むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 睡眠時無呼吸

    毎日2−3のWEB講演会があります。私は仕事の後急いで家に帰ってiPadやアンドロイドタブレットを3つ並べてそれぞれ講演会にアクセスします。今日は中央病院主催の糖尿病の勉強会だったのですが、講演のテーマは睡眠時無呼吸でした。睡眠時無呼吸は寝ているときにいびきがひどく、気がつくと1分ほど呼吸が止まる、そして、ハーハーと大きな息をして低酸素状態から回復する、を繰り返す病気です。熟睡できないため昼間に眠気が襲います。交差点で信号停車中に寝てしまう人や、居眠り運転で交差点などに突っ込む人も無呼吸の可能性が高いと言われています。無呼吸があると、通常の人の7倍交通事故が多いそうです。また、高血圧、糖尿病、心疾患などを合併する率も2倍以上になるとのことです。無呼吸は侮れません。

    ご自分やご家族が睡眠時無呼吸かもと思ったら、ご相談ください。睡眠をモニターする機械を1−2泊貸し出します。寝るときに酸素の具合や呼吸状態を記録して無呼吸回数やその時の酸素飽和度などを詳しく解析します。無呼吸が多い場合、CPAPという簡単な呼吸の補助器具を貸し出します。保険適応です。無呼吸回数がさほどひどくない場合、歯科にたのんでマウスピースを作り、無呼吸にならないように工夫してもらう手があります。

    睡眠時無呼吸の場合、日中眠くなりますが、無呼吸がないのに日中眠くて仕方ないという嗜眠症もあります。会社でもすぐ寝てしまう。学生さんなら寝てしまうため授業を聞けない。いろんな不都合が出るのですが、最近、漢方でうまく治せた嗜眠症が何例かありました。漢方を使わない場合、医療用覚醒剤で目を覚まさせる方法があるのですが、さすがにそんな治療は抵抗がありますね。

  • 物忘れあれこれ

    いよいよ7月です。そして、九州北部はやっと実質上の梅雨入りです。こんなに遅いのは珍しいですね。学校は夏休み前の試験のシーズンです。試験で思い出しましたが、塾に通っていると、学校よりずっと先の方まで習っていて、頭の中は新しいことでいっぱいなのに、学校の試験は塾で何ヶ月も前にやった内容。とっくに忘れている、みたいなことがあって、塾の功罪だなーと思っていました。新しいことを勉強するのはいつもワクワクして楽しいですが、復習は面白くないですね。しかし、同じことを何度も復習しないと記憶は定着しないので、復習こそが大切な勉強だと思います。

    高齢者の記憶が悪いのは不思議とさっき言ったことを覚えていない。逆に50年以上前の出来事は鮮明に思い出す。短期記憶の障害といいます。今朝なにを食べたか思い出さない、昼ごはんを食べたかどうか思い出さないので「ご飯はまだか」とお嫁さんを困らせる。買い物にいって、昨日ケチャップを買ったのに、覚えていなくて今日またケチャップを買ってくる。こんな症状が出てきたら認知症が始まっている可能性が高いです。

    一方、若い世代で、職場のストレスや仕事が忙しすぎて睡眠不足が続いているような場合、記憶があやふやになりがちです。上司に、「あれやっといて」と言われて「はい」と返事をしたのに忘れている。「はい」と返事したのも思い出せない。これは認知症ではありません。頭が飽和してしまっているので、こういうときは現場から一旦離れて休養を取ると復活します。私の場合、このような患者さんにはよく抑肝散と四物湯を出します。頭を休めて、脳に栄養を入れるイメージです。

  • お酒の力で寝るのはよくない

    今年は梅雨入りが早かったですが、その後ほとんど雨が降らずカラ梅雨ですね。こういう年は梅雨の最後の方で大雨が降ったりするので、去年の球磨川みたいな豪雨災害にならないといいけど、と思っています。今のうちから7月の豪雨に備えて警戒したほうがよさそうです。

    私は今までほとんど毎日お酒を飲んでいましたが、最近はめっきり飲む回数が減りました。その理由は特にはないのですがYouTubeを見ていて中田敦彦がお酒をやめたと言っていたのを聞いたのが1つのきっかけです。最初はお酒を飲まないと眠れない気がしましたが、2ー 3日経つと慣れてしまってお酒など飲まなくてもぐっすり眠れます。アルコールで寝ると3時間ぐらい経ってアルコールが切れた時に目が覚めると言われます。お酒が入っていると睡眠が浅くなるそうなので、飲まずに寝た方が疲れが取れて翌日元気に働けるようです。時々患者さんで睡眠薬がわりに寝酒を飲むと言う方がおられますがどちらかと言うと睡眠薬よりお酒の方が体に悪いと思われます。アルコールは依存性もあるし肝臓にも悪いので、少量の睡眠薬の方がむしろ体にとって害が少ないようです。

