むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 生薬はすごい

    漢方薬といえば、今ではツムラのエキス顆粒(粉薬)がイメージされます。しかし、本来の漢方薬は薬草を煎じて飲むものです。煎じるというのは、麦茶を作る要領でヤカンに薬草を入れてコトコトと弱火で煮詰めてカスを濾して飲むのです。

    2週間ほど前にかなり重症の患者さんが来院されました。集中治療室に入っていたそうですが、なんとか切り抜けて退院したそうです。体は消耗し虚しているのですが、西洋薬はあまり飲みたくない。それでも急に西洋薬をやめるのは危険なので、入院していた先の主治医の先生にも連絡を取り、こちらで漢方を出すことにしました。さすがに、出来合いのエキス顆粒では対応が難しかったので、生薬で完全にオーダーメイドにしました。体が消耗しているので、使う生薬も少なめとし、漢方的な病態と西洋医学的病態を考え合わせながらできるだけシンプルな処方をしました。

    今日、2週間経って来院された患者さんはかなり元気になっていました。ほっとしました。うまく飲めているようだったので、欲を出してさらに処方を加味して2週間分出しました。

    昨日、私自身も患者さんの風邪をもらったらしく、喉がイガイガしてなんとなく体調が悪くなりました。帰宅してすぐに自宅にストックしていた生薬を出して煎じて飲みました。湯飲みに2−3杯飲んだところで、気分も良くなり、朝にはすっかり改善していました。

    ちなみにその処方ですが、桂枝、板藍根、霊芝、細辛、五味子、生姜、甘草、山梔子、芍薬、葛根といった感じです。重さなど計りません。指でひとつまみずつ取って鍋に入れていきます。美味しく抜群に効く風邪薬。処方がオリジナルなので名前がありません。風邪に葛根湯というのは頭痛に◯ファリンみたいな単純な構図ですが、実際には風邪ほど処方が難しいものはありません。千差万別だからです。

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