むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 風邪に抗生剤は不要?

    今週は正月からちょうど4週目にあたるので、定期受診の人が少ないと予想していました。通常、4週間処方の人が多いので、混み合うときはその4週後も多いし、暇なときはその4週後も暇になることが多いのです。正月やお盆の休みのあとはとくにそう言う傾向になりやすいです。しかし、蓋を開けてみたら発熱患者さんが多く、新患30名という忙しい一日となりました。私は、発熱患者さんでインフルエンザならタミフルやイナビルで治療していますが、コロナや扁桃炎などではほとんど漢方を使います。たまに漢方が飲めないということで西洋薬の処方をすることがあります。きちんと統計が取れるわけではないですが、経過を見ると漢方のほうがよく治っているんじゃないかと思います。

    このところ、風邪の西洋薬による治療は極力抗生剤を使わない流れとなっています。つかうとしても昔からある古い抗生剤を使うように推奨されており、新しい抗菌スペクトラムが広い薬は使わないようにという時代の流れです。私も、風邪の初期には極力抗生剤を使わず、漢方で様子を見る事が多いのですが、3−4日たって咳や痰が酷くなったと言われたら、抗生剤を処方することにしています。昔からの経験ですが、やはりこういうときは抗生剤は効果があると思います。あくまでも感染初期はウイルス感染なので抗生剤は無効です。

    話は変わって、先日韓国料理「トラヂ」で野菜をヤンニョムにあえてつくった浅漬キムチみたいな料理が出てきました。料理の名前はわかりませんが、発酵していないキムチという感じです。これは簡単にできそうだと思い、試しに玉ねぎをスライスして、沖縄の塩「ぬちまーす」をつかってしんなりさせたところに韓国唐辛子(キムチ用・粗挽き)と韓国製魚醤(イワシのナンプラー)と蒸したアサリ(冷凍食品)を混ぜて見ました。コクを出すため発酵したキムチの汁をスプーン1杯まぜてみたら、かなり店で食べたような味が再現できました。胡麻油をかけても美味しい。今思い出しましたが、実は私はこんな浅漬を30年ぐらい前に教えてもらったことがありました。菊池養生園で漢方の合宿があったときに講師として韓国から漢方の先生に来てもらい、講義の合間に即席キムチ作りを習ったのです。ニラ、大根やカブの葉、小松菜、菜の花。野菜は何でもできます。キムチ用唐辛子やナンプラーはKaldiや業務スーパーで手に入ります。

  • 私が鍼治療を続ける理由

    朝起きて自宅の周りを見たら全く雪はなかったので、ホッとしました。ところが、いつものように出勤してみてびっくり。クリニックの周りは白く雪化粧していました。やはりクリニックのあたりは標高が高くて寒いんですね。それでも道路は積雪がなく普通に通れました。それにしても寒い一日でした。去年ジャパネットなどでしきりにCMしていた電熱線入りダウンがついに役立つときが来ました。満タンにチャージしたバッテリーをベストのUSBにつなぐと背中や首元がポカポカします。その上から通常の防寒をすると寒さ知らずです。もう一つ、私の寒さ対策は寝るまえに5分だけ布団乾燥機をかけることです。5分でも布団はポカポカになって天国です。あー暖かいー。幸せな気分で眠れます。

    仕事から帰って、WEB講演会に2つ参加しました。運良く開始時間が1時間ズレていたので、いつものようにパソコンを並べて見たりせず、順に参加できました。一つは小池先生の分子栄養学の講座。私達がいかに鉄欠乏、ビタミン不足に陥っているか。そのせいで体調不良、メンタル不安定などの状態を来たしているか解説されました。ためになる話でした。2つ目の講演は昨今の医薬品不足の背景についてジャーナリストが徹底取材して解説してくれました。この医薬品不足は最近毎日頭を悩ませていますが、私が思っていたより何倍も複雑でとんでもない闇でした。問題の根底は自由経済による民間製薬会社(特にジェネリックメーカー)と厚労省が薬価を統制している社会主義的経済のギャップが修正不可能なレベルまで悪化したものと考えます。講演でも言われていましたが、今の医薬品不足は今後3年以上解消される見通しはないとのこと。咳止めも去痰剤も解熱剤も血圧の薬も利尿剤も漢方薬も何も手に入らないでどう医療をすればいいのか。欠品(出荷調整を含む)しているのは4000品目(全体の3割以上)にも登るそうです。信じられない状態です。

