むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 心と漢方と

    国立病院機構熊本医療センターの広報誌「くまびょう」に拙文を載せていただきましたので、その一部をご紹介します。以下抜粋(一部改変)

    動悸、息切れ、胸が苦しい、などの訴えがあれば、狭心症や心不全を疑って精査することも多いでしょうが、何も異常がなかったという症例は多いと思います。これは心療内科の分野です。また、今年は地震の影響から、夏くらいまではなんとか気も張っていて大丈夫だったという人も、涼しくなってきた頃から次第にこの先の不安が募ってきて、体調に不調をきたしてるような症例が多数来院されています。無理をせずに、抗うつ剤などの力を借りて乗り切って良いと思います。しかし、なかには抗うつ剤というと、飲むのに抵抗を感じる人もおられます。そのような場合には、まず漢方薬で体調を整えてみるのも良いと思います。

    話は変わりますが、循環器の分野ではEBM(統計学的事実に基づく医療)が非常に盛んで、大規模臨床試験の結果に基づく処方を行います。すると、血圧で1つ、高脂血症で1つ、尿酸で1つ、慢性心不全で2つ、胃潰瘍予防で1つと薬の数がどんどん増えていきます。しかし、それら全部を使った有効性・安全性のデータは存在しません。科学的根拠に基づいていると思っているのは、単なる自己満足、あるいはガイドラインに従っているという安心感を求めているだけかもしれません。心療内科や漢方内科はそのようなデータが少ないので、特にそういう気がしてなりません。

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