むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 自然とともに生きる

    旬の食べ物は美味しいし、栄養も豊富です。今の季節美味しいのはあさり貝、たけのこ、わらびなどでしょうか。たけのこやわらびは下準備が大変ですが、食べると本当に美味しいです。山菜は美味しいですが、あくが強いですよね。これは、新芽を動物が食べてしまわないように、毒になる成分を含むようにできているからです。動物がうかつに新芽を食べるとお腹を壊したりして、次第に食べないように仕向けるわけです。したがって、きちんとアク抜きしないと食べられません。果実は動物に食べてもらうために種の周りに美味しい実を含みますが、それとは反対の発想です。

    じゃがいもの芽も食べていはいけないと昔から言われています。芽になる前のエクボの部分もくり抜いて捨てます。しかし、食べても害がない芽があります。もやしです。もやしは緑豆や大豆の芽ですが、相当昔から食べている食材だしアクもないので健康に問題はないのだと思います。しかし、昔は食べていなかったけど最近食べるようになった芽があります。それは、「発芽玄米」「豆苗」「ブロッコリースプラウト」などです。いずれも体にいいということで食べられていますが、本当に体にいいのだろうかと、私は少し警戒しています。歴史が証明すると思いますが、まだわかりません。たいてい、種の段階で料理すれば大丈夫です。これは鳥も食べているのを見るとわかります。しかし、芽が生えてきたときに鳥に食べられると大変なので芽の部分は毒を含んでいるだろうと想像するのは難しくありません。

    わたしたちは大自然の一部です。自然とともに生きています。科学の目を通して(成分分析などの結果)勝手に良さそうだと思うのは自然の摂理を無視している可能性があります。科学の目よりも大事なのは自然の摂理です。漢方を専門にしていると、普通に考えて不自然なことは体にも良くないのではないかと考えるのが当たり前のような気がします。

     

     

  • 美味しい塩を少し使いましょう

    スーパーに行くと旬の野菜が並んでいます。新玉ねぎ、新生姜、きゅうり、パプリカ。見ているとある食べ方を思いつきました。ピクルスです。早速食材をいくつか買い揃えてさっとざく切りにして塩コショウ、酢、砂糖で混ぜ合わせて瓶に詰めました。翌朝、味見をすると美味しく出来上がっています。昆布やじゃこなどを混ぜても美味しいです。健康にもいいに違いありません。作り置きができるので、これからしばらくはピクルスにハマりそうです。大事なのは、美味しい塩を使うことです。海水を煮詰めて作った塩がいいです。見分け方は、塩のパッケージ裏に書いてある成分表です。ナトリウムは塩の主成分ですから、たくさん入っていて当たり前です。見てほしいのはマグネシウム、カルシウムなどのにがりの量です。クリニック近くの有機生活(一休温泉のとなり)で買った天草天然塩の成分を見ると、カルシウム444mg、カリウム138mg、マグネシウム413mgです(塩100g中の量)。相当にがり成分が入っています。

    人はもともと海の生物でした。進化の過程で海から陸へ上がって現在に至るのですが、血液の中には古代の海の成分に似たミネラルの配合となっています。上記したようにナトリウム以外にカリウム、カルシウム、マグネシウムなどをふんだんに含みます。古来塩作りは塩田で海水を煮詰めて作っていたので、海のミネラルをすべて含んでいました。それが、専売公社の塩になり大量生産されるようになった頃から純度の高い塩化ナトリウムとなり、高血圧の患者が急増しました。純度が高い程からだにわるいのです。

    今はいろんな塩が手に入ります。いい塩は本当に美味しいので、肉を焼いても卵を焼いても塩だけで美味しいです。この美味しい塩は純度の高い塩に比べて値段が高いのであまりバンバン使うことはないと思います。それも、結果的に減塩に繋がります。もったいないほど高級な塩をテーブルに常備すると、薄味でいいのです。煮たり焼いたりするときにはほとんど味をつけず、食べるとき塩を軽く一振りすると引き締まった味になりますよ。

  • 食後の血糖測定が大事

    日曜は昼から夕方まで下通りで無料健康相談のボランディアに出ました。私は循環器内科ですから血圧、血糖コーナーにいました。3時間ほどで250名の血圧と血糖を測りました。私の仕事は測定結果から異常なし、境界域なので気をつけましょう、速やかにかかりつけの先生に相談しましょう、みたいなアドバイスをする仕事です。昼過ぎの下通りですから、さっき昼ご飯食べました、という人が大勢です。測ってみると血糖が200を超えている人がかなりいました。中には300を超えている人も数名いました。

