むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • オーソモレキュラー栄養療法

    オーソモレキュラー療法というものがあります。聞き慣れないと思います。私が去年から力を入れているビタミンやミネラルを使った治療法です。通常の栄養学(栄養士さんたちが学ぶもの)は、欠乏症にならないための栄養学です。例えば、ビタミンB1が欠乏した食事(カップラーメンばかり食べている)だと、脚気(かっけ)心不全を起こします。そこで、最低限必要なビタミンを計算して食事として取り入れられるようメニューを構成します。しかし、飽食の時代、栄養失調で病気になるなんてみんな思っていないと思います。ほとんどのドクターも栄養失調なんて今の日本ではないと思っていると思います。

    健康保険でも、ビタミン剤を処方するとたとえ「ビタミン欠乏症」という病名があっても保険では切られます。そこで、私たちも及び腰になってビタミンの処方はほとんど行いません。しかし、実際にはビタミン欠乏はものすごく身近です。おそらくこれを読んでいるあなたも足りていないと思います。通常は足りていても、風邪を引いたときなどは炎症が起こるのでそれを制御するためには大量のビタミンCが必要です。通常の10倍近く必要になります。しかし、これは保険が通りません。自分で買って飲むしか方法はありません。

    他にも、不妊症や糖尿病の人は亜鉛やビタミンEが不足している場合が多いし、慢性疲労の人は鉄、ビタミンB群の不足、うつやパニックの人はタンパク質と鉄の不足など、病態により違ってきます。栄養士さんがみんなに共通のメニューを考えるのと違い、オーソモレキュラーは個別に足りなくなっている栄養を入れて治療します。採血のデータを非常に細かく評価し、分析します。残念ながら保険があまり効かないので、サプリに頼りますが、最近は安くても使えるサプリがありますので、当院ではそのようなサプリを買っていただくように勧めています。仕事や子育てで日頃の食事を疎かにしていると、後からつけが来ますよ。

    ソウル駅裏の歩道。なんとなく韓国風の石積み。

  • 肉食は体にいい

    ホンマでっかTVを見ていたら大事なことを言っていました。ヒトはアミノ酸(タンパク質)の一日必要量をとるために太古は狩りをして肉食していた。それをあるところから穀物で取ろうとし始めた。ところが、穀物に含まれるアミノ酸(タンパク質)はすくないため、たくさん食べないと十分量取れない。その結果、穀物はカロリーが高いため、太ってしまった。そこで、痩せたいのなら必要十分量の肉をたべて(穀物は取らず)寝ていればいい、とのこと。まさにそのとおりです。私たちの遺伝子にはアミノ酸の配列だけが書かれた設計図になっているため、遺伝情報を形にするにはアミノ酸が必要です。それが十分にないと体調を維持できないのです。

    時々、過食で困るという相談を受けます。そういう人には何を食べるのかを聞きますが、多くはお菓子やご飯です。このようにタンパク質の少ないものを食べ続けるのは食べても食べても体が必要な栄養が足りていないからだと考えられます。そこで、プロテイン(スポーツ選手が飲むやつ)を毎日2ー3杯飲むこと、ビタミン、ミネラルのサプリを十分量とること、過食したくなったら、まずチーズやゆで卵などのタンパク質を食べることなどを心がけると過食が抑制できるようです。おためしください。

    健診などで中性脂肪が高いと、肉をあまり食べすぎないように言われると思います。それは間違いではありませんが、もっと気をつけないといけないのは穀物(炭水化物)と果物です。炭水化物と果物は運動でカロリー消費しなかった場合、中性脂肪として体に蓄えられます。脂肪肝の原因にもなります。最近では健康にいい油(ココナッツ油、亜麻仁油、えごま油、オリーブ油、バター、魚の油など)は積極的にとったほうがいいと言われます。制限すべきは穀物(コメ、小麦)と甘い果物のほうです。

    と言いながら、韓国では定番のチヂミと冷麺を食べました。炭水化物ばっかり!

     

  • タミフルとインフルエンザ新薬

    今シーズンのインフルエンザの流行は去年ほどではないと思っていたら、結構流行っています。先日のブログでも書いたのですが、今年は1回の内服で治療が済む新しいインフルエンザ治療薬(ゾフルーザ)が出ています。当院でも使っていますが、効き目が従来のタミフルや吸入治療薬と比べてとくに優れているわけではありません。タミフルと同等です。タミフルはジェネリックが発売になり、値段は新薬の半分近くになっています。同じ効き目でこの値段ですから、普通考えてタミフルを優先的に使うべきだと思います。

    もう一つは副作用です。タミフルに関しては18年近い使用経験からほとんどの副作用が明らかになっています。以前、10代の子供には異常行動を起こす可能性があるから使用を控えるように言われた時期もありましたが、その後解禁された経緯があります。新薬にはそういった情報が全く無いので、これから明らかになってくると思いますが、新薬を希望する人たちはその実験台になっているも同然です。

