むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 日照不足と鬱の関係

    梅雨の中休みで晴れましたね。日が差すと蒸し暑いですが、明るい日を浴びると気分も晴れます。太陽と鬱に関連があることは昔から知られています。例えば北欧の人たちは長くて暗い冬に鬱になりやすく、すこしでも晴れてくると公園で裸になって日を浴びる習慣があります。私も、鬱の患者さんには、早起きして朝日を浴びながら散歩するように勧めます。これは鬱の改善に非常に効果的です。最近ではその理屈もわかっています。朝日の眩しい光が目に入ることで脳(松果体)が刺激され、体内時計がリセットされます。朝、目に光が入った時間から換算して14−15時間たつとメラトニンという眠気が来る脳内物質が増える仕組みになっています。そのメラトニンが生成される1つ手前がセロトニンといい、気分を安定させる大事な脳内ホルモンです。

    うつの治療薬はセロトニンを増やす薬なので、強制的にセロトニンが増えることで不安が減り、沈んだ気分がもとに戻ってくるのですが、おなじことが太陽の光刺激で起こるのです。ただ、セロトニンを増やすにはその材料となるトリプトファンの摂取が必須となります。トリプトファンはタンパク質をとればいいのですが、おすすめは卵、肉、魚など。あるいはプロテインを飲むのもいいでしょう。

    トリプトファン⇒セロトニン⇒メラトニンへと代謝されるには、鉄、ビタミンB6、ビタミンB3(ナイアシン)も必要となるので、患者さんにはビタミン剤やサプリをお勧めします。食品から取るなら肉魚野菜などをとにかくたくさん食べること、炭水化物やお酒などを減らすことです。セロトニンが不足すると鬱や不安、パニックを起こしますが、結果的にセロトニンの次のメラトニンも不足するので不眠が出てきます。こういう場合、眠れないのを眠剤をつかって眠るよりセロトニンを増やす抗うつ剤を使ったほうが理にかなっています。そのほうが自然な眠りに近いと思われます。