むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • イエテボリテクニック(虫歯予防)続報

    歯磨きをしたあとに口をゆすがないと虫歯予防にとても効果的だとためしてガッテンで言っていました。3日前にブログに書いたとおりです。スエーデンで研究された方法で、イエテボリテクニックと言うそうです。イエテボリはスエーデンの地名ですが、大学があるのでそこでの研究だと思います。TV出演の歯学部の教授は口をゆすがないなんて日本人には無理だと思ったということで、啓蒙活動を断念したと言っていましたが、嘘だと思います。私は、そのTV番組を見てからこの3日間朝晩2回は歯磨き後に口をゆすがずに見ましたが、違和感があるのは最初だけです。慣れたらたいしたことないです。そして、しばらくすると歯の表面がコーティングされた感触がリアルに分かります。きっと相当効果的だと思います。

    しかし、問題なのは歯磨き粉の品質です。うがいをしないと泡を飲み込むことになりますから、できるだけ体に悪い成分が少ないものがいいに決まっています。研磨剤、発泡剤、香料、色素、防腐剤などどれも体に入れないに越したことはありません。このイエテボリテクニックでは歯磨き粉に含まれるフッ素をできるだけ高濃度に長時間歯に作用させることが目的です。それ以外のものは必要ありません。また、健康志向の強い歯磨き粉にはフッ素を含まないものがあります。事実私が職場で使っているアメリカ製の歯磨き粉はフッ素を含まないキシリトールが主成分の歯磨き粉なので、イエテボリテクニックはできません。

    そう考えると、発泡剤(ラウリル硫酸ナトリウム)などを含まず、フッ素は入っているものを探す必要があります。ネットで検索すると色々ありました。https://commonhome.info/?p=10558 。さっそく5位のConCoolという歯磨きをためしてみようと思います。歯磨き後に口をゆすがないとどうしても気持ち悪いという人は、うがいを少量の水で1回だけするといいと思います。

  • 2つの糖尿病のタイプ

    血糖が高いのはみなさん心配だと思います。血糖は膵臓から出るインスリンというホルモンで調整されています。糖尿病にはインスリンが枯渇して血糖が上がってしまうタイプと、インスリンがたくさんあるのにその効きが悪くて血糖が上がるタイプがあります。インスリンがたくさん出ているタイプはインスリン抵抗性といいます。一般的には、インスリンの少ない方は痩せ型で、インスリンが多い方は肥満型と言われていますので、見た目でだいたいどちらのタイプかは分かるのですが、それはあくまで確率の問題です。痩せていてもインスリン抵抗性のタイプの場合もあります。

    したがって、血中インスリン量を測ってみるのが一番確実です。当院では全例ではありませんが、新しく糖尿病治療を始める患者さんの場合一度は血中インスリン量を測ったりします。この結果で患者さんに最も適した治療薬を選べるのです。インスリンが足りない場合、インスリンを増やす薬が使われます。インスリン抵抗性の場合、インスリンに対する反応性を改善させる薬剤を使います。

    古い糖尿病治療薬でインスリンを増やすアマリール(グリメピリド)という薬剤がありますが、最近時々経験するのは、この薬を3mgほど使っている患者さんの場合、2ミリ、1ミリ、0.5ミリと減らしていくと血糖が改善することがあります。理屈からすると反対なのですが、これには理由があります。難しいのでかきませんが、もし大量に糖尿病治療薬を飲んでいるのに血糖コントロールが悪い場合、それを減らして改善することがあるのはおどろきです。ただし自己判断で減薬することはしないでください。まずは専門医に相談してみてください。

  • 遺伝子の理解は格段に進んだようです

    日曜は忙しい一日でした。朝からクリニックのワックスがけだったため、普通どおりに弁当持参で出勤しました。院内清掃が終わるまで部屋で待機です。学校心臓検診で判読を頼まれていた350枚の心電図に目を通し、異常がある人のリストを作りました。私が引っ掛けた心電図はもうひとりの専門医がダブルチェックをして、呼び出しをするかどうか決定されます。2次検診に呼ばれた場合、精密検査が予定されます。心電図の判読の次はレセプトです。月初めは毎月前月の診療報酬の事務作業があります。一枚一枚チェックして、使った薬、検査項目、保険病名などに間違いがないか確認します。1500枚を超えているため、目も頭も疲れ切ります。

