むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 糖質制限で頭痛が治ったそうです

    訪問診療で嘉島方面を通りましたが、田んぼの水も引いていました。一安心です。この週末もひどい雨はないようです。今年は梅雨入りが遅くなりましたが、太平洋高気圧が弱いため、梅雨前線を北上させる力がありません。そのため、梅雨明けも遅れて7月下旬までダラダラと雨が降りそうです。梅雨後半は豪雨になりやすいため、今後も油断はできません。週末晴れているうちに洗濯をしたり雨樋(とい)の掃除をしたり有意義に過ごしたいものです。

    当院にかかっている患者さんの多くに、炭水化物を制限しましょう、タンパク質をしっかり取りましょうと栄養指導をしています。それぞれの不調が何であれ、栄養の基本は同じです。それだけ日本人の食事は糖質(炭水化物)が多すぎてタンパク質が少なすぎるのです。和食は健康と思いこんでいる人が多いですが、今のようにご飯(お米)を沢山食べるようになったのは昭和の戦後の話です。まだ100年もたっていません。私達の体は何万年もかかって進化してきましたが、100年未満の変化には遺伝子的にも対応できていません。それが、糖尿病をはじめいろいろな体調不良の原因となっています。コメだけでなく、パンや麺類も同じく注意です。

    このような私の栄養指導を忠実に守っていくれる患者さんやそのご家族から、体調が良くなったと報告を受けると嬉しい限りです。先日は、ずっと治らなかった慢性頭痛が糖質制限で治ったと報告を受けました。薬に頼らないで体質から治すのは本道です。時間がある限り食事や栄養の説明をするようにしていますが、あとは聞いたことを実践するかどうかはご本人にかかっています。

     

  • 日頃の逆をしてみる

    鹿児島に神田橋先生という高名な方がおられます。精神科の先生ですが、漢方にも詳しく、最近「心身養生のコツ」という本を出版されました。これまでの臨床経験の集大成的なものです。読み始めたら、とても面白く、引き込まれました。とても奥が深くて難しいので、何度も読み返さないと理解できないかもしれませんが、表面的にでもわかったような気がして、部分的にですが、印象的だったところを紹介したいと思います。

    自然治癒力を借りた養生法です。著作権もあると思うので詳しくはかきませんが、私が理解したのは、通常の逆のことをすると歪みが取れるということです。たとえば仕事で座ってばかりいる人は週末歩いたり走ったり運動をする。日頃冷房のきいた寒い部屋にいる人は週末暑いサウナで汗を流す。パソコン作業で前かがみ(猫背)になっている人は、後ろにそってみる。テニスで右手ばかり使う人は左手で素振りしてみる、という具合です。

    他にも、日頃食べすぎている人は週末にプチ断食をする、日頃家庭や仕事に縛られてストレスがたまっている人は週末ふらっと外出する。この外出を神田橋先生は「週末蒸発」とよんでいます。面白いネーミングです。昔はよくどこかの奥さんが蒸発したとか言っていましたが、最近は死語に近いですね。考えてみたら、蒸発しても携帯が通じるので、「あんたいまどこ?」と電話すれば居所がつかめるからでしょう。それにしても、週末携帯を切って鈍行列車かなにかでふらっとたびに出るなんてたしかにストレス解消にはもってこいかも知れませんね。

  • 雨の日頭痛

    テレビのCMを見ていたら雨の日頭痛にロキソニンSと言っていました。そうです。雨の日や雨が降りそうになる前に頭痛がする人はたくさんいます。若い女性では生理前に頭痛がするというのも似た病態です。たいていは、CMの通りロキソニンやイブなど鎮痛剤を飲んで過ごすことでしょう。しかし、梅雨の時期は雨が続くため頭痛持ちの人はきつい季節です。鎮痛剤を連用すると胃も悪くなるし、腎臓にもよくありません。できるだけ鎮痛剤を使わない工夫が必要です。

    おそらくこのような頭痛持ちの人は気圧の変化や湿度の変化を敏感に感じ取る体質です。体質ですから、簡単にはなおりません。鎮痛剤で症状だけとってもきりがありませんから、漢方で体質改善をすることをお勧めします。まず、単純な雨の日頭痛には五苓散が効きます。冷えて痛む場合は呉茱萸湯、生理前にも頭痛がする場合当帰芍薬散などがファーストチョイスとなります。飲んでいるうちに頭痛の回数が減ってくるので、鎮痛剤を減らすことができます。

