内科治療を目的に使った薬で眼圧が下がって喜ばれるなんて、予想しなかっただけに衝撃でした。

  • 足がつるのはマグネシウム不足

    足がつったら痛くて大変です。夜にちょっと蹴伸びをしたりすると突然激痛が走ってつりますね。マラソンでもつりますが、何もなくてもつることがあります。漢方薬で芍薬甘草湯というのがあります。ツムラやクラシエの68番です。最近は足のつりには68番と広く知られており、皆さん病院に薬を指名で来院されます。当院でも処方しますが、芍薬甘草湯は副作用が多いため、たまに使うのはいいのですが、慢性的に連日使うのは危険です。私は、そのような処方を希望されてこられた場合、お断りしています。痛みにきいても、副作用が起こっては仕方ありません。

    足が慢性的につる患者さんにどうするかといえば、私は十全大補湯を処方します。長期に使っても副作用が少なく、しかも確実に改善します。芍薬甘草湯が対症療法(標治)であるのに対し、十全大補湯は根本治療(本治)です。と、ここまでは少し前にも似た内容のブログを書いていますので、覚えている方もいらっしゃると思います。

    ちょうど2日前ですが、私は運転中にアクセル、ブレーキを踏む足が釣ってしまいました。運転はできたのですが、こんなの危ないです。そこで私がとった行動は?漢方を飲む、ではありませんでした。そのまま車で近くの薬局にいき、サプリコーナーでDHCのカルシウム・マグネシウム(https://www.dhc.co.jp/goods/goodsdetail.jsp?gCode=32322)を買いました。1ヶ月分で380円です。飲んでみたら劇的に改善しました。足がつるときは、ちょっとした足の動きでまたつりそうなのがわかりますが、のんだあとから全くつる気配はなくなりました。実は、足がつるのはマグネシウム不足であろうと言われているのです。マグネシウムサプリがこれほど効くのなら、漢方はいりません。安くて安全です。足がつって困ると言う場合、ぜひお試しください。

  • 寝汗の治療

    漢方の外来をしていると、本当に難しい症例が集まってきます。どこの病院に行っても治らなかったと言って来られますから、本当に難しいです。しかし、漢方の目でみると案外簡単に直せる場合もあるので、本当に困った患者さんたちにもなんとか満足いただいているのではないかと思います。

    そんな中、かなり難しいのが寝汗です。寒いのに寝ていると汗が出て体を拭いたり着替えたりしないと風邪を引きそうだと言われます。そんな症例の治療は西洋医学的にはほとんど不可能です。教科書のどこを見ても治し方は書いてありません。実は、漢方の中にはいくつか寝汗を治す処方があります。なるほど、これはいい、と思って使うのですが、実際にそれが効くのは3-4割といったところでしょう。それでも効いて喜ばれるのでやってよかったと思うのですが、逆に考えると6-7割の人の寝汗は治せていないのです。

    この治し方がずっとわからず試行錯誤していました。最近、少し手応えをつかめてきたのは、漢方ではなく鍼治療です。針をつかって自律神経を整えていけば寝汗は減ってきます。ただ、鍼治療の場合、保険が効きません(当院の場合初診料や再診料に加えて1500円です)。最低でも週1回はしないと効果が出ないようです。そこで自分でできるセルフ整体にて治療できないかと考えているところです。

    水前寺公園内の池;熊本地震で水が減ってしまったそうですが、今は昔と同じくらいありそうです。

  • 花粉症の治療薬で眠くなる?

    昨夜は春の嵐でしたね。短時間で通り過ぎたのでよかったですが、雷までなって、びっくりです。ところで、当院のベランダには雨どいがあるのですが、そこから水の流れたあとを見たらうっすらと黄色い堆積物が見えました。なんだろうと思って手に取ってみたら、びっくり!花粉でした。大きな屋根に積もった大量の花粉が雨で流れてトイの部分に集まったのでしょう。私は花粉症でないので、何も起こりませんでしたが、花粉症の人が見たら触る前に目鼻が痒くてとんでもないことになったに違いありません。

    先日「花粉症の薬は当院でも処方できます」と書きました。早速患者さんが来られています。その際に、ネットで見たんですけど、花粉症の薬には強さが色々あるんですか?というお問い合わせがありました。そのとおりです。強いもの、弱いもの、新薬、ジェネリック(安い)、などいろいろです。そして、眠気が多いものや少ないものなど副作用もいろいろです。患者さんごとに相談しながらどれにするかを決めています。

    先日面白いなーと思ったのは、花粉症の薬を飲むとすごくよく眠れるので、また下さい、という患者さんです。たしかに、眠気が強い抗ヒスタミン薬は睡眠薬の代わりになります。睡眠薬として市販されているものもあります。花粉症の薬で眠れるのなら、睡眠薬を使わずに済むかもしれません。そうかその手があったかと、逆に教えさせられたエピソードでした。このように、外来診療は日々進化しています。

    水前寺公園内。この建物の名前を忘れましたが、神楽か何かするところだったと思います。熊本地震で全壊したとばかり思い込んでいましたが手前の壁が新しい建材で補強されている程度で無事だったんだと、見ていて嬉しくなりました。

  • 動悸の治療

    動悸は結構多く見られる症状なのに、治療を得意とするドクターは少ないように思います。それには理由があります。循環器内科(心臓病の専門家)と心療内科の2つをオーバーラップしているからです。循環器の先生は、心電図や心エコーなどで精密検査をしますが、検査で何も見つからないと、一気に興味を失います。「特に心配ないようですから様子を見てください」ということになります。患者さんは動悸がして困っているというのに、打つ手なしです。

    一方、心療内科にしてみれば、循環器の精密検査を受けてもらってからでないとどんな心臓病がひそんでいるかしれない、と心配します。現に、動悸を起こす心疾患として、心不全、心房細動、房室ブロック、期外収縮、甲状腺機能亢進症などなどいろんな可能性があります。それを除外しないで、ストレスのせいだなんていえません。その結果、動悸の原因に関してよくわからないままに内心ビクビクしながら治療することになります。

    私は大学病院で勤務していた頃に循環器内科外来で漢方外来を担当しており、心臓神経症をよく見ていました。いろいろ検査しても異常ないとか、手術はうまく行ったのに症状が改善しないような場合、患者さんが紹介されてきます。このように難しい動悸の症状も、細かく状況を問診すれば、結構症状を取ることができます。私の場合、抗不整脈薬も血圧の薬も使いながら漢方的あるいは心療内科的なアプローチを併用するため、幅広くいろんな動悸に対して対応しています。