    通常病院の採血や健康診断では空腹時に採血します。朝ごはん抜きで来院して採血すると血糖も下がっていて異常なしと診断されることが多いのですが、今日の相談みたいに食べて2時間以内に測定して見ると驚くほど高血糖の人がいます。食後高血糖といいます。200超えていれば一発糖尿病確定です。逆に食べて1−2時間で血糖が70くらいの低血糖の人もたくさんいました。正常範囲に入っていれば、異常ということはないのですが、食後に血糖が上がらずむしろ下がっているのは、食後高血糖に引き続く低血糖の可能性があります。いちど血糖が上がってそれを下げるために大量のインスリンが分泌された結果です。これも将来の糖尿病のリスクと考えます。

    皆さんに共通して言えるのは炭水化物を食べすぎないようにしましょうということです。ランチで血糖が上がりやすいのは、麺類や牛丼、カレーなどです。安くて手軽な食事は要注意ということです。炭水化物制限は外食でもできます。居酒屋なんかはおすすめです。豆腐、サラダ、刺し身、焼き鳥などは食べても血糖は上がりません。食後のデザートや締めのお茶漬け、ラーメンはいただけません。

  • 訪問リハビリの有用性

    今度の日曜日(4/21)の午後1時から4時半まで、下通りで街頭無料健康相談があります。私もボランティアで参加します。循環器内科や糖尿病の相談コーナーに座っていますが、漢方などの相談も承ります。お近くまで来られたらぜひお声掛けください。2年前にも参加しましたが、その時の相談が縁で今も当院に通院しているかたもおられます。出会い(縁)はどこにでもありますが、病院に来るのがハードルが高いという場合、このような無料相談会はいい機会になるのではないでしょうか。

    私は内科ですから、薬物治療が中心です。処方箋を書くまでが仕事です。その処方箋をもとに薬を作ってくれる薬剤師さん、きちんと飲ませてくれるご家族や訪問看護師さんなどの力がないと治療は完結しません。一方、薬を使わない治療もあります。それはリハビリです。ふらついて仕方ないという患者さんに飲み薬を処方してもなかなか改善しませんが、リハビリしてもらうとどんどん元気になることがあります。リハビリも、施設に通うタイプの通所リハ、病院(整形外科や脳神経内科など)でおこなうリハビリ、デイケアで行うリハ等いろいろあります。さらに、ご自宅までリハスタッフが来てくれる訪問リハというサービスもあります。

    通院や通所が難しい場合、訪問リハはとてもいいと思います。リハビリの基本は家庭での生活を危険なくスムーズにできることが第一の目標ですから、自宅で廊下を歩く、風呂に入る、トイレに行くなどの基本動作訓練をすることはとても重要です。訪問リハなどのサービスを受けるにはまず介護保険を申請しないといけません。介護保険の審査には主治医意見書という書類が必要です。当院かかりつけの患者さんの場合、患者さん本人やご家族が困っている事などを細かに調査して書きますので、それだけきちんと要介護状態を評価してもらえると思います。要介護状態をきちんと把握してもらうことがいいサービスを受ける基本ですから、丁寧に対応してもらえるかかりつけを持つことは重要です。

  • トラウマを治す

    熊本地震から3年ですね。夜、犬の散歩をしているとあのときのことをいろいろ思い出しました。きっと同じ気持ちで今この時を過ごしている人も多いのではないかと思います。思い起こせば、いろんな人に助けられました。第一は水道工事屋さん。人伝いに来てくれそうな業者さんに必死で頼んで、敷地内で漏水している水道管を変えてもらいました。そして、大工さん。雨漏りしていた屋根を直してくれました。錦が丘公園でおにぎりをもらったこと、江津湖に水を汲みに行ったこと、いろいろありました。私はクリニック開業前でしたので、前職場の桜十字病院で休まず外来をしました。毎日余震で揺れる中避難してきている近所の人達の健康管理から、血圧などの薬が切れた人たちの対応などに追われました。

    トラウマと言うと皆さん心的外傷(悪夢のような出来事)を思い起こすかもしれませんが、英語でTraumaというと、いわゆる外傷のことです。私は留学中は救急医療・集中治療を専門にしていたため、Trauma学会に出ていました。一方、地震のような災害では外傷だけでなく心的外傷も問題になります。あのときのことを思い出すと恐怖で眠れない、動悸がする、不安で仕事も手に付かない、などです。ときが経つに連れ、あんなに大変だった地震の記憶もだんだん薄れてきます。助けてくれた、良かった、といういい思い出は残して、怖かった思い出はできるだけ忘れるのが精神衛生上いいと思います。マスコミは怖かったことまで思い出させる番組を作りがちですが、そんなのは見ないことです。

    それでも怖い思い出がフラッシュバックして困るという場合、漢方薬がよく効きます。いわゆる神田橋処方というものですが、使ってみると素晴らしい効果があります。この処方は、地震などの災害のトラウマだけでなく、職場で上司に怒られたとか、そういう個人的な嫌な思い出も軽くしてくれます。嫌な思い出から抜け出せない場合、ご相談ください。力になりますよ。