むらかみ内科クリニック

院長ブログ

BLOG

  • 糖尿病とクロム(Cr)

    先日の統合医療学会で特別講演をされた元京都大学教授で白金台東京中央メディカルクリニック理事長の白川太郎先生と会食をした時に教えてもらった話です。

    (昨日のブログで癌になりにくい生活習慣について書きましたが、これもこの先生に教えてもらったことです。とても大事な内容ですので、まだ読んでいなかったらぜひ読んでください。ハイブリッドの話の後半部分です。)

    糖尿病はクロムと関係あるそうです。確かにネットで調べると、数年前からそういう説が話題になっています。沖縄のある地域でほとんど糖尿病のないところがあるそうで、琉球大学に教授で行った先生が何故だろうと思って調べたら、その地域では非常にたくさんゴーヤを食べていることがわかったとのこと。ゴーヤの成分で何が有効なのを研究したところ、クロムではないかという結論に達したそうです。クロムはグルコース・トレランス・ファクター(GTF)という物質に必要で、インスリン抵抗性と関連しているという報告があります。

    このクロムというのは3価クロムと6価クロムがあり6価クロムは有害です。ここで糖尿病治療に関係しているクロムというのは3価の方です。日本ではクロムは食品添加物として認可されていないので、流通したサプリなどもないようです。人が生まれる時、母親からほとんど一生分のクロムをもらい、また、母乳からも補給されるそうです。食品に含まれるごくわずかなクロムは吸収が悪く、食べてもあまり取り込まれないようです。しかし、沖縄のその地域のように、相当たくさんのゴーヤを摂取することで糖尿病にならないのだったら、私たちも何らかの方法で食事を見直せばいいと思います。

    調べてみると、ゴーヤの他にクロムを含む食品としては、玄米、アーモンド、ピスタッチオ、ビール酵母などです。ということは、種やナッツ類で渋皮の部分に多く含まれているのではないかというふうに思われます。私は玄米食で、毎日ミックスナッツ(主にアーモンド)をたくさん食べます。ビール酵母(エビオス)はランニングした時にビタミンとミネラル補給に飲んでいましたが、そこににクロムも入っているのです。

    研究者はこのクロムを安全でしかも効率よく吸収される医薬品を考えています。そのうち実際に発売されるかもしれません。糖尿病の人は体内のクロム量が正常の半分くらいに減っているそうなので、うまく補給できれば、人生の後半(中年以降)の糖尿病はこれで心配なくなるわけです。しかし、薬品として補給するときには副作用を考えないといけないので、やはり私たちが安全にできるのは日々の食事を玄米に変えることと、ナッツやエビオスをとることです。簡単じゃないですか。何も特別なことはありませんね。今日からでも実践できます。

    thumb_img_0740_1024