    睡眠薬と言えば最近色々と新しいタイプの睡眠薬が出てきて、依存や副作用も少ないですから、できるだけ新しい薬に切り替えた方がいいのではないかと思います。時々、漢方薬で眠れるようにできませんかと言う相談があります。軽い不眠だと漢方でも眠れる場合がありますが、通常の睡眠薬を飲んでも眠れないと言う場合は漢方薬に置き換えるのは難しいと思います

    今日はタリーズでコーヒーを飲みながらブログを音声入力しました。
  • 高齢者にガイドライン通りの治療は必要なのか?

    毎日コロナワクチンを打っています。かかりつけの患者さんが多いですが、なかにはよそのクリニックがかかりつけで、たまたま当院で予約が取れたという人も来られます。料亭なら一見(いちげん)さんですが、もちろん断ることはありません。そういう患者さんとお話をしていて、時には面白い話を聞きます。とあるクリニックがかかりつけの90歳くらいのおばあちゃんの話。80歳ごろまで血圧やコレステロールの薬をもらっていたけど、主治医の先生が、もうこの年になったら治療は必要ないと言われ、薬は全部やめました、至って健康です。とのこと。10年くらい前の私は、ガイドラインに縛られてこういうことは常識はずれだと思っていた時期もありましたが、今考えると、とても優しい先生なのではないかと思います。

    コレステロールは動脈硬化が進むから下げたほうがいいというのが通説ですが、80過ぎて下げる意味があるかと言われれば、殆どないと思います。ただし、もし脳梗塞や狭心症などの既往があれば、下げたほうがいいのは間違いありません。血糖もそうです。若いときにヘモグロビンA1cをとにかく下げろと口やかましく言われ続けた患者さんは、80過ぎたからもう血糖コントロールもだいたいでいいと言われたら、まず納得されません。しかし、下げすぎるのはかえって心血管リスクが上がりますから、程々がいいのです。

    アリセプトなどの認知症の薬も、物忘れが出てきたから飲みたいと言う人(本人より家族からの希望)が多いですが、ほとんど効果はありません。かえって、性格が凶暴になったりしますから、薬を切るという選択が有効な場合もあります。ガイドライン的には血圧も血糖(A1c)も、コレステロールも、いくつ以下に下げましょうと言われますが、80すぎの高齢者にはどのくらいその指針に意味があるのか、よく考え直さないといけないとおもいます。

  • 汗にもいろいろあります

    蔓延防止がおわって、街には活気が戻ってきています。車の交通量もだいぶ戻っています。土曜の午後、久しぶりに渋滞をみました。そういえば、以前はこのくらい道が混んでいたよなーと懐かしく思えました。これからしばらくは感染者数もへって、経済活動も活発になり、明るく楽しい夏が来そうです。これは去年の夏もそうだったので、たぶん大丈夫と思います。問題はその後です。秋ごろから次の波が来ればまた自粛の冬が来るかもしれません。まあ、先の悪い予感は信じずに、しばらく続きそうなハッピーな夏を満喫したいとおもいます。

    涼しい室内に引きこもっていると、毛穴がふさがって汗が出ない体質になります。これから、ワクチンも効果が出てみんなが外に出始めるとき、相当暑いと思われますが、体が夏に対応できていないと熱中症になります。今のうちから汗をかく練習をしたほうが良さそうです。スポーツをする人は問題ありません。仕事でオフィスにこもっている人や在宅などで家から出ないという人は要注意。温泉や家庭のお風呂でもいいのでしっかり温まって汗をかきましょう。

    汗について少し解説すると、暑くてかく汗は生理的なもの、あたりまえ。緊張してかく汗は交感神経。安定剤や漢方である程度抑えられます。人によって頭から滝のように汗が出たり手のひらがベタベタになる人、ワキ汗がひどい人などいろいろあります。寝ていて汗をかく人(寝汗、盗汗)、これは体力低下を意味します。そして、冷や汗。上司に怒られたり、失敗をやらかしたときのもの。もう一つ、更年期のホットフラッシュ。涼しいはずなのに自分だけ暑くて汗が吹き出す。このように発汗にもいろいろあり、漢方ではそれぞれに対応した治療法を考えます。

    鶴屋東館7F 工芸展 入場無料です