むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • セファランチンの効果

    戸島のぶぶたんの湯が8月最後でついに閉館となります。そこで、入り納めに行ってきました。同じように考える人も多いみたいで、今までで一番の賑わいでした。毎日このくらいくれば閉館しないで済んだだろうにと残念ですが、設備の老朽化や熊本地震の被害もあり、維持費がかさんだのだろうと思います。クリニックから近い温泉施設がまた一つなくなってしまいました。残念。

    さて、昨日往診した老人ホーム入居者さんでコロナにかかってしまったお二人を今日も見ましたが、元気になっていました。最近のコロナはあまり重症化しないので心配しないのですが、さすがに高齢者がかかると体力を落として全身状態が悪化してしまうことがあります。最近、私が処方するときは、高熱で体力が落ちてしまいそうな場合ステロイドを早期に処方して強力に炎症を治める治療をしています。この方が圧倒的に経過が良いみたいです。若い人はそれほど心配ないので、ステロイドを使うのは稀です。

    一方、若い世代でも喉の炎症がひどくて水も飲めない、みたいな場合、セファランチンを使っています。セファランチンはツヅラフジという生薬から抽出したアルカロイドで強力な抗炎症効果があります。保険適応は円形脱毛症などですが、マムシに噛まれたときにも使うくらい炎症を抑える効果が強く、しかも副作用が少ないのです。私は大学院時代セファランチンの研究をした時期があり、その薬理作用に関しては英文の論文になっています。皮膚科の先生たちは円形脱毛に使うと思いますがそれ以外の科ではめったに使わないので皆さん使い方がわからないと思いますが、すごく安くていい薬です。参考文献:K Murakami et al: Am J Resp Crit Care Med 2000; 161:157-63 (https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10619798/)

    ピザハット健軍店

  • 辛い(つらい)猛暑に辛い(からい)カレー

    また台風が九州に接近、と思っていたら、少し西にそれそうです。このまま行ってくれれば良いのですが、風神様にお願いするしかありません。それにしても連日猛暑が続きます。毎日35Cを超えます。この暑さの中コロナにかかる人もいまだに多く、相当辛そうです。私の訪問診療している患者さんも今日は二人コロナ陽性が判明し、仕事が終わったあと往診しました。一人は元気でしたが、コロナにかかった精神的ショックが大きいみたいでした。もう一人はかなりぐったりされていました。

    その往診で水前寺の老人ホームに行ったのですが、この施設のすぐとなりにいつも混んでいる食堂があり、以前から気になっていました。あんなにいつも人が来るということは、よほど美味しいのだろう。しかし、そこに行くときはいつも私は訪問診療中で食堂の前を通り過ぎるしかありませんでした。今日はちょうど仕事帰りの往診だったので、その後の用事もなくついにその食堂で食べるチャンスがきました。小さな食堂ですが、どのテーブルにもお客さんがいます。私はカウンターに座ってメニューの一番上のホルモン定食を食べてみました。ザ・おふくろの味という感じです。600円と格安で大満足の味でした。

    話は変わって、先日イオンの中をブラブラしていたら、カレールーのコーナーに吸い込まれていき、ふと目に入ったのがSBゴールデンカレーの「バリ辛」というもの。これぞ辛いもの好きの私が求めていたものだと思い、早速買って帰り、シンプルにナスのカレーを作って食べてみました。スパイシー!辛味がきいて私好みのルーでした。暑い日に辛いカレーは最高。

     

  • 足がつった!

    昨日の夜、久しぶりに足がつりました。昨日はジムで5キロ走って、その後サウナでもたっぷり汗を流して、帰宅後水分補給はしたのですが、足りなかったのかもしれません。昨夜私の足がつった原因を分析すると、今書いたように過度の運動、脱水、ミネラルの喪失(発汗)、寝るときに足を出して寝る+エアコンの風が足に当たって足が冷えた、などが考えられます。つまり、一つの理由ではないのです。対策としても、水分補給、ミネラル補給、エアコンの風が当たらないようにする、などいろいろあります。

    偶然ですが、今日は何人も足がつるので漢方がほしいと言って来られました。皆さんに芍薬甘草湯という特効薬を処方するのですが、それで終わりではありません。芍薬甘草湯はとりあえず足の筋痙攣を止めてくれるだけで、あくまで対症療法です。体質改善で足がつらなくするにはもっと根本に迫らないといけません。ミネラル不足なら、ナトリウム(塩)、マグネシウム(にがり)などが重要です。スポーツドリンクにも多少のミネラルが入っていますが、十分ではありませんので、にがりを毎日小さじ1杯程度お茶などに混ぜて飲むか、エプソムソルトというマグネシウムの入浴剤をつかうか、あるいはマグネシウムオイルというマッサージオイル(スポーツ用品店に売ってあります)でふくらはぎをマッサージするかです。

    冷え性の人や足の血流が悪いのが足がつる原因であれば、血行改善のために当帰芍薬散(加附子)や十全大補湯(加附子)あるいは当帰四逆加呉茱萸生姜湯などを用いることで足のつる体質が改善します。このように個々の体質に応じた漢方があるのに芍薬甘草湯が効くからと連日使うと、高血圧、浮腫、低カリウム血症(偽アルドステロン症)という副作用が出てくるので注意しましょう。漢方にも結構副作用があるんですよ!

