むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 分子栄養学

    栄養学は昔からある学問ですが、なかなか発展しません。脚気(かっけ)論争といって脚気の原因が感染症か毒物(カラダに悪いものを食べたため)なのかということを真剣に議論していた頃からまだ100年ほどです。結局ビタミンB1が不足すると脚気になるということがわかったのです。ビタミンB1は米ぬかに多く含まれているので、玄米を食べる田舎の人は脚気にならないのですが、江戸の金持ちは白米を食べるので脚気が多く発生し、江戸患いと言われていました。戦時中は海軍が野菜の少ない環境で脚気を患っています。海軍では元気よく戦うため白米を食べていたのが脚気を予防できなかったのです。

    現代はほとんど精米された輝くようなコメを好みます。小麦も真っ白、砂糖も真っ白です。白いということは雑味がないわけですが、栄養も抜けてしまっています。糠(ぬか)という漢字はコメの健康です。玄米を食べましょう。今日は私は分子栄養学の講演をしました。ビタミンや糖質が体の中でどの様に代謝されてエネルギーとなるのか、これをよく理解しないと患者さんの体調不良はうまく説明できません。

    先日、だるい、日中眠いということで来院された患者さんの食生活を聞くと、ほとんど炭水化物ばかりでした。そこで、炭水化物を減らしてタンパク質を取るよう指導したところ、あっという間に元気になりました。食は薬より大切です。

  • 後輩が内科クリニックを新規開業します

    今日届いた「リビング熊本」を見ていたら私の後輩の田中先生のクリニック(田中内科クリニック)オープンの案内が書いてありました。長嶺の小中学校の近くにいくつかクリニックがありますが、そこです。今度の週末に内覧会があるそうなので、お近くの方は覗きに行ってはいかがでしょうか?私も日曜にお邪魔しようと思っています。開業の際にはたくさん患者さんが来てくれるだろうかと心配します。病院も採算が合わないと話になりません。内覧会にたくさん来ていただけるとそれだけでも励みになります。

    田中先生もですが私も村上という名前は非常に多いのでそれをクリニックの名前にすると似たクリニックから文句が出ないか心配でした。私の場合は、クリニックオープンの半年くらい前から保健所と市の医師会に問い合わせてこのネーミング(むらかみ内科クリニック)で問題ないか確認を取りました。たまに保健所ではOkがでても、オープンした途端医師会を通して似た名前のクリニックからクレームが来たエピソードを聞いたことがあります。また、開業当初はグーグルで検索しても似た名前のクリニックしか上がってきませんでした。今はこのブログの効果もあり一番上に上がってきます。

    当院は現在医療法人設立に向けて準備中です。ご存知のかたも多いと思いますが、医療法人のネーミングは〇〇会というのが多く、たいてい自分の名前や土地の名前が付きます。当院なら村上会とか東稜会とか榎会のようなネーミングです。いずれもすでに登録されているので使えません。そこで、私は経営理念を一言カタカナ(英語)で表したネーミングにしました。年明けに発表します。

  • 時間は作るもの

    時間がないと嘆く人は多いです。来院される患者さんも時間がほしいという訴えの方が結構おられます。残念ながら、私は時間を処方することはできませんので、なんとか時間を作る工夫をしないといけません。多いのは残業などでよる10時過ぎに帰宅し、晩御飯、入浴で就寝できるのは1時か2時になるというもの。そういう人に限って朝も早起きで5時か6時に起きないと仕事に間に合わないので、実質睡眠には4時間ほどしか確保できないというものです。どうしようもないですね。

    対策として、やはり残業時間の短縮です。自分で何でも抱え込まないこと。ひとに頼めることは頼むこと。仕事効率を上げること。部下や同僚を信じて任せるだけの度胸も必要です。そして、自分ひとりしかわからない状況にしないこと。自分が万一休んでも代わりに仕事をやってくれるスペアの同僚がいることが大切です。これは会社がそのように取り組むことがリスクヘッジになるのでそうすべきです。

    日本はマルチタスク(一人で何役もこなす人)のほうがスペシャリスト(一つのことを極めた人)より重宝がられます。そのせいで少人数でみんな無理しながら頑張りすぎる社会となっています。同僚と仲良くしてお互いの仕事をシェアし合うのがいいと思います。個人プレーは責任も疲労も一人の肩にのしかかってしまいます。

  • ストレスの症状

    ストレスで体調が悪くなるというのはよく聞く話です。心身症と言います。多いのは胃の調子が悪くなるというもので、ストレス性胃潰瘍と言います。胃潰瘍とまでは行かなくても、食欲低下や吐き気なども多く見られます。腹痛、下痢というのもよく見られます。病院を受診した際に詳しく話さないと、胃腸炎でしょうということで済まされてしまうかもしれません。人によっては動悸、不整脈、喉の詰まりなどもよく見られる症状です。

    最近よく来院されるのが、体の痛みです。レントゲンやCT、心電図などいろいろ調べても何も異常なしで、痛みの原因がはっきりしません。このようなストレスから来た痛みは診断が難しく、そのようなものがあると知ってかからないと診断がつきません。

    仕事上のストレスの場合、土日は症状が軽い場合が多いです。学生さんも同じで、学校が休みの日には症状が軽くなります。ただ、学生の場合は部活があるので、部活のストレスだと年中無休です。家庭内にストレスの原因がある場合も年中症状が続きます。子育ての不安や夫婦関係、嫁姑などの問題の場合です。世の中はストレス社会。病める患者さんが本当に多いと実感しています。

  • 鹿児島で学会

    東洋医学会に参加するため週末は鹿児島に行ってきました。新幹線でたったの45分でした。昔2時間以上かけてましたから、あまりの近さに拍子抜けするほどです。福岡より遠いのに同じくらいの時間で着くのですね。たった45分ですが、暖かい!防寒着などいりませんでした。それから街中を歩いていて気がついたのは、空き地が少ないこと。これは地震後の熊本はあらゆるところが更地になっており、あれーここって何だったかなーと思うところが多く、寂しい雰囲気が心に響いてきますが、鹿児島市内を歩いてもそういう寂しさが全くない。幸せな町なんだなーとこころがほっとする感じを受けました。おそらく、熊本市内は復興半ばで市民の皆さんの悲しみや苦しみや悩みがいまだに相当渦巻いているのを私が感じてしまうのかもしれません。

    学会では座長を頼まれていたため1つのセッションを司会進行しました。みなさん漢方に詳しいですから、その聴衆を代表して聞きたいこと、確認したいことなどを的確に質問して発表にスパイスを加える。座長というのは時間通りに司会進行してなんぼですが、プラスアルファの役割というのが大きいと思います。

    たくさんの発表の中からは得られるものも大きく、大変勉強になりました。以前では考えられなかったことですが、発表を聞きながらその場でスマホを使って検索し、情報を集めることができます。その場で理解が深まり、しっかり記憶に定着します。そんな時代です。

    桜島と朝日