    まあ、愚痴ってもなにもかわらないのでこれ以上書きませんが、多くの患者さんの処方で今まで通りとはいきませんのでそれはご了承ください。私が鍼治療をほそぼそと続けているのはそれで収益をあげようと思っているわけではありません。半分は趣味、東洋医学に対する興味が尽きないからなのですが、あと半分の理由は災害時に電気も水も薬も手に入らないとき、私が避難所を回って何ができるだろうかと思ったときに、鍼さえあれば何でもできると思ったからです。じっさい、国境なき医師団など海外の災害現場で活躍している医療チームでは鍼灸が大活躍しています。私も、そう言う事態にそなえて鍼の腕を落とさないように日々努力しているのが本音です。なので、医薬品がまったく入ってこなくなっても鍼だけでやっていける!と密かに思っています。

     

  • 老後は都会に住みましょう

    朝から雪が降って本格的に冷え込みました。日中訪問診療に出かけるときも2度くらいしかありませんでした。夜に雪が降って明日のあさ積もったりしたら歩いて出勤するしかないかも、と思いましたが、そこまで天気は崩れなさそうでホッとしています。昼に阿蘇の方を見たら山頂は白くなっていました。あちらは結構降っているみたいです。帰宅の際に車に乗ったらカーナビから大雪に警戒し不要不急の外出を控えるようにとアナウンスが出てきました。こんなこと今までではじめてです。当院は小高い丘の上に建っているのでどちらの方向からくるにしても坂道を登る必要があります。道路が凍結していると坂道はあぶないので、朝早く来院する予定の方は十分注意してご来院ください。

    さて、この極寒の中、前の職場で一緒に漢方の仕事をしていた薬剤師のIさんが久しぶりに熊本に来たので一緒に食事をしました。彼はいま東京で漢方薬局をしていて、生薬にも対応し、オンラインで処方箋を受けつけて全国に発送できると言うことです。すごいですね。薬局はたいていクリニックの隣に建っていて、患者さんは病院を出たら隣の薬局で薬をもらうのが通常の流れです。しかし、このシステムだと東京の薬局で全国の処方箋をうけて薬を届けてくれます。今、葛根湯も麻黄湯もなくて困っているという話題を昨日書きました。このIさんの薬局なら生薬で葛根湯でもなんでも作ってくれます。まさに救世主です。すでにオンラインのインフラはどこでも整備されているので、これからはこういう形態で日本全国を相手に仕事をする時代だと思います。

    私達は一人では生きられません。みんなの助けが必要です。人と人との化学反応で新しいものが生み出されます。人はみなそれぞれ得意なことがあります。野菜づくりが上手い人、家を作るのが上手い人、子供の世話をするのが上手い人など。みなそれぞれが得意分野を活かして助け合います。そう考えると都会が効率がいいのは当然のこと。国はこれから人口減少する日本で、過疎化する田舎の集落をへらして皆が街に集まって効率的に住むことを推奨しています。病院やスーパーなどは田舎に作らないように誘導されています。バスなどの公共交通も田舎は減らしてまちなかだけで運営するほうが効率的です。まちがっても老後は田舎で過ごそうなんて思わないほうがいいです。車の免許を返納したら何もできなくなります。老後ほど都会で、病院やスーパーの近くに住むべきです。そうすることで年をとっても自立して過ごせます。