  • 笑う門には福来たる

    せっかくの日曜ですが、私は院内ワックス清掃のため出勤して終わるまで待機していました。いつもこのワックスがけの時間は日頃できない雑用をすることにしているのですが、今日は来月講演を頼まれているスライドの仕上げと、領収書などの帳簿つけがノルマでした。朝から取り組んで、昼過ぎにはだいたい終わりました。あとは、日曜日にオンラインで開催される勉強会に参加しました。今日は笑いヨガの効果についての話。お笑い番組などを見ると免疫が上がるというのは周知の事実ですが、外国のグループが、それを実践するためみんなで集まって冗談などを言い合って大笑いする会を作ったそうです。しかし、しばらくするうち、ネタが尽きてしまったとのこと。それでは、面白いこと抜きでとにかくワッハッハッハと笑ってみようということで、たまたま参加者の一人がヨガの専門家だったため、笑いヨガを開発したそうです。結果、医学的な指標を測定してみたところ、お笑い芸人などで笑うのより、何も面白いことがなくても笑いヨガをしたほうが効果的だったとのこと。

    つまり、面白いから笑うのではなく、笑うから良いことがあるというわけです。昔から「笑う門には福来る」といいます。福がきたから笑うのだと思っている人は順番を間違っています。笑うほうが先なのです。同じことは世の中たくさんあります。受験でお参りするときは大学に合格しますように、ではなく、「おかげさまで合格しました。ありがとうございます」というふうにお参りするのです。これを「予祝」といいます。出来事が成就する前にお礼を言ってしまうのです。まるで甥っ子が、「おじちゃん、お年玉ありがとう」ともらう前から言われるようなもので、そう言われたらあげない訳にはいかない。神様も同じ、というわけです。

    若いときは箸が転げてもおかしい、と言いますが、年をとると笑いが少なくなるそうです。特に配偶者と死別して一人になってしまうと、笑うことがなくなります。意識して笑う、楽しくなくても笑顔を作る。作り笑いでOKなのです。でも、やっぱり誰かと話すと自然と笑いもでます。趣味のサークルなどはいくつになっても参加できるので、家に引きこもらず思い切って参加してみましょう。

  • 薬価引き下げで製薬メーカー苦難

    小学校時代からの友人で、毎年1回は一緒に飲みに行く友達がいるのですが、コロナで中断しており、4年ぶりの再会となりました。みんな元気で全然変わっていない。久しぶりに楽しい時間を過ごしました。4年ぶりといえば、江津湖の花火大会が4年ぶりに開催されましたね。昼頃は雷がなって雨が降ってきましたが、すぐに止んで、無事開催できました。電車通りは花火を見に行く人達の長蛇の列で、ほとんど電車には乗れなさそうでした。元気な人は歩いていましたが、浴衣姿の女性もたくさん見かけました。夏最後の週末にいい思い出となったのではないでしょうか。

    昨日のブロクで当院では漢方をたくさん使っているという話を書きましたが、使っているメーカーはツムラ以外にクラシエ、小太郎、オースギ、JPS、三和生薬などいろいろなところのを使っています。どれも同じかというと、実は違います。漢方は西洋薬と違い、ジェネリックというものがありません。先発メーカーは小太郎なのですが、他メーカーも全部先発と同じです。ジェネリックは特許切れで安く製造できるのですが、漢方のレシピは2000年ぐらい前の書物を参考に各メーカーが工夫をこらして作っています。長い歴史の中でレシピの解釈なども変遷しており、製剤化するときに使う生薬の種類やグラム数などがメーカーごとに異なっています。また、材料となる生薬の産地も中国の1級品からグレードの低いもの、あるいは国産で栽培しているものなど様々です。良い生薬を使うと効果の良い漢方ができますが、昨今中国の物価がどんどん上がっており、逆に厚労省は薬価を年々引き下げるため、逆ざやになっているものも多数あります。

    最近、西洋薬のジェネリック医薬品がどんどん欠品したり生産中止になっており、とても困っています。これも、厚労省がジェネリックを推奨しているにも関わらず、極端に薬価を下げているため採算われして製造中止などもあるようです。漢方メーカーも苦しいところですが、なんとか頑張っていただきたいと思います。

    サクラマチ