むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 新しいハイブリッドの日産ノートから考えること

    昨日発売となった日産ノートという車、今まではあまり特徴のない車種でしたが、新型ノートはすごい。ハイブリッド車なのですが、ガソリンエンジンは駆動系には全く使わず、発電機としてだけ働く。駆動系は日産リーフという電気自動車に使っているモーターだそうです。つまり、リーフほど大容量のバッテリーを積まずにガソリン発電機を積んだわけです。

    私はトヨタのプリウスが出るまで、ハイブリッド車というのはこの新型ノートのようなものだと思っていました。理屈が簡単でわかりやすい。しかしトヨタはものすごく複雑なハイブリッドシステムを開発し、電気とエンジンの両方を駆動系に用いて制御するという力技で実用化しました。よくこんなシステムが大量生産できるなと、ずっと思っていましたが、今度の新型ノートはいいと思います。かなり注目です。

    ところで、人間の細胞も実はハイブリッドシステムになっています。細胞がエネルギーを作り出す仕組みに、酸素を使わないでブドウ糖を分解して2ATPを得る解糖系、これは車でいうとバッテリー駆動の電気自動車です。もう一つはミトコンドリアの電子伝達系で酸素を使いながらクエン酸回路、脂肪酸、アミノ酸などから36ATPを取り出す経路です。酸素を使うのでガソリンエンジンのようなものです。

    そして細胞にはその無酸素でエネルギーを作る解糖系と有酸素でエネルギーを作る電子伝達系のハイブリッドになっているのです。短距離走や瞬間的な動きは無酸素運動ですから、息を止めてグッと力を入れると上手くいきます。一方、長距離走などは有酸素運動なので、呼吸のリズム、深さ、そして取り込んだ酸素を全身に巡らす心拍などが重要となってきます。

    驚いたことに、がん細胞はミトコンドリア系(有酸素系)が壊れており、無酸素で解糖系のみを使ってエネルギーを作っているそうです。したがって、ブドウ糖だけががん細胞のエサとなっているのです。こういう特性がわかってくると、がん細胞を育てないように体のコンディションを整える方法がわかってきます。つまり、がん細胞の好きなブドウ糖(甘いもの、炭水化物)を食べ過ぎないこと!体を冷やさないこと(冷やすと血流が悪くなるので、局所的に無酸素の環境になりやすい)。運動をして大量の酸素を体に取り込むこと。ストレスをためないこと(ストレスも血流を悪くします)。そしてミトコンドリアが働きやすいようにビタミンをたくさんとること(バランスの良い食事をすること)。温かいものを食べること。冷たいものを飲まないこと。シャワーでなく湯船にゆっくり浸かること。そう考えると、昔から温泉宿に湯治に行くというのは理にかなったことですね。

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    天気が良かったので加勢川(下江津湖から下流へ)の堤防をずっと走ってきました。もちろんランニングは大量の酸素を取り入れ、体の隅々まで血流が良くなり、体温を高め、血糖を下げるのでがん細胞が育ちにくい体内環境を作ります。