むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • トラウマを治す

    熊本地震から3年ですね。夜、犬の散歩をしているとあのときのことをいろいろ思い出しました。きっと同じ気持ちで今この時を過ごしている人も多いのではないかと思います。思い起こせば、いろんな人に助けられました。第一は水道工事屋さん。人伝いに来てくれそうな業者さんに必死で頼んで、敷地内で漏水している水道管を変えてもらいました。そして、大工さん。雨漏りしていた屋根を直してくれました。錦が丘公園でおにぎりをもらったこと、江津湖に水を汲みに行ったこと、いろいろありました。私はクリニック開業前でしたので、前職場の桜十字病院で休まず外来をしました。毎日余震で揺れる中避難してきている近所の人達の健康管理から、血圧などの薬が切れた人たちの対応などに追われました。

    トラウマと言うと皆さん心的外傷(悪夢のような出来事)を思い起こすかもしれませんが、英語でTraumaというと、いわゆる外傷のことです。私は留学中は救急医療・集中治療を専門にしていたため、Trauma学会に出ていました。一方、地震のような災害では外傷だけでなく心的外傷も問題になります。あのときのことを思い出すと恐怖で眠れない、動悸がする、不安で仕事も手に付かない、などです。ときが経つに連れ、あんなに大変だった地震の記憶もだんだん薄れてきます。助けてくれた、良かった、といういい思い出は残して、怖かった思い出はできるだけ忘れるのが精神衛生上いいと思います。マスコミは怖かったことまで思い出させる番組を作りがちですが、そんなのは見ないことです。

    それでも怖い思い出がフラッシュバックして困るという場合、漢方薬がよく効きます。いわゆる神田橋処方というものですが、使ってみると素晴らしい効果があります。この処方は、地震などの災害のトラウマだけでなく、職場で上司に怒られたとか、そういう個人的な嫌な思い出も軽くしてくれます。嫌な思い出から抜け出せない場合、ご相談ください。力になりますよ。