むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • ぷち糖質ダイエット

    私はこのブログで糖質制限(炭水化物ダイエット)をしきりに勧めていますが、どのくらい真剣に制限するかという問題があります。私の立場としては、プチ糖質制限です。世の中にはケトン体ダイエットと言って、極端に糖質制限して、血中にケトン体が出てくるまで頑張るという情報が溢れています。読んでみると、皆さんお元気そうで、糖尿病もケトン体で克服したみたいな話が沢山あります。それは、案外本当だろうと思うので、別に反対することはありません。しかし、私がここで皆さんに推奨するのは、そこまでハードなものではありません、いわばプチ糖質ダイエットです。

    極端な糖質制限では、毎日ひたすら肉食にこだわり、お皿に添えてある人参やコーンも糖質が多いから食べないという徹底ぶりです。私が思う糖質制限は、そこまでは必要ないと思います。簡単にいえば、ご飯、パン、麺を食べないか、減らす努力をする。それだけです。ご飯を食べなかった分は、肉、野菜、魚、チーズなどで栄養をつけます。

    むかし小学校の頃、給食当番は献立から食材を「熱やエネルギーになるもの」「血や肉になるもの」「体の調子を整えるもの」と分類して、給食開始前に発表していました。炭水化物は熱やエネルギーになりますが、血や肉になりません。スポーツ選手でなくても、血や肉となるタンパク質が必要です。年をとると筋力低下で転んだり活動性が低下します。「熱やエネルギー」より「血や肉となるもの」がもっと必要なのです。

    寒い毎日ですが、朝はかなり明るくなって来ました。春はもうすぐです。クリニックから見た朝焼けです。

  • 血管を若返らせる食品

    昨日は血管を若返らせるためにはタオル握りが効果的という話を書きました。その他何かないかといえば、食べ物で若返らせる方法もあります。ちょうど今週の「たけしの家庭の医学」を見ていたらその答えがありました。ご覧になりましたか?この番組はとてもためになるのですが、時間が長く、話題となる疾患が4つほどあるので、全部見ていると、最初の方で言っていたことを忘れてしまいます。

    キーワードは亜鉛です。血管を若く保つためには亜鉛が重要だそうですが、日本人は亜鉛の摂取量が足りていないとのことです。亜鉛を多く含む食材は「牡蠣、チーズ、肉、カニ」などだそうです。そうかと言って、毎日カニやカキを食べるのは難しいので、番組ではかんたんに亜鉛を摂るコツを紹介していました。まず、卵料理(卵1個で亜鉛が0.84mg)、次に粉チーズ(パルメザン:大さじ2杯で卵1個分)、そしてごま(100gあたり5.9mg)だそうです。被験者に卵と粉チーズとごまをふんだんに食べてもらった結果、1週間で血管年齢が若返ったと紹介されました。

    こういった食材を、最近ではMEC食と呼びます。Mはミート(肉)、Eはエッグ(卵)、Cはチーズです。肉、卵、チーズをもっと食事に取り入れて、その分炭水化物を減らしましょう。炭水化物は消化されると糖になるため、血糖値が上がります。糖がタンパク質と結合すると糖化蛋白と言いますが、これこそ老化の超悪玉なのです。

    増上寺

  • 血管を若返らせる

    最近は血管の老化が話題になっています。当院でも血管年齢を測ることができます。皆さん、自分の血管がどのくらいの若さかご存じですか。高血圧や高コレステロール血症、糖尿病などがあれば結構高くなります。60歳の人で血管年齢90歳など、ざらです。興味ある方は、診察時にご相談ください。

    さて、そのような血管年齢ですが、高かったときにどうするか。そのままにしておくと、心筋梗塞や脳梗塞など重大な血管病変を起こすリスクが高いため、何らかの対策を必要とします。まず必ずしないといけないのは、血圧、コレステロール、血糖の厳重な管理です。これは必須です。しかし、薬を使うほどではない程度の高めで食事や運動を気をつけましょうと言われた場合、困ってしまいます。何をどうしたらいいのでしょうか。減塩、油ものを控える、1日30分程度のウォーキング、とは耳にタコができるほど聞いていることでしょう。それはわかっているけどできていない。そこでどうするか。NHKのためしてガッテンではタオルを握れば血圧が下がると言っています。当院通院患者さんでそれを実践してたしかに下がったと言うことでしたので、試さない手はありません。(下をクリックすると動画へ飛びます)

    https://www.nhk.or.jp/ten5/articles/17/002407.html

    この簡単な体操で血圧が下がる(血管が若返る)メカニズムは血管内皮細胞から一酸化窒素(NO:エヌオー)が出てくるからだと言われています。NOは血管拡張物質です。私は留学中NOを専門に研究していました。NOはアルギニンというアミノ酸から産生されます。ある日思いつきで研究室にいた日本人とアメリカ人の血液中のアルギニン値を測定したところ、日本人は明らかにアルギニンが低かったのです。理由はおそらくタンパク質の摂取不足です。日本人は米と野菜を多く食べ、肉が少ない。結果、アルギニンが足りず一酸化窒素も低くなります。血管年齢を若返らせる運動(ウォーキングでもタオル握りでもよい)をする際には、十分な蛋白摂取が必要なのです。私もアメリカにいた頃は木金土日と週4日はバーベキューをしていました!