    厄介なのは薬物乱用性頭痛です。鎮痛剤の使い過ぎ(ほぼ毎日飲むような人)では鎮痛剤を飲めば痛みが取れるのですが、薬が切れてくると痛みが出ます。そこで次の薬を飲まないとやっていられないという悪循環に陥ります。このような薬物乱用頭痛は抑肝散がよく効きます。抑肝散を朝晩飲んでもらうと、気が付けば鎮痛剤をあまりいらなくなったといわれます。西洋医学的には、ひたすら鎮痛剤を我慢するようにと言いますが、それはつらいことです。抑肝散があれば、そのような我慢をしなくても自然と薬物乱用から解放されます。

  • COPDは禁煙が絶対必要

    熊本市民病院は地震で大きく被災して現在建て替え中です。新しい病院は健軍自衛隊の横の敷地で当院からはかなり近くなります。毎日新病院前を通るのですが、かなり出来上がった印象でした。そんな中、今日は夕方から市民病院主催の勉強会があり、もうすぐ開院の案内がありました。来週には建物の引き渡しがあるそうです。それから検査機器を入れたり備品を整えたり大忙しです。当院も規模は違いますが建物の引き渡しから開院までの1か月ちょっとは怒涛のような忙しさでした。スタッフと患者さんの動線の確認、受付から会計までのシミュレーションなど図面上で考えていたのと現実出来上がってみてやってみるのではずいぶん違います。場合によっては建設会社に手直しを頼まないといけないこともあります。また、保険所や厚生局などの許認可関連が神経を使います。市民病院は同じ東区でとても近い位置にあるため連携の面からも期待が大きいです。いい病院になってもらいたいです。

    講演会で市民病院の紹介の次に熊大の呼吸器内科の教授に就任された坂上先生の講演がありました。この教授は私より5つ以上若く、この先熊大で20年以上教室を運営される予定です。頑張ってもらいたいものです。講演の内容は「長びく咳」についての話でした。クリニックを開業していると咳が止まらないという訴えの患者さんは非常に多いです。そして、咳が止まらないために肋骨にひびが入ってしまうような人もおられます。何とか咳を止めてあげたいのですが、なかには困難を極める場合があります。今日の勉強でさらに治療成績が上がることを期待します。

    咳や息切れがひどい場合、COPDという病気かもしれません。肺気腫とも呼びます。今日の講演では、たばこをやめずにCOPDの治療はできないと断言されていました。大学病院では禁煙しなければ治療してもらえないみたいでした。COPDでは在宅酸素療法となる場合もあり、酸素ボンベを引っ張りながらタバコを吸うと火災の危険性もあるので絶対禁煙すべきです。

     

     

     

  • いよいよ梅雨入り

    例年より3週間遅れの梅雨入りとなりそうです。おかげで、素晴らしく快適な6月を過ごすことができました。湿度がない6月、夕方の気持ちいい毎日は散歩などにもってこいでした。農家の皆さんは田植えができずに困っておられたことと思います。ところで、先日NHKニュースでやっていたネタですが、とても大事なのでここに書いておこうと思います。梅雨の時期にバックや靴などが濡れないように防水スプレーをする人も多いと思います。防水スプレーは便利ですが、使い方に注意が必要です。それは、絶対に吸い込まないことです。間違っても室内で使わないように。風通しのいい外で使ってください。ベランダなどでもいいかもしれませんが、風向きによっては自分のほうへ飛んできます。これを吸ってしまったら、たいへんです。靴も、玄関のように狭い空間でスプレーしないでください。

    私は大学院からアメリカ留学中まで合計10年以上急性呼吸不全の治療を研究していました。もっぱら敗血症や重症熱傷などに伴う呼吸不全が研究テーマでしたが、防水スプレーの吸入による呼吸不全は命にかかわることがあります。肺の表面がテフロン加工されて酸素が取り込めなくなるようなものです。ご注意ください。

    吸い込んで体を壊すものといえば、たばこが筆頭格です。来月から公共の施設(役所、学校、病院など)では全面禁煙となります。法律ですから処罰の対象となります。駐車場も敷地内すべて禁煙となります。ご注意ください。最近はレストランなどでも多くが分煙ではなく全面禁煙となりつつあります。喫煙する方は、この際頑張って禁煙に取り組まれてはいかがでしょうか。

    ガクアジサイ、大好きな花です