むらかみ内科クリニック

院長ブログ

BLOG

  • 基礎医学が基本

    医学部は6年あります。通常の大学より2年長くなっています。何を勉強するかご存知ですか?最初は通常の大学生と同じで教養というのがあり、英語や数学を習います。いま思い返しても、大学の数学などなんの役にも立っていません。難しすぎて、ほとんど哲学でした。その後、医学の勉強が始まるのですが、基礎医学、臨床医学、臨床実習という段階に分かれています。基礎医学では、解剖学に始まり、生理学、生化学、薬理学といった基本を習います。その後、内科、外科、小児科など各科の疾患と治療について勉強し、最後に大学病院での実習があるのです。

    いま私の臨床を支えているのは基礎医学です。なかでも生理、生化、薬理がもっとも役に立っています。例えば、血圧の治療薬はすごい数ありますが、どの薬がどんな風に良い、悪いというのは製薬会社のパンフレットではわかりません。いいことしか書いてないからです。しかし、基礎医学の知識があれば当然薬の優劣が見えて来ます。製薬会社の宣伝でとても優れた薬剤の様に見えても、使ってみると旧薬の方がよほど優れていたということはざらにあります。しかし、製薬メーカーは繰り返しいいところを強調するため、次第に洗脳されて来ます。私たちがこの洗脳から逃れ、自分で優劣を判断できるためには、基礎医学の知識しかないと思います。

    当院は、循環器内科を専門としているため、高血圧患者さんなど多数来院されますが、結構な割合で前医の処方を私の判断で変えさせていただくことがあります。しばらくすると、患者さんからは薬が減ったのに今までにないほど血圧が安定して来ました、と喜ばれます。この様な臨床のコツというのは、基礎医学あってこそのものだと思います。