むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • アメリカンコーヒーの思い出

    今夜はストロベリームーンという名の満月です。地平線から上がってくる大きな満月は感動の迫力でした。梅雨のなかで運良く見られたのは良かったです。この日曜はひさしぶりにゆっくりできました。しばらくできていなかったスポーツジムと温泉のルーチンをこなすことができて、次の週に備えた充電ができました。とはいえ、月初はレセプトのチェックで一日中事務作業です。また、先月の帳簿つけとか、ちょっとした車の不具合を直してもらいにディーラーに行ったりで、あっという間に一日が過ぎました。

    家で事務作業をすると退屈するので、ネットフリックスでドラマを見ながらやってみたりもするのですが、気が散って作業が進まないので途中で断念しました。眠気覚ましにコーヒーを飲むのですが、今日一日で何杯飲んだことでしょう。先週アメリカから来たモンゴル人の友人と昔話をしていて懐かしく思い出したのが、私たちが留学していたときの教授だったTraber先生がコーヒー好きだったことです。毎朝6時頃仕事に出てきて大学の休憩室のコーヒーメーカーでコーヒーをいれていました。時々私たちがいれていましたが、それを飲んだTraber先生は、今日のコーヒーは誰が作ったんだ!と言っていました。先生は生理学者で、学問的にもすごく厳しかったのですが、コーヒーのいれかたも細かいところまでこだわっていました。アメリカの安いコーヒーを美味しく淹れるのは難しいのです。

    日本は高価で美味しいコーヒーが簡単に手に入りますが、当時のアメリカのコーヒーはスタバ以前の薄くてまずいのが定番でした。ところが、Traber先生の奥さん(Mrs Traber)が淹れると美味しくできていたのです。豆と水の量を正確に教えてくれればあとはコーヒーメーカーが勝手に作ってくれるのですが、Mrs Traberも長年の勘で作っているので私たちに真似できないのです。医者の世界はこれに似たところがあります。先輩と同じことを同じようにやっているのにうまく治療成績が上がらない。そこには文章にできない隠されたノウハウがあり、まな弟子となって長年一緒に過ごした人しか習得できない職人技みたいなものがあるのです。

  • 認知症予防にカレーを食べる

    日本各地で線状降水帯による集中豪雨のニュースですが、熊本は昨日までの雨が嘘のようにカラッと晴れて暑くなりました。週末は晴れが続くそうです。私は土曜日半日で60名の診察を終えて、昼から学校心臓健診でした。学校の心電図で引っかかった人たちの精密検査です。学校での体育や部活での安全のために1学期中に全対象者を診察することになっています。今日も70名ほど来た生徒さんたちを5名の検診担当医が分担しました。夕方までかかり、結構ハードな一日となりました。本荘の医師会ヘルスケアセンターでの仕事だったため、街でご飯でも食べて帰ろうと、ぶらぶらあるいて白川を渡りました。

    今日の目的は下通りの角マックからすぐのミスドを曲がったところにあるチャングーカフェというインドカレー屋さんです。当院に来ているグルメな製薬会社の社員さんからおすすめ情報をもらったのです。行ってみると、インド人が二人厨房にいます。たくさんあるカレーの中から2つを選んでセットにします。ライスかナンのどちらかを選び、サラダと飲み物(ラッシーなど)がついて1000円(税込み)でした。安い。そして、お味の方は、というと、絶品でした。ミキサーにかけたようにクリーミーなカレーに本格的なスパイスの香り、旨味が複雑に折り重なっており、今までこんな繊細で美味しいインドカレーは初めてでした。

    カレーといえば思い出すのが、インド人は認知症が少ないという話。本当かどうかわかりませんが、カレーが認知症予防になるのだという説があります。カレーもご飯やナンは炭水化物の塊ですから認知症にいいはずはなく、有効成分はカレーのスパイスなのだろうと思います。このことはアメリカでもいまや常識レベルです。幸いカレーは日本人の国民食といえるレベルのものです。嫌いでなければ定期的に食べるようにしましょう。

  • 健診の再検査はお気軽にご相談ください

    まだ5月というのに梅雨入りしたそうです。今年は早いですね。それにしても週間天気予報では毎日ずっと雨。本来は6月の梅雨入り前のしばらくが1年で一番過ごしやすくてキラキラした日が続くのですが、今年はそれがないまま梅雨に入ってしまいました。なんの根拠もない想像ですが、こういう年は梅雨の中休みが長く、なんか梅雨明けも早かったね、なんて言っていると例年通り梅雨末期の豪雨がやってくる、そんな流れになりそうな予感。

    今朝、通勤中に車のラジオで基礎英語を聞いていたら、急にJ-アラートが始まりました。しばらくしたら英語放送に切り替わり、アラートが同時通訳で英語で放送されました。基礎英語を聞いている日本人にはちょっとレベルの高い英語だったかな、と思いましたが、内容は日本語でも繰り返し言っていたので聞き取れたことでしょう。それにしても、「運転中の方はハザードランプをつけて、車を路肩に寄せてバッグなどで頭を守り姿勢を低くして避難してください」なんて言っていましたが、日本中で何人言う事を聞いた人がいるでしょうか。誰も言うことを聞かないアラートなら何もしないのと同じ、いや、かえって迷惑だと思います。

