むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 一年を振り返って(分子栄養学編)

    私が分子栄養学を本格的に実践し始めて2年位です。藤川理論をベースにしていますが、その師匠の三石巌先生の本を何度も読んで理解を深めました。また、臨床分子栄養医学研究会の主催する何十時間にもわたるオンラインレクチャーを受講しました。今年に入って早々からコロナで持ちきりとなりました。普通、風邪ウイルスに対する免疫といえば、ビタミンCですが、分子栄養学を学んだ私はすかさずビタミンDを飲み始めました。当院スタッフにも飲むように勧めて、1本ずつ配布しました。おかげなのかわかりませんが、スタッフみんなこの一年健康に過ごせてよかったです。

    その他、私はビタミンA,B,C,D,E,Kナイアシン、EPA/DHA、オルニチン、アルギニン、亜鉛、マグネシウムと毎日飲むビタミンやミネラルの量は増えてきましたが、おかげで私は相当多忙で休みが少ないにもかかわらず風邪一つひかずずっと体調は万全でした。50すぎてますます健康となり、睡眠もよく夜間尿は1度もないし、目覚めもいいし、御飯も美味しい。お酒を飲んでもビタミンで代謝が良くなっているので二日酔いもしない。そんな毎日でした。

    患者さんも、藤川先生の本を読んで実践してみたけど、それでやり方があっているのかと言う感じの相談が県内外からたくさんありました。当院は保険内の診療しかしていませんので、オルソモレキュラー医療をやっている自由診療のクリニックみたいに高額なビタミンを売りつけることもありません。その変わり、ネットで自分で買っていただいています。結果的に、多くの患者さんたちは自力でどんどん健康になり、難治だった症例もだんだん元気になって来るのを見ると、このメガビタミン療法は本当にいいなと実感しています。

  • 今年一年を振り返って(医療編)

    この一年、いろいろありました。クリニックではおかげさまで連日大勢の患者さんにご来院いただき、健全経営することができました。仕事が増えた分スタッフも増えました。スタッフみんなには家族同様楽しく仕事してもらえるように心がけました。利益を残しても税金で取られるだけなので、法人にはあまりお金を残さず、ボーナスでみんなに払ってしまいました。そういう私は年俸制なのでボーナスは無しです(涙)。この一年を振り返ってみたいと思います。

    毎日、本当に難しい症例がたくさん来院されました。どこに行っても治らなかったという難治症例ばかりです。漢方や鍼に期待してこられる人もいれば、心療内科ではうつや不安、緊張で仕事も家庭もピンチという感じの切羽づまった患者さんもたくさん来ました。他で治らなかった症例などはそう簡単に治せるはずもなく、日々勉強です。病態の仮説を立て、自分なりの治療方針を考え、それを試す。患者さんが多いので、検証の機会が多く、私の経験値がどんどん上がります。おかげでいろんな治療法を編み出しました。日々進歩しているので、おそらく私の処方箋を見ても薬局の先生もなんの治療なのかわからず戸惑うのではないかと思います。そこで今年は、処方箋にできるだけ処方の方意(処方に込めた私の思い)をコメントするようにしました。

    食後にお腹が張って痛い、ガスが多くて辛い、学校に行きたくないという症例。だいぶ治せるようになりました。学生さんの朝起きれないために不登校になってしまっている症例。全例ではないですが、結構治療できるようになりました。難治性の耳鳴り。耳鼻科では治りませんとはっきり言われるのですが、たまに改善する症例が出てきました。まだまだうまく治せない症例がたくさんあるのですが、日々進歩しています。名医といわれる人の本を読み、アイディアを理解し、真似する。そして自分なりのアレンジを加える。学びとは「真似(まね)び」から来た言葉だそうです。その繰り返しの一年でした。

  • 医用麻薬と緩和ケア

    年末、道が混みますね。どっちへ行っても渋滞の列です。今日から学校は冬休みに入ったようなので朝夕の自転車の列が緩和されるので多少いいかもしれません。そういう私も、麻薬免許証の更新のため昼休みに医師会まで行ってきました。みんな年末にしないといけないことが集中するから渋滞するんですね。麻薬免許更新なんて、12月でなく3月にしてくれればいいのに、と思います。麻薬免許というのは、私たちががん患者さんの痛みの緩和目的でモルヒネなどを処方するときに必要です。そして、その処方箋をもとに薬を患者さんに手渡してくれる薬剤師さんも麻薬の免許が必要です。在庫管理は非常に厳重です。