    増上寺 徳川家霊廟

  • 美肌にはセラミド

    最近は化粧品の成分にセラミドを配合したものが多数見られます。みなさんも、手元にお持ちかもしれません。セラミドというのは肌の保湿成分の代表です。潤いのもとになっています。したがって、それを補うことで肌がしっとりすると考えるわけです。しかし、化粧水などの水分はどんなに塗っても肌から体には入りません。入らないように皮膚のバリアがあるからです。やたらと外から水分を与えてそのままにしておくと、革製品を濡れたまま放置したのと同じでカピカピになります。大切な革のバッグやグローブなど濡れたままにすることはないでしょう。濡らしたままはいけません。そこで大事なのはセラミドですが、残念ながら、セラミドも外から皮膚に塗りつけても体に入っていくことはありません。

    私が数日前から乾燥肌で痒かったのが治った話を書きました。ここで、セラミドは重要な鍵となっています。じつは、ビタミン剤でセラミドの合成を増やすことができるのです。その大切な役割を担っているのは、ビオチン(ビタミンB7)とナイアシン(ビタミンB3)です。さらに、ビオチンというビタミンは食事で取ることができるのですが、その吸収を邪魔する悪玉の腸内細菌がいるそうです。しかし、その悪玉菌を宮入菌(ミヤBM)という整腸剤で除去することでビオチンの吸収を良くすることができるということがしられています。また、美肌に大切なコラーゲンのことも先日書きました。コラーゲンは経口摂取することで消化吸収されます。一旦アミノ酸まで消化されたあと、ビタミンCの働きでコラーゲンに再構築されます。(コラーゲンも化粧品で塗っただけでは皮膚には入りません)

    以上をまとめると、体の内側から美肌をめざすにはビタミンC、コラーゲン、ビオチン、ナイアシンを十分量取ること。できればミヤBMを併用することが大切です。通常市販されているマルチビタミンはB1,B2,B6,B12です。ここにはビオチン、ナイアシンが入っていませんので、成分をよく見て買ってください。そして、乾燥性皮膚炎などの肌のコンディションを改善するには高用量を要しますので、市販薬では不十分です。処方してもらったほうがいいと思います。当院では、看護師さんたちがその美貌をずっとキープしてくれるようにこれらのビタミンを自由にとれるように常備しています。

    増上寺

  • 風邪にはビタミンC

    この2-3日風邪気味でしたが、回復しました。ビタミンCを毎日3000mg、ビタミンEを400IUその他いろいろ取りましたが、ビタミンCのおかげかと思っています。ビタミンCは活性酸素を消去し抗炎症作用を発揮します。炎症の強さに応じて必要なだけのビタミンCを取ればいいのですが、私の飲んでいるDHCのビタミンCには1カプセルにレモン33個分と書いてありますから、とても食品て摂取できる量ではありません。サプリに頼る他ありません。ビタミンEはCと共同して働きます。ビタミンCが活性酸素を消去する際にビタミンC自身が酸化されてしまうのですが、ビタミンEはそれをもう一度元の姿に戻してくれるのです。

    話は変わって尿酸をご存知ですか。痛風を起こすと尿酸値をはかり、高ければこれが原因だと言われるアレです。お酒を飲みすぎたり肉料理を食べ過ぎたりすると尿酸が上がります。痛風が贅沢病と言われる所以です。しかし、なんとこの尿酸にはビタミンCより強力な抗酸化作用があると言われています。痛風の発作では関節でとんでもない炎症をおこすのに尿酸には抗酸化作用があるとは不思議なものです。おそらく関節腔内で結晶化するといけないのでしょうが、血液中で流れているとビタミンCに似た働きをするのでしょう。

    そのことを知って以来、私は尿酸を下げる薬を使う際には尿酸を下げすぎないように気をつけています。悪い尿酸は下げれば下げるほどよいと思いこんでいますが、それは間違いです。体にあるものはそれなりに必要性があり、下げ過ぎはいけません。コレステロールもしかりです。

    手前は増上寺(徳川家のお寺)、向こうに東京スカイツリー