    さて、3月4月頃は会社の検診シーズンで、ちょうど今頃検診結果が帰ってきたという方も多いと思います。血糖やコレステロール、中性脂肪、尿酸などが高くて再検査になったという場合、当院では迅速検査で15分程度で結果が出ますので、要治療にせよ経過観察にせよその日のうちに方針がわかります。心電図異常の場合心電図を再検査したり、心エコーの精査をしますが、これも予約無しで当日結果説明まで可能です。一方、便潜血陽性は胃カメラのある病院受診をおすすめします。また、肺のレントゲンで影がある場合、胸部CTのある施設で精査することをおすすめしています。

     

  • めまいの漢方治療

    台風の接近で天気は下り坂ですが、夜も蒸し暑くて寝苦しかったですね。私はタイマーでエアコンを付けて寝たのですが、エアコンが切れると暑くて目が覚める。結局朝までずっとエアコンを入れていました。患者さんで、冷えるから腰にカイロを入れているという話を聞いて、人の感覚は十人十色だとつくづく思いました。

    最近、ダイエットの漢方を希望される患者さんがおおくなってきました。有名なのは防風通聖散という漢方ですが、これは下剤成分が入っており、便秘でない人が飲むとお腹が痛くなったり下痢して飲めなかったりします。そこで、下剤の入っていない処方を何パタンか準備しています。結局、下剤ありなしの判断でいくつかの組み合わせのパタンを変えながら処方することが多かったのですが、最近少しそのワンパタンの処方を改めることにしました。それは、気のめぐりが悪い人、血のめぐりが悪い人、水のめぐりが悪い人のパタン分けをしてそれぞれに、気のめぐりなら五積散あるいは茯苓飲合半夏厚朴湯、血のめぐりなら桂枝茯苓丸、水のめぐりなら防已黄耆湯あるいは越婢加朮湯という処方を用いてその人にあったダイエット処方に組み立てようという試みです。みんなに同じように処方する病名漢方よりは証を見て薬を選ぶ漢方本来の使い方のほうが治療成績がいいであろうことは自明のことです。

    もう一つ、最近多いのはめまいの患者さんです。季節柄かもしれません。台風が近づき、気圧の変化で頭痛やめまいがするという敏感体質の方もかなりおられます。この場合、五苓散や苓桂朮甘湯を用いることがほとんどです。めまいは内耳の水分過剰な状態です。一方、スマホやパソコン作業が長時間に渡ることで首肩が凝ってくるとめまいの原因となります。肩こりを葛根湯のような処方で治療したり、鍼灸やマッサージすることで改善するとめまいが軽くなります。もう一つは安定剤です。昔の先生はデパスのような安定剤を肩こりの治療に使っていた時代があります。緊張が取れることで肩こりもめまいも劇的に良くなることがあるのですが、この手の安定剤は何度も使うと習慣性が出て依存症になってしまうので最近ではめったに使いません。

    一の宮の亀の井ホテルから外輪山を望む

  • 朋あり遠方より来たる、また楽しからずや

    「朋あり遠方より来たる、また楽しからずや」論語の出だしの文章です。昨日も書きましたが20年ぶりに再開したモンゴルの先生と同時に、私がテキサスに留学してた頃に一緒に働いていた日本人が沢山熊本に集まってくれました。なつかしい面々。うれしいことこの上ないです。私がいたのはテキサス州のガルベストンという街です。ヒューストンから車で1時間ぐらいはなれた島でリゾートになっていました。熊本で言えば天草みたいなところ。そんな田舎に留学してたみんなが一同に集まって食事会なんて夢みたいです。みんなアメリカ生活が長かったので英語が話せます。当時同僚だった友達の近況をきいて、懐かしいことこの上ないです。アメリカにいた頃がありありと思い出されました。

    阿蘇で泊まったホテルで会議室を借りて、女子医大の教授になった友人がこれまでの30年の研究生活を振り返ったプレゼンをしてくれました。一緒に働いたフェロー(研究員)たちは今では宮崎大学の教授とか大分大学の教授とか日本医大の教授になっています。モンゴルの先生は私たちの留学先だった研究室の教授です。みんな偉くなりました。

    また、当時アメリカで研究(動物実験)していい成績だった医薬品(遺伝子組み換えアンチトロンビン)があるのですが、今日聞いた話では、その薬がアメリカで重症熱傷の患者さんの救命に臨床応用されたとのことです。アメリカにいた頃、私の研究でどれだけの命が救えるのだろうと思っていましたが、ついに臨床応用されたというニュースを聞いてとても嬉しかったです。基礎研究は直接患者さんを救うことはないのですが、こういった発見が臨床応用されると間接的に何万人という命を救うことになるので本当にやりがいがあります。

    モンゴルの先生(テキサス大学教授)ご夫妻と