  • スムーズな診察にご協力ください

    今日も忙しい一日でした。通常の血圧などの薬を取りに来る方と発熱患者さんは分けて待ってもらったり会計したりするので手間が2倍以上かかります。しかも、インフルだったりコロナだったりいろんな結果が入り交じるので処方もワンパタンでは済まされません。連日100名をこす患者さんで、カルテの山を見ると気持ちが焦ります。しかし、皆さんそれぞれに心配なポイントが違うので、何をどう心配しているのか、何を知りたいのか、どんな薬がほしいのか、短時間で把握して要領よく皆さんの希望を満たすのはとても難しいです。希望を口に出して言っていただけると早いのですが、言わずに察してほしい、みたいな患者さんには難渋します。察したとしてもそれが希望にそくしたものかわからないからです。なかには、自分の症状をネットで調べて、私たちプロからすると絶対にありえないような心配をしてこられる方もいます。それは、私たちの想像を超えているので察することは不可能です。疑問な点は持ち帰らず、診察時に聞いて解決して納得して帰っていただきたいと思います。

    一日100人の診察をするとなると、一人あたりのもち時間は2−3分です。その時間にうまく疑問を解決できるか自信がないという場合は、ぜひ紙に書いたり携帯にメモして来ていただきたいと思います。その方が効率よく話をすすめることができます。一番時間を取るのが、一旦診察が終わったあとに薬局まで行ってからこの薬は余っているとか、あの薬をもらい忘れたとか、久しぶりに採血をしてほしいとか、思い出したように言われる場合です。すでに5人ぐらい診察が進んでいると、カルテを遡って指示を書き直したりしないといけないので時間がかかります。

    また、血圧の薬を飲んでいる方は、血圧手帳を持ってくるか、待合で血圧を測って待っていただきたいと思います。血圧のデータ無しで血圧の薬が適切かどうか判断する事はできません。血圧手帳も最近はスマホアプリで管理できるようになっているので、そちらのほうが便利かもしれません。その場合、グラフではなく日々の実測値を見せていただきたいと思います。診察室でアプリを開くのに手間取る方もたくさんおられます。待合で一度開いておいてもらうとすぐに表示されるので助かります。患者さん一人ひとりの5秒10秒の短縮が結果的に大きな差になります。私も秒単位で仕事していますのでご協力よろしくお願いします。

  • フラッシュバックの漢方治療

    年が明けて超多忙な日が続いています。仕事始めが木曜で良かったです。あと一日働けばまた連休となります。ここで一旦体調を整えないと、来週は今週よりさらに忙しくなる予定です。私たちクリニックを経営する側からすると、正月やゴールデンウィークやお盆の休みなどは本当に頭が痛いです。休みはいいのですが、休みの分のしわ寄せが休み明けに怒涛のごとく来るため、体がもちません。

    TVをつけると能登半島地震のニュースばかりです。熊本地震を経験した私たちは、当時の辛かったことを思い出して胸が痛みます。あれから8年も経ったのに、災害救助の現場はあまり進化していません。これから南海トラフ地震や首都直下型地震なども予想される中、スピードとパワーで被災者を救援する仕組みづくりを本気でやっておかないと間に合わないと思います。ところで、当時の熊本地震のことがフラッシュバックして涙が出たり不安・不眠・抑うつなどの症状が出ている患者さんがこられます。PTSDといいます。フラッシュバックは神田橋処方という漢方がとても良く効きます。この処方はツムラなどの処方ではありませんが、エキス製剤を2つ組み合わせて治療します。フラッシュバックで困っている方がいればご相談ください。

    話は変わって、昨日のブログで指示が頭に入らないブレインフォグの治療について書きました。これとは別の病態で、幼少期から学校の先生に落ち着きがないと指摘されたり、じっと机にすわって勉強できないとか、部屋が片付かずゴミ部屋になっており、何をどこにおいたかわからず常に探しものをしているとか、そう言う人が社会人になって仕事が覚えられない、上司からの指示が入らないという人がいます。これは、一見その人がだらしないだけと捉えられているかもしれませんが、発達障害かもしれません。就職してもミスが多くて上司に怒られ、鬱とか適応障害と言われて転職を繰り返すようなら、発達の問題を考慮したらうまくいく場合があります。

    白水温泉から見た外輪山に沈む夕日