    医療用麻薬というのは不思議と暴力団の資金源になっているような品物とは違って、使っても痛みが取れるだけで、変な快感とか幻覚とか蟻地獄のような一度使ったらやめられない、みたいなものはないようです。私は、めったに麻薬を処方しないので、あまり詳しいことはわかりません。クリニックを開業するとき、たぶん麻薬は使わないと思っていましたが、訪問診療では緩和ケア(ガン末期の患者さんの痛みの治療など)で麻薬が必要なこともあるだろうと思って、一応免許を取得ました。結果、一度も使うことなく更新の年を迎えたわけです。

    私は、開業する前に桜十字病院の緩和ケア病棟をしばらく担当していました。通常緩和ケア病棟はがん治療を専門とするスタッフと痛みと取るのが得意な麻酔科のスタッフが担当します。そこに私が入ったのは、漢方や針でどこまで緩和ケアができるかやってみたかったからです。もちろん、モルヒネも使いますが、痛いという患者さんや吐き気で薬が飲めない患者さんに毎日鍼治療をしてあげました。もう、治療はあきらめて緩和ケアにはいりましょうと言われてがっかりしているところに、毎日鍼治療をするのは、患者さんの生きる希望にも繋がり、痛みも軽くなることから麻薬を減らすことができたと思います。

  • 高齢者の糖尿治療は厳密すぎないこと!過ぎたるは及ばざるが如し

    土曜日は夕方5時からWEB講演会で勉強でした。今回は糖尿病エキスパート・フォーラムという会で糖尿病治療の最新の話題が満載でした。WEB講演会ではチャットのような機能で演者の先生に質問できるのですが、質疑があまり出ていなかったので、私のかねてからの疑問を東京の先生に質問してみました。それは、高齢糖尿病患者さんで眼科に行くと「網膜症になっているから、血糖をもっと下げてもらえ」と言われるが、内科側では高齢者の糖尿病治療は血糖を<下げすぎないこと>がとても大事で、低血糖を起こすと心血管イベント(心筋梗塞など)が増えてしまうことがわかっており眼科の先生が言うとおりにおもいきって血糖を下げることはできない。そもそも、網膜症を発症した患者さんの血糖を下げることは意味があるのでしょうか?という質問です。

    答えは、私の思ったとおりでした。すなわち、眼科の先生がみているデータは血糖を厳格にコントロールするほど網膜症の”発症”を抑えるというもの。それは正しい。しかし、一旦網膜症を発症した患者さんの血糖を厳格にコントロールしても網膜症の”進展”を軽減するデータはない!とのことでした。やっぱりそうかと納得です。なぜなら、網膜症というのは、糖尿病を発症して10年以上たって発症する合併症です。したがって、今の血糖ではなく、過去10年分くらいの血糖の推移が影響しているわけです。網膜症になったからと言って、慌てて厳格治療をしても意味はないのです。座長の先生が、眼科学会と糖尿病学会の間の連携が十分取れていないので、今後のガイドライン作成に盛り込みたいとおしゃっていました。

    こう考えると、合併症のない時期の血糖をいかにきちんとコントロールするかが非常に大切だとわかります。糖尿を10年以上放置したり、薬は飲んでも食べ過ぎ、運動不足を解消できず高血糖を放置すれば、あとになってつけが来ます。逆に、80歳過ぎてヘモグロビンA1cを6以下に下げるのは危険です。若いときに頑張って下げるのは重要ですが、歳をとったら基準を緩めるべきです。

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  • 冬は乾燥肌が痒くなる季節です

    冬は乾燥するので肌が痒くなる季節です。私も乾燥肌であちこち痒くて仕方ないです。歳を取ると皮脂が欠乏して潤いがなくなるのです。お風呂でも肌がかゆいと石鹸をめいっぱい使ってゴシゴシしたくなりますが、それは皮脂欠乏を悪化させるので逆効果です。乾燥肌がかゆい人は、お風呂であまりゴシゴシしないで、そっと汚れを流す程度にしておくことが大切です。

    漢方で、乾燥肌は陰虚といいます。陰とは水分のことで水分が不足していると言う意味です。そして、陰を補う補陰の処方があります。乾燥肌がかゆいときは陰不足だけでなく若干発赤を伴うので、漢方的には熱を帯びていると考えるのですが、陰が不足すれば相対的に陽が亢進するというバランスの問題です。そこで漢方治療では陰を補う四物湯と清熱作用のある黄連解毒湯の合剤の温清飲をよく使います。当帰飲子というかゆみ専用の処方もあります。それでも痒みが取れない場合、保湿クリームにかゆみ止め(抗ヒスタミン剤)を混ぜて塗ったり、抗アレルギー剤を内服する方法もあります。

    もう一つ面白いのは漢方入浴剤です。当院向かいの凌雲堂薬局では漢方薬(生薬)を煎じてお風呂に入れるタイプの本格的な漢方入浴剤を作っています。その漢方ぶろに入ると肌はすべすべになるし芯から温まります。煎じた漢方薬は飲むこともできる品質です。ぜひお試しください。

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