    高齢者の場合は飲ませたのに吐き出したとか、きちんと飲めたかどうかわからないという場合がしょっちゅうあります。吸入タイプもうまく吸えない人がたくさんいます。一方タミフルに関しては、朝夕2回の5日間で合計10回飲むので一度きちんと飲めなかったとしてもまだ治療のチャンスがあります。また、今回最も懸念されていることが新しいインフルエンザ治療薬は耐性獲得が多いと報告されていることです。ウイルスのほうが薬より強くなってしまう恐れがあります。したがって、せっかくの新薬が効かなくなる日は近いと予想されます。そういうわけで、目の前の患者さんにはタミフルにするか新薬(ゾルフーザ)にするか吸入(イナビル)にするかをいろいろ考えて処方しています。たまに患者さんの方から新薬を希望されることもあります。心の中では「本当にそっちにしますか?私だったら飲みませんけど」という気持ちです。ただ、治療の有効性が担保されるタイムリミットが発症から48時間であるため、ギリギリの人には1回でいい新薬を処方しています。悠長にタミフルを5日間飲むよりいいと考えてのことです。

    最後にもう一つ、私が気にしているのはタミフルの飲み方です。貰ったらとりあえずすぐ1回目を飲んで欲しいです。時間が勝負だからです。先日老人ホームの患者さんに昼にタミフルを処方していたのに夕方ホームに見に行ったらまだ飲んでいませんでした。夕食を食べたら飲ませます、と言ってました。それでは遅い!何度も言いますが48時間以内に開始しないと「効かない」のですから、飲むのであれば「すぐに」です。ただ、処方箋には便宜上1日2回朝夕食後と書きますが、食後でないといけないわけではありません。まずはすぐに1回飲んで、2回目はできれば半日ほど開けるのがいいと思います。

     

    ソウルタワー(一番奥の山の頂上)です。5、6年前に行った際には頂上まで走って登りました。

  • 早朝の双子星

    犬の散歩をしながら夜空を見上げると満月が煌々とあたりを照らしています。美しい満月です。しかし、天体ショーはこれだけではありません。もしこのブログを朝早く(6時半より前に)見た人は、外に出て南東の空を見てみてください。もう満月は沈んでいると思いますが、朝日があたりを明るくする前に南東の空に明けの明星(金星)がひときわ明るく輝いています。そして、そのすぐ右下に金星よりやや暗いけど、まるで双子星のように輝く星が見えます。木星です。この木星は朝日が東の空を明るくする7時前には見えなくなります。すごく明るい金星はしばらく見えています。ぜひ双子の惑星を御覧ください。

    なぜ私がこの惑星に気がついたかと言うと、すでにこの時間に通勤のためクリニックへ向かって歩いているからです。真っ暗ですから、懐中電灯を持って歩きます。しかし、だいぶ日の出が早くなってきました。今まではクリニックについても真っ暗でしたが、今ではクリニックより1キロ以上手前で明るくなります。春も近いと感じます。

    ところで、月曜の夜には健康番組です。3時間もある番組ですが、最初から最後までメモを取りながら見てしまいました。健康な食べ物ランキングベスト10です。見ていない人のために簡単に書くと、1位から順に納豆、青魚(サバ缶)、ヨーグルト、豆腐(高野豆腐)、酢、ブロッコリースプラウト、トマト、アボカド、キムチ、りんごでした。それぞれ、血液をサラサラにするとか胃腸に良いとか理由は様々ですが、健康にいいからと同じものを毎日とるより、これら10種類の食材をまんべんなく摂るのがいいと思います。

    ソウル駅前

  • もつ鍋は体にいい

    福岡に行くと、気がつくのは、あちこちにもつ鍋屋さんがあることです。熊本にも店はありますが、めったに行くことはありません。ましてや一人で食事という場合、もつ鍋屋さんが選択肢に浮かぶことはないと思います。しかし、博多をぶらぶらしていると一人もつ鍋1200円とか、どこにでもあります。まだ入ったことはないのですが、今度行ったらもつ鍋にしようと思いました。

    もつ鍋はとても健康に良い食べ物だと思います。まず、もつに含まれるコラーゲン、ビタミンB、ミネラルなどは他のメニューでは達成できないレベルの高栄養だと思います。しかも低カロリー!また、ニラやキャベツがたくさん入るのでビタミンA(ベータカロチン)、ビタミンCなども豊富です。こんなに理想的な食べ物はないと思います。肉食動物が狩をする際に最初に食べるのが内蔵だと言われます。肉食獣にとって大切な栄養が内蔵にたくさん含まれるからです。同じことはヒトにも言えると思います。通常私たちは筋肉の部分を喜んで食べますが、ヒトが肉食動物だとすれば、もつを食べるのは古来からの生物学的な理にかなっていると思います。

    ヒトが穀物を食べるようになったのは日本で言えば弥生時代から後です。農耕文化が確立する以前は狩りの世界でした。穀物は食べたとしても木の実程度だったと思われます。人類の歴史が300万年だとすると、弥生時代から近日まではまだ3000年ほどしかたっていないので、人類の歴史の千分の1くらいしか穀物をたくさん食べる時代を過ごしていません。どおりで穀物の食べ過ぎで糖尿病になったり、自律神経失調症になったりするわけです。こんな人類の歴史と食生活の変遷を考えても、もつ鍋というのは体にいいにちがいないと確信したところです。

     

    ソウル