    気晴らしにスクワットをしたり音楽を聞いたり、iPadで映画を見たりしながらなんとか1000枚まではチェックが終わりました。あとは明日にかけて仕上げます。これから1ヶ月は私が校医をしている中学校の内科検診があります。全学年の生徒の聴診をしたり背骨の曲がり(側弯)のチェックをします。

    夕方NHKで遺伝子の番組をやっていました。たまたまつけたのですが、わたしたちが学生の頃習った遺伝子の知識からは想像できないほど進歩しています。見入ってしまいました。なんと、遺伝子情報は努力で変えられるかもしれないとのことです。メタボのお父さんたちがこれから子供を作る前に週週間ダイエットに励んで、メタボの遺伝子を生まれてくる子供に遺伝しないようん頑張っているところを見ました。そんな事ができるなんて、これまでの遺伝子の常識を超えていますが、努力が遺伝子レベルでが報われるなんて、夢のようです。

     

  • 虫歯予防

    ためしてガッテンの再放送では虫歯予防の話でした。びっくりの内容だったので、紹介しておきます。厚労省の調査によると、日本人の9割以上に虫歯があるそうです。一方、虫歯予防先進国のスエーデンでは日本の3分の一以下でした。何がそんなに違うかといえば、日頃からの歯磨きと歯科衛生士によるプロケアに定期的に通っているところだそうです。

    日本でも、歯石除去などプロによるケアを受けている人は受けていますが、国民の常識というレベルではありません。歯科はたくさんありますが、土日や夕方から夜にかけて開いているところはさほどありません。わたしたちのように月曜から土曜の昼まで働いていると、受診するチャンスがありません。それから、多くの歯科が過当競争状態にあり、歯石をとってほしいのにその他のいろんな事をしようとされるので、それを断るのに困ってしまいます。ちょうど、携帯を買いにショップへ行くと、いらないオプションを山程つけられて気がつけば高額になってしまうような感じです。

    それでは、日本人も日に3度は歯磨きをしているのに虫歯が予防できていないのはどこが悪いのか?実は、スエーデンでは1:歯磨き粉は2センチほどたっぷり使うこと。2:歯磨き後は口をゆすがないこと。3:歯磨き後2時間は飲食をしないこと。この3つが日本とスエーデンの差だそうです。がってんに出演した歯科の教授は、やってみたけど日本人には無理と思った、という理由で20年前にこの方法を習ったのに普及活動を断念したと言っていました。それはあんまりな話です。まあ、虫歯が減らずに儲かってよかったですね、と皮肉を言うしかありません。私も今日から歯磨き後は口をゆすがないでみたいと思います。(理由は、歯磨き粉に含まれるフッ素を高濃度で長時間歯に作用させることが虫歯予防になるからだそうです)

     

  • 二次性高血圧

    若いのに相当血圧が高くなってしまう人がいます。通常高血圧は年をとるに連れ上がってくるものですが、若くて血圧が高い人はなにか普通とは違った理由があるに違いありません。その理由の一つが血圧を上げるホルモンの異常です。二次性高血圧と呼びます。血圧に関連するホルモンはいろいろあります。レニン、アルドステロン、カテコラミンというのが代表的なものです。当院では、45歳以下くらいの若い人の高血圧あるいは治療抵抗性の難治性高血圧の場合、こういったホルモンの異常を疑って検査します。検査は、採血によるレニンやアルドステロンの測定ですので、特に大変なことはありません。

    結果が帰ってくるまで1週間程かかります。最も多く見受けられるのがレニンが低くアルドステロンが高いパタンです。原発性アルドステロン症の疑いとなります。重症の場合、アルドステロンが分泌されている場所を探さないといけませんが、腎臓の上にある副腎がその場所であるため、MRIなどをつかって腫瘍性に腫れたところがないかどうかの検査となります。また、カテーテルを使った血液サンプリング(採取)検査で、どの血管からたくさんアルドステロンが出ているかを検査する場合もあります。

    もしアルドステロンが左右どちらかの副腎から過剰に分泌されているのがわかれば、そちらの副腎を手術で取ることがありますが、両側から分泌されている場合は手術不能で内服薬による治療を行います。こういった検査は、大学病院や日赤などで行います。当院では、手術できなかったアルドステロン症の患者さんが何人も通院されていますが、みなさん内服でうまく血圧管理できています。心配せずきちんと治療を受けていただきたいと思います。